スポンサーリンク

犬猫の尿道結石について種類や原因に食事と尿酸値の関係を語ります。

フード

ペット屋の息子です。

犬猫の尿路結石が増えてきてるというお話を聞いたことがありますが、尿路疾患は犬猫の食生活が変化したことで増えた現在病とも言えます。

今回は専門的な話の上かなりの長文になりますが、原因や対策・食事についてと、意外と知られていない尿酸値の事をお話します。

犬猫に多い下部尿路疾患の「尿路結石症(尿石症)」とは?

愛する犬や猫が排尿の際に痛みを訴えたら危険信号です。排尿のメカニズムは腎臓で作られた尿が尿管を通って膀胱へと流れ込み、ある程度の尿がたまると尿道を通じて排出されます。

膀胱から尿道の出口までを下部尿路と呼びますが、ここで起こる病気を下部尿路疾患といいます。犬や猫に多い「尿路結石症(尿石症)」は、膀胱や尿道にミネラル成分の塊が溜まってしまう病気です。

下部尿路疾患は猫に多い病気ですが、猫では結石症よりも突発性膀胱炎が60%を占めています。
今回は犬・猫に共通して起こりやすいシュウ酸カルシウム結石とストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石についてのお話です。

犬猫が尿路結石になったら知っておきたい尿酸値の事

犬や猫の健康を判断する上で排泄物のチェックはかかせません。人間の子供と違い、おねしょやおもらしを隠そうとしないので、尿の確認は容易にできるでしょう。
また、排尿が頻繁になったり、トイレの失敗が増える、排尿に時間が掛かるなどの様子が見られたら要注意です。動物病院でエコー検査やレントゲン撮影で結石が見られたら間違いありません。
しかし尿酸値での判断は難しいでしょう。

犬猫の尿酸値は常に同じではありません。測るタイミングによって大きく変わることがあります。
犬猫に限らず人間も同様に、食事とは体内に異物を入れることになります。

消化・吸収というサイクルを得て栄養に変換されます。食べ物によって酸性やアルカリ性といった違いがあるわけですから、それによる影響もうけますし、消化自体のサイクルで胃酸が分泌されれば体内の酸が減少します。

そのバランスを取る為に尿中への酸の排泄量が減り尿がアルカリ化します。食後6時間前後がピークと言われていますので、そのタイミングで尿酸値を測ればアルカリ尿になっているはずです。

犬猫の尿路結石の種類と対策

尿路結石は尿中にミネラルが多くなることで、それらが結晶化した結石ができやすくなります。
犬や猫に多く見られるのはストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石シュウ酸カルシウム結石で、約80%それ以外にはシスチン結石、尿酸アンモニウム結石などがあります。

猫の尿路結石の予防対策や治療には水が重要

猫は祖先が砂漠で暮らしていたこともあり生活上水をあまり必要としませんので、もともと飲水量が少なく、濃い尿を産生します。ストルバイトの形成の原因としては、食事の栄養バランスは犬よりも影響が大きいので発症率が高いのでしょう。

対策や予防で最も大切なのはやはり水分をしっかりと摂取する事です。

人間でも言われていることですが水分を摂取することは非常に大切です。
もちろん何事にも限度がありますが、水分が不足することは健康に悪影響を及ぼします。水分が不足すれば血液循環が悪くなり、血液中の尿素も増え毒素の排泄が滞るのは容易に想像できる事でしょう。

結石だけでなく猫に多い突発性膀胱炎も原因は特定できていませんが、水分を多くとることで予防に繋がったり改善が見られることは確かです。適度な水分補給は健康を維持するためにはかかせません。

以前

行って良かった!ペットショップで犬の爪を切るとこんなことがわかります
ペット屋の息子です。 今日は前回の宣言通り爪切りのお話をしましょう。 犬であれば家庭でもそれほどの苦労なく行うことができる爪切りですが、血が出てしまうと厄介ですね。 犬の爪の中には血管が通っていますが、爪の中の血管はパイプの中を通っているホ...

