ペット屋の息子です。
愛犬が歳を取ったなと感じるのはどんな時でしょう?
おそらく足がおぼつかなくなったり、散歩に行きたがらなくなったり、食欲が落ちたりなどの変化を目の当たりにした時でしょうか。でもそうした変化を見た目で確認できることには身体の中の老化はもっと進んでいるはずです。
愛犬が歳を取ったと感じる前に、食事の変更を考える事も必要です。
犬が高齢になれば身体の機能も低下し病気のリスクもどんどん上がってきます。
犬や猫は人間とは違う動物ですから体調不良を感じ自ら病院へ診察に行くことはしません。体調不良は食事で治す事が彼らにとっての。
そう考えれば食事で治療するよりも予防する方がずっと効率的で無理がないはずです。というわけで本日は老犬の為のドッグフードの選び方の話です。
高齢犬用のフードの良し悪しを判断する5つのポイントとは?
栄養管理にしても、ドッグフードなどの人間が加工調理した食事からは摂取しにくい栄養抗酸化作用の高い栄養素をどう補うかや腸内環境の健康を維持・強化する為の細菌を摂取したり育成したりするための方法なども考え行う必要があります。
今回は高齢犬を対象にした5大栄養素
- タンパク質
- 脂質
- 炭水化物
- ビタミン
- ミネラル
をどう摂取するかについてです。
では具体的にどう言った点を気を付けるべきか、老犬に必要な食事のポイントと注意点について解説していきたいと思います。
かなりの長文になってしまいました。まとまりのない文章で読みにくいと思いますが最後までお付き合い頂ければ幸いです。
1、老犬に与えるフードはタンパク質の数値より質が大事!
犬も高齢になれば人間同様に必要な栄養やエネルギーは少なくなりますから量よりも質が大切です。食事量が減ってきたのならなおさらです。
どんなにケアしたところで青年期から内臓機能を維持したまま年齢を重ねるのは不可能です。
胃腸の消化能力は下がり腎機能も衰えますし新陳代謝も低下しています。過剰にタンパク質を摂取すれば排出する窒素量もふえますから腎臓の負担になる事は確実です。
具体的な話をすれば栄養価の高いタンパク質を摂取する事です。
結論から言えばアミノ酸スコアの高い食材や生物価の高いタンパク源が使われていることが1つの判断基準です。
基本的には動物性タンパク質(牛、豚、鶏、魚)は必須アミノ酸の全てを含んでいますから栄養価の摂取という点では安心して与えられますが、おススメのタンパク源について少しお話ししましょう。
高齢犬に与えるタンパク質のおすすめはこれだ!
高齢犬に与えるなら一番良いのは魚でしょう。それ以外なら鹿肉がおススメです。
以前ニュートロ製品の鹿肉が販売休止になるのでそのついでに鹿肉について語ってみました。詳しくはそちらを読んで下さい。
魚と鹿肉をおススメする理由はタンパク質の良し悪しももちろんですが良質な脂肪酸も摂取できるからです。
高タンパク低脂肪のフードであれば、食欲が減退した犬にもおすすめです。少量で必要な栄養価が補てんできる点とアレルギーのリスクも少ないという点がメリットになります。
加熱による栄養損失を考えてもオメガ3の脂肪酸が利用しやすい状態で摂取できるのは他の動物性タンパクよりも優れています。
ただ食欲が旺盛な犬であれば与えすぎには注意が必要です。高品質なたんぱく質だからこそ栄養変換率が高く、過剰摂取になれば健康を損なう恐れがあります。
犬によってはフードは少なくして機能性おやつなどで調整するのがおススメです。
後は目に見えない要素である原材料の安全性や加工や製造方法です。
高齢犬に与えるべきタンパク質は原材料の加工や製造過程も重要です
どんな製造方法や加工が施されているかは重要です。
例えばロイヤルカナンのアミノペプチドフォーミュラーというアレルギー体質の犬向けのフードは原材料のタンパク源をアミノ酸の単位にまで分解して製品化していますから、摂取してもアレルゲンと判断されないフードです。しかし見た目は通常のドッグーフードと比べても変わりはありません。
タンパク源に肉や魚が使われていようとも食材を生のまま食べてしまおうという話ではありませんから、より利用しやすいように、消化吸収に負担のない状態で製品化してあるかは無視できない話です。
高齢犬になったからと言ってメーカーやタンパク源を一新してしまうのは負担が大きいと思いますし、アレルギーや合う合わないも考慮すればやはり試してみるしかないでしょう。
2、高齢犬に与える脂質はバランスが大切!オメガ3とオメガ6は特にね!
