ペット屋の息子です。
先日からブルーバッファローの取り扱いを始めたので、その報告がてらフードについてちょこっと語ってみようかなと思いました。
前回のハロー同様に、原材料も良質で安全基準も高く成分的にも優れたフードですので、体質や体型の問題や皮膚トラブルなどでお悩みの方には選択肢に加えて頂けるかもしれません。
今回はブルーバッファローの特徴や問題点をロイヤルカナンと比較してみようという話です。ご参考になれば幸いです。
専門店の立場からブルーバッファローを評価してみた
ブルーバッファローが日本に上陸して早2年が経過しました。
取扱店舗も1,200店舗に迫る勢いということですが、メーカーの人間ではありませんので実売状況までは分かりません。ただメディアの露出も増えてきて高評価という事だけは耳にしています。しかも今年に入って療法食の製造販売も始まって、ブリーダー専用規格サイズの大袋も発売されました。
ブリーダーや動物病院が使用するフードというのは販売する面ではありがたい事でもありますし、動物病院での取扱数が半年で3,000店舗を超えたというのは他社製品と比べてもコストパフォーマンスに優れていると見ても良いかもしれません。
ドッグフードのブルーバッファローの療法食の種類
ブルーバッファローの療法食は犬・猫それぞれ3種類ずつが発売されました。本国のアメリカではもう少し多くの種類がありますが、まずは需要の多い種類に絞られたようです。
ブルーバッファローwu
肥満と尿路疾患は密接な関係があり、 下部尿路疾患の原因の多くは、肥満による運動不足や飲水量不足から濃い尿が生産されることで発症率が高くなります。
WU体重&尿路ケア・サポートは「尿路の健康維持」と「減量」に配慮されたフードです。もちろんライフソースビッツも配合されています。グレインフリーである点も特徴的です。
ブルーバッファローgi
消化器疾患の犬に合わせて作られた「ブルーバローgi」は従来の製品よりも消化性に優れたタンパク質、炭水化物、脂肪を含む原材料を使用して、必要な栄養価をしっかりと補給できるように設計されています。
クランベリーやケルプにビタミンCやEを多く配合し、健康維持の為に効果を発揮します。またカボチャやチコリの根の繊維が消化管の健康維持をサポートします。
ブルーバッファローhf
皮膚の健康維持に最適なサーモンを主原料に、食物アレルギーの原因となりにくい高消化性の加水分解タンパク質を使用しています。そしてグレインフリーフード。オメガ3脂肪酸も多く含まれていますので皮膚の健全性を保つには最適なフードと言えそうです。
抗酸化作用に優れたケルプやクランベリーも使用されています。
ブルーバッファローのドッグフードblue「ブルー」特長とデメリット
療法食としては他社製品と比較してもユニークで高い品質が獣医師に好印象を与えた様です。
ただ一般食としては他社製品と比較してもコストパフォーマンスが良いとまでは言い難いものがあり、小型犬までのサイズであればまだしも柴やビーグル以上のサイズとなると継続して与えるのは厳しいものがありそうです。
それにブルーバッファローは現時点で日本で購入可能なフードラインアップが少ないのがデメリットとも言えます。
2019年の春にウィルダネスというグレインフリーのブランドが発売されることになりました。
もともとブルーバッファローはアメリカ本国ではかなりの製品数があります。
ウェットフードも発売されていますので種類にして400前後あるようです。
日本市場では「Blue」と「ウィルダネス」のみですがこの様子だと少しづつ増えてくるかもしれませんね。
幼犬・成犬に関しては健康的に問題がない個体には良い結果が出ています。
当店では使用していませんが本店のチロルでは幼犬、飼育犬に与えています。体臭や便臭も少なく消化性の良いフードのようで便の量も少なく状態も良好と聞いています。
健康を維持する点においても原材料や数値的には優れているフードとも言えますから、継続して与えるには申し分ないスペックです。
皮膚トラブルが起きにくいフードと感じるのはブルーバッファローの最大の特徴でもある「ライフソースビッツ」が効果を発揮しているからでしょうか。
ブルーバッファローの特徴はライフソースビッツにあり!