でもお話ししましたが爪切りよりもシャンプーする事で多くのことがわかります。皮膚や被毛の状態によってはトリミングの結果が大きく変わります。健康状態が良くなければ被毛の状態も悪くなります。こうしたことも飲水量と大きな関係があります。

水を飲むことも食事と考えて下さい。トリミングに来た犬や猫に説明しても伝わりませんから飼い主が工夫するしかありません。

猫は水の温度が変わることで好みが変化すると言われます。また溜まっている水よりも流れている水を好む場合もあります。それでもだめなら香りや味をつけてみたりと色々と工夫してみましょう。

猫に与える水はどんな水をどのくらい?猫の水分摂取の為の話
ペットショップチロルの息子です。 猫はもともとあまり水を飲む生き物ではありませんが、水分が不足する事により様々な病気を引き起こすことになります。 腎臓病や下部尿路疾患は高齢になるにつれリスクが高まり、12歳以上の猫の90%以上が腎臓病を患っ...

ドライフードをウェットフードに変えたり、ドライフードに混ぜたりすることやフードをふやかして与えることも有効です。

犬のストルバイト結石の原因とは?

犬ではストルバイト結石が形成される原因が異なるようです。
主な原因は尿路の細菌感染と言われ、黄色ブドウ球菌などが感染する事で尿のpHに影響を及ぼします。
菌が酵素を生産することで尿素が分解されアンモニアが発生し、ストルバイト結石が生産されてしまいます。メスに多く見られるのは、オスよりも尿道が短く膀胱に細菌が侵入しやすい為です。

治療には抗菌剤が用いられますが、食事の管理が治療や対策にも大きく関わってきます。

犬猫のストルバイト結石の治療の為の食事管理の2つのポイント

食事での管理では2つのポイントを抑えることが大切です。

1、ストルバイト結石は水分補給で防げ!

ストルバイト結石はリン酸アンモニウムマグネシウム(NH4MgPO4·6H2O)でアンモニアとグネシウムが結合して生産される結晶ですから、尿中のマグネシウムの濃度を低下させることが必要になります。

つまり尿量を増やし、食事のマグネシウム含有量を減らし尿中への排泄量を減らすことが有効な対策です。
しかしマグネシウムとカルシウムは密接な関係にあり、マグネシウムの含有量を制限する事で尿へのカルシウムの排泄量が増加することがあります。
マグネシウムの制限は骨の形成にも影響を及ぼす事になりますので、食事でそれを制限することは成長期の犬猫には大きな負担になることがあります。

飲水量を増やすことで尿量を増やし、尿中のマグネシウムの濃度を低下させることができます。

これにはナトリウムやたんぱく質含有量が高い食事が効果を発揮します。下部尿路疾患用のフードでは通常のフードよりもナトリウム量が多いのが特徴です。

飲水量が増えても尿量が増えるとは限りません。糞便の量や状態によっては水分が排出されてしまい体内に吸収される水分量が減ってしまうからです。その為消化率の高い良質なフードを与えることが必要となります。

スポンサードリンク

2、尿を弱酸性にする

フードに含まれるタンパク質やミネラルのバランスで、尿を弱酸性化することができます。

システインやメチオニンなどの硫黄を含む巌流アミノ酸は体内で代謝される際に酸を発生させる為、尿の酸性化に有効です。しかし過剰摂取はアシドーシス(酸性血症)を起こすことがあります。
代謝性アシドーシスが起こるとその改善の為に様々な反応が起こり、その影響で尿へのカルシウムの排泄量が増加します。骨の脱灰や溶結性貧血の危険も引き起こします。

シュウ酸カルシウム結石とストルバイト結石の2つの違い

ストルバイトよりも厄介なのがシュウ酸カルシウム結石です。
発祥の原因が特定できておらず、フードや内科的治療では溶解することができないからです。

シュウ酸はほうれん草等に多く含まれる物質でアクという表現で言い表されます。
犬や猫では野菜類を摂取することがほとんどない為、尿中のカルシウム濃度が結石を作り出す要因と考えられています。