脂質といっても種類は様々です。
オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸オメガ9脂肪酸などに分けられますが、その中でも細分化されています。
健康維持にはオメガ3とオメガ6のバランスが重要と言われていますが、残念ながら犬ににとって最適なバランスはわかっていません。犬種によっても身体の組成が大きく違いますし、やはり結果で判断するしかないでしょう。人間でも人種によって異なると言われていますから。
日本人はオメガ3:オメガ6は1:4とアレルギー疾患の専門医の方が言っていました。犬でもオメガ3に対してオメガ6は4~10までの範囲でしょう。
オメガ6のリノール酸(アラギドン酸)は反芻胃を持たない動物の肉には多く含まれていますから不足することはあり得ないのですが、オメガ3は熱にとても弱く陸上生物の中では鹿にしか含まれていないようです。
犬に与える脂肪ではオメガ3脂肪酸のEPA・DHAをどう摂取するかが重要
ドッグフードの原材料にどんなタンパク源が使われているかでも摂取できる脂肪酸は変わってきますから、質の良い脂肪を摂取しようとなればドッグフードで補うのは難しいものがあります。
脂肪に含まれるオメガ6やオメガ3の脂肪酸のバランスを最適なものにと考えればオメガ3脂肪酸をどう摂取するかが問題ですが、EPAやDHAは陸上動物をタンパク源とするフードでは鹿肉を使ったものしか含まれていません。
オメガ3の脂肪酸にもいくつか種類がありますがDHAやEPAを摂取できるのが理想です。植物から摂取できるα-リノレンは必須脂肪酸に数えられますが、摂取後DHAやEPAに変換はできる物のその変換率はわずか10~15%しかありません。
またオメガ3脂肪酸はどれも加熱による損失も大きいので、ドッグフードの製造過程で無駄になっている可能性は高いでしょう。そのことから考えれば良質な脂肪にこだわって高額なフードを与えるくらいなら、価格を下げても低脂肪のフードを選んでおいてサプリメントで補給する方がよっぽど効率が良いと思います。
ドッグフードに含まれる炭水化物は犬ではなく腸内細菌の餌としても考えよう
炭水化物と言っても糖や食物繊維も含まれますし、エネルギー源として考えればタンパク質や脂肪よりも効率よく使えますから必要ない栄養と言えなくはありません。
特に食欲があまりないような犬や痩せている犬であれば与えるべきでしょう。
犬種の差や飼育環境にもよりますが、ほとんどの犬にはやはり必要な栄養素です。犬にはグレインフリーではなくグルテンフリーの方があっていると個人的には思います。
確かに犬や猫は炭水化物を摂取しなくとも生活困難な状況になることはありませんが、他の肉食動物のように生きている獲物を捕食する機会はありませんから腸内環境はかなり違うはずです。
つまり犬自体に栄養として炭水化物を与えるかどうかだけでなく、腸内の細菌を育成する為の栄養源としても炭水化物を摂取する意味があるのです。
アレルギーについても腸の健康は重要ですが健康寿命とも深い関りがあります。推論を交えた詳しい解説は下記をご覧下さい。
高齢犬の為のプロバイオティクスとプレバイオティクス
高齢になるにつれ腸内細菌叢は変化します。加齢とともに善玉菌は減り免疫抗体の生産も減り細菌やウイルスへの抵抗力を失っていくでしょう。免疫機能と腸の関係性や、体の健康を維持する為に栄養を消化吸収する腸を守ることは最重要課題とも言えます。
ですから高齢になってからというよりは高齢になる前から取り組み腸管の健康維持の為にプロバイオティクスとプレバイオティクスを意識するべきでしょう。
ユーカヌバなどは早くからプロバイオティクスに注目してフラクトオリゴ糖やピートパルプなどを原材料に使用していますし、ロイヤルカナンなども炭水化物を効率よく利用できるフードを開発しています。食物繊維にも不溶性や可溶性の2種類がありそれぞれの特徴をうまく組み合わせて食欲をコントロールしたり、腸内細菌の栄養になるような配慮などがされています。
また以前紹介した下記製品では直接的に腸内で作用する細菌そのものをフードの原材料に使用しています。
ハローは消化吸収率が他社製品よりも高く原材料にもこだわりがあります。結果云々は食べさせてみてからの話ですから選択肢の一つに加えてみても良いかと思います。
BLUEは発酵産物が5種類と豊富なうえに抗酸化作用に特化したフードを特殊な製法で製造し後から混入していますから、フード単体で考えればおススメです。結果がどうかは犬とのマッチングにもよりますから一度お試しになってみて下さい。
いつまでも元気で長生きしてほしいと考えれば、いち早く老化に気づきそれに合わせたケアをすることも必要ですが、出来るだけ幼い頃から老後の事を考えた管理をすることが最も大切です。
[ad#co-1]高齢犬の下痢は腸内細菌叢の変化や衰えが原因!
