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意外な事実!ドッグフードのタンパク質の動物性と植物性の違い

投稿日:2018年8月25日 更新日:

ペットショップチロルの息子です。

以前にもタンパク質の話はしましたが
アミノ酸を有効利用するには
必須アミノ酸をバランスよく摂取しなければならない
という事実については詳しくご説明していませんでしたね。

意外な事実というのは大げさかもしれませんが
多くのサイトで植物性タンパク質は吸収率が劣るとか
犬の身体の構造では有効利用できないとか
詳しい説明が全くされず誤解を与える記述が大変多い状況です。

というわけで今回は動物性タンパク質と
植物性タンパク質の吸収率の違いについて
なるべくわかりやすくお話ししたいと思います。

ドッグフードのタンパク質の主原料が動物性か植物性かについて

ドッグフードの品質を語る上でよく話に上がるのが

動物性のタンパク質が主原料かどうか

という点ですが、これはほんとにどうでもいい話。

今までも何度か話してますが
食べるのは肉そのものでもなければそれだけでもないのですから
原材料だけで良し悪しは語れません。

ただ肉と野菜そのものを食べたとしたら
同じ量のアミノ酸を含んでいたとしても
利用できる量は肉の方が断然多いのは事実です。

ドッグフードに含まれる動物性タンパク質と植物性タンパク質の違い

これは一体どういうことかというと
良く言われるのが桶の理論です。

身体を作るにはそれぞれ決まった量の栄養が必要で
どれか1つでも不足していると
不足した量に合わせた栄養しか有効利用できないのです。

必須アミノ酸を必要量バランスよく含んでいるかどうかを点数評価した
アミノ酸スコアというものがありますが
肉類や魚類は基本的に必須アミノ酸をバランスよく含んでいるため
100という数値で表されます。

これが植物性の食品になると100というものの方が少なく
トウモロコシでは31小麦は39白米は61と
穀物類は肉類に比べてタンパク源としては不適切と考えられます。

このことから植物性タンパクは犬にとって消化吸収しにくいタンパク質とされ
穀物が主原料として使用されているフードは
犬や猫に与えるべきでないと結論付けられてしまっています。

ドッグフードは必須栄養素をバランス良く含んだ「定食」

これだけの話では

じゃあやっぱり肉食べさせる方が良いじゃん!

となりますが、皆さんが与えてるのはドッグフードです。
肉そのものではありません。

野生の肉食動物は原材料をそのまま食べていますが
犬はドッグフードという身体を作るための原材料を摂取しています。

さっきも言ったように不足した量に合わせた栄養しか有効出来ないなら
バランス良い食事を心がければいいのです。

ドッグフードは人間の食事で言えば「定食」と言える食事です。

原材料の植物性のタンパク質のアミノ酸スコアが劣っていても
複数の食品の組み合わせで出来ているドッグフードに問題があるとは限りません。

食事の組み合わせでアミノ酸スコアを高めることが出来る!

1度の食事で摂取する栄養の組み合わせは
それぞれの食品の欠点を補うことが出来るように
アミノ酸の配合バランスが悪い植物性のタンパク質も
他の食品や足りないアミノ酸を補てんすることで
バランスの優れたタンパク質を摂取したのと同じ効果を得ることが出来ます。

日本ではご飯とみそ汁、ご飯と納豆などの関係がそれにあたり
味噌も納豆も元は豆ですから白米の不足しがちなリジンを補っているのです。

タンパク源の食品の栄養成分が分析できる時代ですから
何に何を組み合わせれば成分的にバランスが良いか
どういった効果が望めるかなどが計算できる点は
ドッグフードの大きなメリットです。

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商品が何かではなく商品の成分が何かの方が大切

例えばシミやそばかすに効果があるという「ハイチオールC」という医薬品ですが
これの主成分はL-システインです。

L-システインが肝臓で作用しメラニンの生成を防ぐため
シミやそばかすの改善予防に効果を発揮します。

美白ブームが追い風となってハイチオールCは大ヒット商品になりましたが
後に他メーカーからもほとんど同一の成分の安価な商品が発売され
新たな市場が確立されたことがありました。

  • ビタホワイトプラス クニヒロ
  • ハイシステインc
  • ネージュホワイト
  • ビボナールホワイト
  • ビタ サプリ ホワイト

結局どれを選んでも成分が同じなら同じ効果があるのです。

ドッグフードのタンパク質もこれと同じで
植物性タンパクでも動物性タンパクでも

効果的な量のアミノ酸が摂取できるフードなら
原材料が肉でも野菜でも魚でも良いのです。

ドッグフードの成分や原材料だけでは何もわからない

結局フードの良し悪しを原材料や成分から見分けることは
ほとんど不可能に近いということです。

タンパク質がどれくらい含まれていると数字が記載されていても
必須アミノ酸がバランス良く含まれているかどうかまではわかりませんし
ブルーバッファローのライフソースビッツの例を挙げれば
製造方法によって栄養素の成分は変わることが明らかにされています。

ロイヤルカナンVSブルーバッファロー!それぞれの特徴と問題点

そしてタンパク質から摂取したアミノ酸を有効利用するには
他の栄養素も必要になります。

例えば筋肉を育てるにはビタミンBや主要ミネラルが必要ですし
健康な爪を維持するのにもやはり亜鉛やカルシウム
ビタミンA,B,Cが欠かせない栄養です。

これはなにも犬の身体を作る食事の栄養成分に限ったことではありませんから
ご理解いただけると思います。

水も分子式のH²Oで表すと
H(水素分子)2つとO(酸素分子)1つで成り立っています。
多くても少なくても水になりません。

お菓子のレシピだって材料の量は決められていますし
機械だって部品が余ったり足りなかったら
ちゃんとしたものにならなかったり
余った部品が無駄になるのです。

愛犬に与えるドッグフードは結果を観察することを忘れずに

食事の本来の目的は身体作りのための栄養摂取ですが
飼い主の愛情や知識によってその目的を
達成困難なものにしてしまうことがあります。

何をしたいかではなく何をしなければならないか
それを考え実行することが出来れば
体調不良になるペットの数も減らせるような気がします。

そう言えば今回の話の中で取り上げた「ハイチオールC」は
もともと二日酔いのための薬でしたが
その成分がメラニンの生成を抑えるから
シミそばかすの薬にしたそうですよ。

もしかしたらドッグフードの成分の中にも
思わぬ健康効果が期待できるものがあるかもしれませんね。
見つけたらこっそり教えていただけると助かります。

それでは本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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