ストルバイトと大きく異なる点は溶解できないという点と尿のpHの影響を受けないという点です。

1、シュウ酸カルシウム結石は尿のpHやアシドーシスの影響を受けない

尿のpHが酸性に傾くと発症しやすいと言われているシュウ酸カルシウム結石ですが、実際はそうではないようです。

前述で説明したアシドーシス状態になる事で酸が尿中に排出されます。

酸が尿中に排出されれば尿のpHが下がることがありますが、アシドーシスになってしまうとカルシウムが尿中に増えるのでシュウ酸カルシウム結石が形成されます。

アシドーシスになった際にpHの低下と結石の形成が認められたことから因果関係があるように思われましたが、これはどちらもアシドーシスの結果によって引き起こされる症状で尿のpHが下がったからではありません。

 

2、犬猫のシュウ酸カルシウム結石を溶かす事ができない理由

シュウ酸カルシウム結石はまず腎臓内で生成されます。

シュウ酸は毒性が強く多量に摂取すると、昏睡や呼吸困難を引き起こし量によっては死亡することがあります。死に至らずとも腎臓や肝臓に障害が残ることも。

腎臓内に蓄積したシュウ酸カルシウムも身体にとっては有害です。細胞等を破壊し腎臓の細胞を破壊していきますがその際に腎臓の防御反応が起こります。

破壊された細胞からオステオポンチンが生産されシュウ酸カルシウムの結晶を固めて石灰化してしまいます。もともと尿のpHの影響を受けにくい上に石灰化してしまうので尿が多少酸性になろうとも溶かす事は出来ないのです。

犬猫のシュウ酸カルシウム結石の予防・対策

尿中のカルシウム濃度を増やさないことが非常に重要になります。
だからと言って摂取量を制限することが問題解決につながるわけではありません。血液中のカルシウム濃度は常に一定になるようにコントロールされているからです。

ティーカッププードルや豆柴を飼いたい人に聞いてほしい体重と骨の話
ペット屋の息子です。 今日は犬の体重の話の続きです。限定するわけではありませんが、豆柴やプードルを飼おうという方にはぜひ読んで欲しい話です。 チワワ、ヨークシャーテリア、ポメラニアンなどの超小型犬にも言えることですので、体重の事について考え...

でも骨の大切さや役割をお話させて頂きましたが、骨はカルシウムの貯蔵庫としての役割も果たしています。血中のカルシウム濃度が低下すれば骨を溶かしてカルシウムが供給されます。
摂取量を減らしても尿中のカルシウムに変化は起こりにくい上に、骨を脆くする危険が増加するばかりです。

とは言えカルシウムは過剰に摂取しても問題があります。

犬のカルシウム補給量は年齢で変わる!理想摂取量と吸収効率の上げ方
ペット屋の息子です。 あなたもカルシウムが犬にとってとても重要なミネラルだということに気づいてはいるはずです。 しかしどの程度必要でどうやって摂取するべきかを知る人はほとんどいないでしょう。 それなりのドッグフードを与えていればカルシウムが...

良質なフードを選んで給餌量が適切であればカルシウム量を意識する必要はありません。

尿のpHを下げ過ぎてアシドーシスを起こさないように注意をし、カルシウムの排泄量を増やさないことが重要になります。

結果として飲水量を増やし濃度を下げることが一番の対策となります。もしくは猫の対策同様にふやかしたフードを与えることも効果的でしょう。

犬猫の尿路結石は食事で予防できる?おすすめのフードとは?