歳と共に腸内細菌が変化して悪玉菌が優勢になってくると軟便や下痢が続くこともあります。
消化吸収率の良いフードを与えることも意識するべきですが、以前にも紹介したコスモスラクトなどを与えることが一番です。
下痢の原因にもよりますが抗生物質などを投与する治療はできれば行いたくない物です。抗生物質は腸内の悪玉菌のみならず善玉菌も含めたすべての菌に影響を与えます。そのことを考えても治療よりも予防を考えるべきです。
プロバイオティクスやプレバイオティクスだけでは老犬には不十分だと思います。バイオジェニックスこそ必要なケアでしょう。
犬の腸内細菌は生後42日以降は外部から菌を摂取しても定着しませんから、腸内の環境改善に善玉菌を増殖させるためのコスモスラクトは与えるべきサプリメントです。
高齢犬には抗酸化作用に富んだビタミンの摂取が必要!
ブルーバファロー製品の特長でもある抗酸化作用に富んだビタミンをどう摂取するかですが、その点で考えればドッグフードとしては「BLUE」以外には考えにくいでしょう。
公にできない事実として療法食も製造している某老舗メーカーのSDを与えていた犬に「BLUE」を与えたところワクチン接種後の抗体価がかなり高かったというデータがあります。(3倍~5倍)
いろいろな問題があり公表できないそうですが。
抗酸化作用のある脂溶性のビタミンは軒並み加熱による栄養損失が大きいのでドッグフードには合成したビタミンを添加しているメーカーが多いようです。
吸収率や利用効率にも差がある物もありますし、原材料表記に書いてはあっても使用した事実のみで利用できる栄養素としての保証はありませんから。
果物を与える事でも補えますが与えても良いもの悪いものがありますし、水分量も多いので栄養摂取の点で考えれば非効率です。水分補給も同時に行えることは高齢犬にはメリットでもありますけどね。
高齢犬で気を付けたいミネラルのバランスについて
ミネラルは犬にとって必要な栄養素でもあり、手作り食では不足しがちな栄養成分でもあります。ミネラルが豊富な食材と言えば甲殻類や貝類でしょう。自身で調理して与える場合は食材選びが大切です。
また高齢になると様々な臓器が衰えて機能が低下します。そこで問題となるのがミネラルです。心臓病になればナトリウムの排出が困難になり、腎臓病になればリンの過剰摂取は尿毒症の原因になることもあります。
成犬であれば過剰摂取は問題にならない物でも高齢になればそうはいきません。量にも気を使う必要があります。そうした点から考えればフードに頼る方が安全でしょう。
そして犬の様子を良く観察する必要があります。
以前ダックスフンドの画像で健康被害の話をしましたが
歳をとって老化が始まって体調に影響が出ていると考える方もいる様ですが、画像を見る限りは老化を引き起こした原因や皮膚トラブルは食事によるものです。単純に年齢から起こる老化ももちろんありますが、そういった症状も食事で遅らせることは多少なら可能ですから。
皮膚のトラブルの多くは細菌性やアトピーなどを脂肪酸と亜鉛のバランスが悪いもしくは摂取量が少ないのが原因です。ミネラルの摂取量と他の栄養素とのバランスがよく取れたフードを与えましょう。
これも結局は与えた結果で判断されるものですからおすすめのフードはと聞かれても答えるのは難しいですね。
鉄やカルシウム、マグネシウムなどはそれぞれが吸収を阻害する間柄ですので、効率よく摂取するのは難易度の高い栄養でもありますから、ロイヤルカナンなどのバリエーションの多いフードメーカーを選択し犬の様子を見ながら変更していくのはアリだと思います。
一つ言えるのはナチュラルフードメーカーの
犬は動物だから年齢に関わらず同じものを食べてれば良いし、天然の栄養をなるべく損なわずに製品化して給餌量でコントロールしよう
的な発想には大反対です。