ブルーバッファローの特徴でもある「ライフソースビッツ」はアメリカの獣医師と動物栄養学士が共同開発したフードで、製造時の過熱によって失われるビタミンやミネラルの栄養価を最小減にする為に「コールドプロセス製法」と呼ばれる低温製法で製造されています。
ライフソースビッツの有効性についてはこちらから↓
ブルーバッファローの最大の特徴と言えるライフソースビッツは評価のポイントで、これ無くしてブルーバッファローは語れません。
自然素材の主原料にライフソースビッツが加わってこそ効果を発揮できるフードになっていると言えます。
ただしこれがデメリットにもなっています。
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ブルーバッファロー製品の問題点、ライフソースビッツは嗜好性が良くない
ブルーバッファローはハローと同じく人が食べても美味しいと感じるフードです。このことからも原材料の質の良さが伺えます。しかし混入されているライフソースビッツはお世辞にも美味しいと言えません。これは犬にも同様らしく、多くの使用者からライフソースビッツを残すという声を聞いています。これでは本末転倒です。
フードの成分分析表を見てもそれぞれに表記されているわけではないので、ライフソースビッツを含めてのフードということになりますから、ライフソースビッツだけを残してしまう事はフードの設計上問題となります。
オメガ脂肪酸の含有量も表記してある点も好感が持てますが、オメガ3脂肪酸は熱に弱く、植物性では犬が利用しにくいので、もしその点をライフソースビッツが補っているのであれば、皮膚の健全性を保つ上で必要な栄養素が不足し、アレルギーに対する抵抗力を得ることは難しくなります。
ブルーバッファローの持つ最大の特徴は同時に大きなデメリットでもあります。ラフソースビッツを美味しく作ることが出来なければ、継続してブルーバッファローを使用する飼い主は少ないかもしれません。
ブルーバッファローの全額返金保証は嬉しいが手続きは面倒!
ライフソースビッツの嗜好性が低いので全額返金保証がある点は良いのですが、手続きが面倒という点がデメリットでもあります。
一応方法を記載しておきます。
まず店頭で返金手続きに必要な返金請求はがきを貰ってくる必要があります。
そして製品の底面にあるバーコードと購入した際のレシートを切って貼る。
ハガキに必要事項(名前・住所等)を記入する
切手を貼って出す。
という作業が必要です。
そして無事に受理されると購入金額分と切手代の定額小為替証書が返送されてきます。
しかし切手代を返金してくれるなら料金別納郵便にして欲しいですね。
ブルーバッファローと比較したロイヤルカナンの優位性と欠点
ロイヤルカナンとブルーバッファローを比較してみれば原材料へのこだわりの差は感じられるかもしれません。しかしこれを品質の差と考えるのは早計な気もします。
またフードを選択する点で価格というものを考慮しないのであれば、数多くのフードの品質の差を比較して優劣をつける事は可能かもしれませんが、フードを継続して与えるという点で価格は無視できない要因であることは事実です。
ドッグフードとしてのロイヤルカナンの特徴と問題点
グレインフリー至上主義でナチュラルフードがもてはやされる現状において、ロイヤルカナンのコンセプトは一部の愛犬家に敬遠される原因にもなっています。
結果として優れたフードであることが重要であって、原材料や添加物を使用していても安全性にも健康にも問題はないとの主張です。
ロイヤルカナンの特徴は犬猫の為の機能性と多様性
ロイヤルカナンの製品の特長は多くのラインアップそれぞれに原材料や製法があり、改良ではなく開発して作られている「製造」という点でのこだわりが見られます。また多くのドッグフードランキングサイトで酷評される主原料に米が使われている点でも、その独自製法により消化性の優れたタンパク質へと加工されている為、そこまで取沙汰される物ではないと思います。
さらに主原料が肉かどうかも、JAS法に基づく加工食品品質表示基準により、原材料名は使用した原材料を全て重量順に表示するのが原則と定められていますが、ブルーバッファローの使用する骨抜き鶏肉や骨抜きラム肉は水分を含んだ状態の原料です。
ドライフードという性質上、主原料となる水分を含む肉のタンパク質の割合は、製品になってしまえば原材料の段階と大きく変わるでしょう。以前このブログでもそのことについて話しましたし
ロイヤルカナンのHPにおいてもはっきりと述べています。