結石のみならず内臓疾患の不調は食事で予防・改善が可能な場合が多くあります。
胃腸の不良もフードの配合バランスや消化性でかかる負担も違いますし、尿路疾患は肝臓や腎臓に余計な負担をかけない様にすることが大切です。

添加物や着色料などを使用していない良質な原材料の栄養バランスの良いフードを選択する事でリスクを軽減することができます。

ウイルスや細菌に感染することで起こる病気もありますが、免疫機能を高め、損なわない様に良質なフードの選択はとても意味のある事です。

犬猫の結石予防の為のおすすめフード

前述の通り最も大切な予防は水を飲ませる事ですからナトリウム含有量の多い食事を与える事がベストと考えられます。

結石の原因はストレスや食事の栄養バランス、飲水量、細菌感染などがあげられますが、いずれの場合にも食事内容が多かれ少なかれ関わってきます。
結石の予防の為のフードは結局のところ、健康維持に最適なフードということになります。

種類・年齢・飼育場所・運動強度・健康状態・様々な要因がありますのでこれがおすすめ!と言えるには飼育している犬の情報が無ければ不可能です。

優れたフードとは結果でのみ評価されるものです。
どこかの誰かが良いというフードがあなたのペットに最適とは限りません。

ただ基準とするならばロイヤルカナンが良いと思います。全国ほとんどのペットショップでの取り扱いがあり、ラインナップが豊富で問題が起きた時に変更しやすく、犬種別のフードも基本のフードをベースに改良した物でなく、犬種に合わせて原材料や製法を選択しています。
最先端の栄養学で作られたフードですから機能食としては優れていると思います。

特に猫では突発性膀胱炎も多いのでそちらにも配慮がされたフードは特におすすめです。

突発性膀胱炎の猫にphコントロール+cltがなぜ効果的なのかを解説
ペット屋の息子です。 下部尿路疾患、特に突発性膀胱炎の猫に対して有効な猫用のドライフード「pHコントロール+clt」が発売されていました。 その存在をお客様にお聞きしましたが、処方された方は何がどう効果的なのかまでは聞かされていなかったとい...

犬猫の病気は良質なフードと工夫で予防できる確率は格段に上がる

食事は犬猫の健康を維持するうえで最も大切な要素です。

動物病院で処方されるフードは健康状態に合わせて症状の改善のをするための食事です。それはつまり

食事で体の状態を変えられるということの証明です。

健康を戻すことよりも維持することは簡単なはずですから、良質な食事を与えることで病気のリスクを下げられるということになります。

健康を維持することは見えないものへの投資のようなものですから、継続して行うことは難しいのかもしれません。
結果が現れにくい為、どうしても犬猫の好んで食べるフードを選びがちです。

しかし犬や猫はもともと生きるために食事をする動物です。

食べない理由はフードそのものよりは飼い主との関係性や飼育環境に問題がある事がほとんどです。

 

まとめ

今までと違って病気の話をさせて頂きましたが、結局栄養管理が大事だという話です。
手作り食を否定するわけではありませんが、単純な栄養価云々ばかりではなくこういった尿酸値の事まで考えなければならないので、そればかりに頼るのは難しいという事です。

おやつを過剰に与えることで栄養バランスを損なうと、心配なことが増えるということもわかって頂けたかもしれません。
肥満のリスクに加えてこういったリスクも増大することをよく理解しましょう。

最適なフードはこれだと言えないことがこのことからもわかって頂けたでしょうか?

猫はともかく犬は動物として他に類をみない稀有な動物です。
肉食動物の姿を有し、草食動物しか持ちえない消化酵素を生産することができます。その上同種間での体重差が最も大きく、外見上の特徴の違いも多様化しています。

犬はオオカミだったから食事はそれに倣うべきだ。

そう言ったコンセプトでフード業界がナチュラルフードを推奨しますが、もう犬は動物というよりは人間のペットとなり果ててしまいました。けして野生同様の食事では健康を維持することは難しいのかもしれません。

犬には犬だけに与えられる理想の食事を与える必要がありそうです。そしてその正解をこの先ずっと模索し続けるでしょう。人間が繁殖を行いペットとして管理し続ける限り。

犬は人間が創りだした唯一の動物なのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました