勝手な考察 夏対策

犬猫と人間の暑さに対する耐性の差を検証!生物学的な4つの違いとは?

投稿日:2017年8月12日 更新日:

ペット屋の息子です。

毎日暑い日が続きますが体調を崩していませんか?熱中症で命を落とす方もいるほどですから充分お体ご自愛下さい。
そんな猛暑の最中、犬を飼っている方はかなり苦労をしていることでしょう。チロル動物病院にも熱中症で運ばれるペットはけして少なくありません。人間が暑いと感じる気温では犬猫は健康で過ごすことが出来ないからです。

そのことは皆さんよくご存じで夏になると子犬を迎えることに心配を覚えるようです。実際エアコンなしで留守番は無理でしょう。成犬や成猫でもです。

どうして犬猫はこれほど暑さに弱いのでしょう?

そう考える方もいるかもしれませんが実は違います。人間が暑さに強い動物だったのです。
本日は人間として犬猫を考えるという視点ではなく、犬猫から比較した人間という動物の優れた能力についてのお話です。

人間は猛暑に強い?犬や猫よりも優れた超動物的特性!

人間が暑さに強い動物というのは意外と知られていないのかもしれませんが無理もありません。人間と比べれば動物は自然環境を生き抜く特性を身に付けていますから、環境を文明の力でコントロールする人間が動物の中で優れているなどは考えたこともないでしょう。むしろ思い上がりとさえ取れる発想です。しかしまぎれもない事実です。

犬と人間の暑さに対する耐性の違いを決定づける理由は4つあります。

1、犬猫に比べて人間は体毛が薄い

1つは体毛が薄いことです。
身近にいる犬と比較することで誰もが思うことは、人間が暑さに強いのではなく犬が暑さに弱いという事だと思いますが、冷静になって考えてみればほとんどの動物は体毛に覆われるかもしくは硬い皮膚に覆われています。
夏の最中で換毛が起こるとしても、着ぐるみを着て過ごしているのとほぼ変わりません。その分動物たちは冬の寒さから体の熱を奪われることを防ぐ事ができます。

逆に体毛を放熱に利用する動物もいますけどね。

象の体毛は放熱の為に超重要な事実!

いつの話かまではわかりませんが米プリンストン大学の研究チームがアメリカの科学誌プロスワンに象の体毛が放熱に効果的という事実を発表しました。

前述のとおり動物の体毛は身体の放熱を抑えるために生えているのが一般的ですが、アフリカなどの気温が高い地域に生息するゾウの体毛は放熱の為に使われます。

ご存知の通り陸上最大の動物である象は体積に比べ皮膚の表面積の割合が少ないので、その体型からも体の熱を効率よく発散させる必要があります。

水や砂を浴び、耳で風を起そうともその効果は微々たるもので、それだけでは体温の上昇を防ぐことはできません。しかし皮膚に生えた針金状の硬い毛があるおかげで最大23%も効率良い放熱を可能にしているとの結果が出ました。
アジアゾウよりもアフリカゾウの方が毛の量が多いことも明らかになっています。

体のサイズが大きいせいか、暑さが厳しい地域だからなのか、いずれにしろ放熱の必要性はアフリカゾウの方が高いようです。

人類の起源はアフリカにあると言われていますが、人間は象と違い身体の体温を効率よく放熱する為に細く長い体型になったのでしょう。体積に比べ皮膚の表面積が大きいので効率的に暑さをしのげます。肌も黒いですしね。

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2、人間は汗をかく動物!驚くべき冷却システム!

そして最大の違いは発汗による放熱能力を持っていることです。
人間は汗をかくことで体内の熱を放出できる素晴らしい冷却システムを兼ね備えている唯一の動物ですから、その基準で強い弱いを考えれば犬は確実に暑さに弱い動物となってしまいます。通常の哺乳動物は呼吸で体温を放出する事しかできないのです。

鈍足ランナーさんにご指摘いただきましたが馬の汗も上がり過ぎた体温を放熱するための効果があります。誤った情報を断定して記載してしまったことを深くお詫びいたします。申し訳ありませんでした。

犬のエクリン腺の発汗については、トリミングの際に足の裏が濡れるほど汗をかく犬はたまにいるので存じていましたが、体温を下げるほどの冷却効果があるのかはわかりません。

3、人間は呼吸をコントロールできる動物!

そしてもう一つは人間に備わった自由に呼吸ができる特殊能力です。
意外に思われるかもしれませんが呼吸を自発的にコントロールできるのも人間だけなのです。

四つ足で生活する動物は走る際の前足の動きで強制的にガス交換を行うのです。人間は2足歩行を手に入れることで動物とは違った呼吸法が可能になりました。これにはデメリットもありますが人間以外の動物は自発的に横隔膜を動かして呼吸をすることも口で呼吸をすることもできません。これは暑さをしのぐ為には非常に大きなアドバンテージでもあります。

4、人間の直立姿勢は暑さを凌ぐのに効率的!

人間が二足歩行になった理由の一つは暑さをしのぐ為ではないかと考えられます。

天気の良い昼時に犬を散歩させればあることに気づくと思います。太陽が高い位置にあればあるほど人の影は小さいのです。身体の小さな犬よりも。

太陽の高度が上がるにつれて気温が上昇するのは皆さんもご存じのとおりですが、2足歩行で直立姿勢を保てる人間は日の当たる面積が他の動物に比べ極端に少ないのです。日が当たる頭皮や首筋をカバーする為に髪の毛が残ったのでしょう。

直立できる人間の優位性はまだあります。
人間は四つ足の動物に比べ放射熱を受ける割合が最大35%ほど軽減することも明らかになっています。さらに地表1m以上の高さでは吹く風の速度が増すため同じサイズの動物であれば直立した方が冷却効果は高いと言えます。

まとめ

動物から見れば人間がいかに暑さに強い動物かご理解頂けたでしょうか?

上記の特性から見ても人類発祥の地はアフリカだというのも頷けますね。動物のように寒さに対する耐性を得る必要が無かったためでしょう。

しかしこの話を事実と考えるのは難しいかもしれません。人間がいかに暑さに強いとしても夏の暑さは耐え難いものですから。
考え方を変えればその能力を生かす事よりも、失ってもいいから快適に過ごしたいという退化的科学進歩を選択した動物なのです。

ただ人間の潜在的な能力は実際素晴らしいものがあります。状況と訓練次第では馬よりも速く走れるのですから。
次回はそのことについてお話ししようと思います。

-勝手な考察, 夏対策

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  1. 鈍足ランナー より:

    発汗能力は ヒト だけの専売特許ではあ地ません。
    発汗能力は ウマ も備えている。猛暑の中時間貸しの馬を時間一杯駈歩で騎乗すると汗だくになって仕舞います。
    イヌ も ウマ ほどではないが 若干の発汗能力を備えており、若干とは言えないよりはマシ。体が小さいこともあり、動物の中では比較的暑さに強い/持久力が高いほうになります。

    • 牧田 亮介 より:

      2度目のコメントありがとうございます!

      さらにご指摘いただき感謝です。これはマジで勉強不足でした。
      馬の汗もアポクリン腺の汗だから冷却効果はないと思っていましたがそうじゃないんですね。ありがとうございます。

      犬はエクリン腺があるのは知っていますが足の裏と鼻の横でしたっけ?
      体温下げる効果があるのならこれも勉強不足でしたすみません・・・

      他にも検証不足の内容のがあった気がするので突っ込み頂けると助かります。

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