人間が交配を繰り返し発展した犬を野生動物と同じように考えるわけにはいきません。もとは狼だったとしても今は犬ですから。何万年前の話をしているのでしょうか?人間が飼育している時点で環境も違いますし。
野生動物は病気や寄生虫予防もしなければ誰かが用意した食事を定期的に食べるわけでもありませんからね。
なので正直カナガンなどは与えるフードの選択肢にも入りません。製品の原材料の安全性や質は高くともコンセプトがあり得ないでしょう。と個人的に思うのです。
とうとう言っちゃった・・・。ここだけの話でお願いします。
ミネラル分のバランスも成犬と高齢犬では変わってきますので、まだ元気だからといっても表面上の様子だけでフードの切り替えを遅らせることはおススメできません。
年齢はあくまでも目安ですが、目に見えない関節や内臓の状態に合わせてケアをすることが必要なのは事実です。
飼育環境や犬種等でも多少の違いはありますから、犬の様子や年齢で健康診断等を受けることをお勧めします。食事の変更等は獣医の指示などもあるでしょうがその結果で判断するのが確実です。
ただ腎臓だけは血中尿素窒素BUNや血清クレアチニンの数値に変化が表れてからでは手遅れとなることがあります。腎臓の機能は一度損なうと回復させる事ができません。犬が健康で長寿を全うするには、腎臓の機能をどれだけ保護できるかに掛かっていると言っても良いでしょう。
犬の老化はいつから?どこで判断するのか?
一般的に小型犬では老化は7歳~8歳程度で始まると言われていますが、それも個々に違います。飼育環境や犬種、さらに言えば両親の栄養管理などでも。
人によっては老犬と考えられる年齢になったからと色んなことに配慮することはかえって老化を早めることになるのでは?と考える方もいますが、確かにそれも一理あります。
これだけ犬が多様化し、犬種や飼育環境、血統管理での変化が見られますから、犬の個性や状態を無視してはかえって良くない結果を招くことになりかねません。
大切なのは観察することです。
犬は動物ですから決められたようにはいきません。日々の様子を良く観察し判断してその個体ごとに様々な配慮をしてあげることが大切です。
もちろん見た目での様子だけでは判断できない事ばかりです。特に内臓や骨・関節などは加齢とともに変化が表れやすい器官です。老犬と言われる年齢になった際には健康診断などを受けて診断結果をもとに体調管理を考える事も必要です。
高齢になれば活動時間が短くなったり動かないでいる時間が増えるのは人間だけではありません。
活動の為のエネルギーや体を作るための栄養が必要なくなってくるのか、それとも内臓機能が衰えてその機能が維持できなくなるから活動しなくなるのかはわかりませんが、少ない食事量で生活するようになります。
まとめ
人間よりも寿命の短い犬ではその生涯はおよそ12~15年と考えられています。人間の約7分の1程度です。ほとんどの飼い主が愛犬の最期を看取ることになるでしょう。犬を飼い始めた時からその時が訪れることは決まっているのです。
いつまでも健康で長生きして欲しいと願ってもいつかは別れの時が来ます。飼い主にできるのはその時を幸せに迎えられるように努力する事だけです。
その日が来るのをどれだけ遅らせられるか、その時をできるだけ良い状態で迎えさせてあげられるか。それを考えていつその日を迎えても良いように毎日を過ごすしかないのです。
愛犬の生活は飼い主の支えで成り立っているのですから、今やれることをやり残さないよう後悔のない付き合い方をして、最後の別れにありがとうと言えるようにしてあげて下さい。
本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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