https://www.royalcanin.co.jp/new/faq/?cat=41
ロイヤルカナンの原材料へのこだわりの他メーカーとの違い
酸化防止剤にBHAや没食子酸プロピルが使われている点もリスクよりもベネフィットが勝っていますから、その点でフードを比較するのも飼い主の感情からで結果としての判断と思えない部分でもあります。
しかしプラスになる点ではないことは確かです。使用しないで済めばそれに越したことはありません。自然由来の酸化防止剤が味覚に影響を与えるとしてもそれを意に介さない犬であればロイヤルカナンを選択する理由が一つ減るでしょうし、価格という点にこだわらないで済むのであれば、フードの安全性を求めるべきだとも思います。
ロイヤルカナンは穀物や肉という素材の形ではなくそれに含まれている構成要素のタンパク質や糖質などの栄養素に目を向けています。
つまり肉や穀物という分類は言い換えればパッケージのような物であり、いくらデザインが優れていて見た目に鮮やかで美しくとも中身が必要な物かどうかが重要だということです。
それはある意味で原材料へのこだわりでもあります。種類や見た目ではなく、栄養バランスの優れたフードを製造するという点で原材料の持つ栄養価を考え選ばれた原材料なのですから。
原材料が何かよりも、犬にとって吸収しやすく効率よく利用できる栄養かどうか
それにこそ目を向けるべきです。箱や袋に惑わされてはいけません。
しかしここにも一つ問題になる事が隠されています。
ロイヤルカナンの問題点、ドッグフードの原材料とアレルギー
アレルギー疾患やアトピーには原材料の質ではなく種類が関係してきます。
ロイヤルカナンの栄養学のこだわりでは原料が何かよりもその栄養が適切に吸収され利用できるかが重要視されていますが、ことアレルギーに関して言えば原材料の種類も重要です。
事実ドッグフードという製品に加工したとしても食物アレルギーは実際に起こりますし、避けるべき原材料の無い製品を選択する必要があるからです。
ロイヤルカナンのアミノペプチドフォーミュラーという製品ではブルーバッファローのhf同様に、アレルゲンとなるタンパク源を微細なアミノ酸の単位のオリゴペプチドにまで分解していますのでアレルゲンと認識されにくいのです。
つまりここまでの加工処理をしても全ての犬猫において安全なフードは言えません。しかも価格面では数倍となります。
いくら優れたフードでも食べなければ意味がない。
そうしたこだわりがありBHAや没食子酸プロピルを使用しているロイヤルカナンです。食物アレルギーに関しても全ての犬にそうした疾患があるわけではありませんから
いくら優れたフードでも続けられなければ意味がない。
価格が高額になりすぎればそうした問題にも発展するということになります。全ての製品にこのような製法で加工を施せば食物アレルギーの心配は少なくなりますが、1㎏あたり3,000円を超えるフードを続けられる飼い主は少ないでしょう。
体重10㎏の犬であれば1ヶ月約4.8㎏を与える事になりますから、定価で3㎏8,070円のフードで計算すると12,912円です。一般の飼い主が予防として続けられるフードではありません。
製品の価格についての高いか安いかは各フードメーカーの価値としての考え方や対象となるユーザーによっても異なります。
ロイヤルカナンがどうか、ブルーバッファローがどうかという問題ではありませんがロイヤルカナンの
犬にとって吸収しやすく効率よく利用できる栄養かどうか
という考えは事実としても
価格と言う物が存在する商品である以上
原材料が何か
それも重要になってきます。
まとめ
色んなドッグフードを取り扱うようになってそれぞれの製品特徴や栄養面から見ても、ロイヤルカナンと比較すれば個性という点での違いしか見えず優劣を決める事は難しいですね。
ロイヤルカナン信者では断じてありませんが、栄養学を学べば学ぶほどロイヤルカナンの優れた点しか見えてこないのが釈然としません。どこかに弱点が無いのでしょうか。
ブルーバッファローも優れたフードなんでしょうが、いかんせんライフソースビッツを食べてくれない犬がこれだけ多いとおススメしにくいです。
価格面でもロイヤルカナンよりも少々高額なのでコスパは良くありません・・・・
プレミアムフードも数多くありますからきっと「これは!」と思えるものもあると思いますが、なかなか出逢えませんね。いつか探し当てておすすめしたいと思います。
本日もお付き合い頂いてどうもありがとうございます。