ペット屋の息子です。
犬が噛む原因や心理についていろいろと書き連ねてきましたが
第5弾の今日は病気が原因となる噛むという行動についてです。
犬が噛むという行動の理由はさまざまありますが、脳の疾患などで噛むということになれば、しつけなどでの改善は難しいでしょう。その場合には訓練士ではなく動物病院での対処が必要になります。
というわけで本日は行動の原因が疾患によるものかどうかの見極めや、治療についてなどの話です。
犬の噛むは病気が原因?突然噛むようになる激怒症候群とは?
おとなしかった犬が突然噛むようになった。
いくら飼育環境やしつけに気を付けていたとしても、犬が噛むようになる事がないとは言えません。それは病気が原因となる場合です。
病気が原因で犬が噛むという行動に移ると言っても
- レイジシンドローム(突発性激怒症候群)と呼ばれる脳の疾患が原因で噛む
- 病気やケガが原因で痛みがある患部に触れられるのを拒否する事で噛む
という2つのパターンに分けられます。
脳の疾患となればいくら優秀な訓練士でも行動を抑制することはできませんから、動物病院を頼るしかありません。そして後者の病気やケガの痛みからの拒否反応も同様です。
噛む理由が病気が原因であれば、いくら飼い主がしつけをしようとも効果はありません。速やかに正しい対処をすることが必要です。以下のような症状が見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。
コッカースプリンガーは要注意!激怒症候群の症状と原因は?治療できるのか?
レイジシンドロームと呼ばれる脳の疾患はイングシッリュ・スプリンガー・スパニエルやイングリッシュ・コッカー・スパニエルに代表される疾患ですので、両犬種を繁殖している当店にとってはある意味なじみ深い病気とも言えます。
ただ、この両犬種は日本では飼育頭数も少ないので症例も多くありませんから、正しい診断と治療が行える獣医はほとんどいません。
突然の攻撃性!犬が噛むようになる病気!激怒症候群の症状
通常の犬が行う噛むという優性行動には予備動作がみられます。
大抵は攻撃対象を凝視し、低い態勢を取りながら唸る「威嚇」というサインが現れ、そこから噛むに至ります。
しかしレイジシンドロームではその予備動作がなく突然襲い掛かってきます。
瞳孔が開き血走った目でなりふり構わず暴れまわる危険な状態です。相手が逃げても執拗に追い立てて攻撃を加えます。一種の錯乱状態にあり、この時の犬は自分が何をしているか理解できていません。
興奮が収まった後は急におとなしくなり、記憶喪失とでもいうようなそぶりを見せるのがこの病気の特徴です。発症年齢は1~2歳が最も多いと言われていますがどの年齢でもなる可能性はあります。
犬を攻撃的にする激怒症候群の原因は?
ほとんどが遺伝性疾患ですので犬を選ぶ際に注意すれば発症の危険はほぼありませんが、詳しいことはまだわかっていません。てんかんの発作と同じような発症メカニズムであるようなことも言われていますが、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」という脳内刺激伝達物質の分泌量が低下することで強い攻撃性が発現するという研究結果も報告されています。
犬の激怒症候群の治療は?
今のところ有効な治療手段はありません。
できることはせいぜい「抗てんかん薬」を投与する程度で効果があれば様子を見ながら続けることぐらいでしょう。
レイジシンドロームの診断は症例数も少なく原因もはっきりしていませんので、症状から判断すれば焦点性発作のてんかんと混同することがあるようです。ただ治療は同様に行われます。
犬は病気やケガが原因で噛むようになることも!
病気やケガが原因で防御本能から噛むという行動に出る犬もいます。
問題行動を起こす犬は健康を損なっている事が多く、特に関節や背骨に異常が見られることが考えられます。体調が悪ければ思うように動けませんから犬にとってはストレス以外の何物でもありません。
優れたトレーナーであれば、問題行動の原因は体の異常からということはすぐに見抜けるでしょう。体をかばうしぐさや落ち着きなく気にしているそぶりがみられるはずです。
原因の特定にはそうしたプロのトレーナーの目が必要ですが、治療を行うのは獣医師の役目です。
犬の噛むを作り出す病気やケガの原因は?
原因は様々考えられますが大きな病気ケガなどということはなくても、関節の炎症や異常などから攻撃性がみられることもあります。
日本では繁殖の問題であることが原因の1つに挙げられます。
欧米や北欧に比べれば法律の問題もさることながら、繁殖犬の育成環境が大きく違います。ペットショップで販売される犬のほとんどは、残念ながら犬種に精通した素晴らしいブリーダーの手で育てられた犬ではありません。
十分な運動環境が与えられず、栄養管理の面でも問題がないとは言えない状況下で管理されている犬が産んだ犬では血統管理という点でも、栄養・衛生管理という点でも良い素質を持っているとは言い難く、精神的にも肉体的にも疾患を抱えているリスクは少なくありません。
トイプードルやポメラニアンなどは膝蓋骨脱臼を患っている犬なども多く、体のバランスを崩したり、ゆがみがみられる犬もみられます。
この原因となるのは飼育環境の問題が大きいでしょう。
でそのことについて話しましたが、室内飼育では筋肉の発達を妨げ、正しい姿勢の維持が難しい状況になることがあります。
体のゆがみを持ったまま成長し日々を過ごせば、解消されないストレスを抱えたまま過ごすことになりますので性格に影響が出ることもあります。
また栄養不足からも性格が攻撃的になることは十分に考えられます。
安全で退屈な環境にいるせいか
犬種の特性やしつけの問題なのか
は分かりませんが栄養不足から問題行動を起こす犬もいます。タイトルは健康以外のとなっていますが、実際は健康問題です。
販売されてるフード全てが良質な物とは限りませんから、お腹は満たされたとしても異常行動を起こしたり攻撃性を見せたりすれば栄養的な問題も疑ってみる方が良いかもしれません。
まとめ
噛むの原因が病気かどうか見極めは難しいかもしれません。
犬の攻撃的行動に飼い主もショックで戸惑うでしょうし、前述にある通りレージシンドロームなどは珍しくまた解明されていない病気ですから、獣医師の診断と治療に任せることになります。
噛むという行動を起しやすい犬種や飼育環境、どういった事で起こり得るかなどについて学習し実践したとしても、防ぐことができなかったなら病気の可能性は高いでしょう。原因が特定できず改善も見られなければまずはトレーナーに相談することをお勧めします。
栄養不足でも攻撃的になることも考えられますので、次回はそのことについてお話したいと思います。