ペット屋の息子です。
今日は少し早めに梅雨のお話。
屋久島は月のうち、35日は雨。
作家の林芙美子さんが「浮雲」の中のそんな文章で屋久島に降る雨がいかに長く続くのかを表現しています。
この仕事をしていて休みが無い僕は出かけることがありませんので、梅雨が来るといつもこの言葉を思い出して浮雲の中の屋久島をイメージし、梅雨の間は妄想旅行に耽っています。
とまあこんな風に人間ならば、避けられない事象に対し考え方を変えて楽しんだりする事もできますが、犬や猫にはなかなか難しいでしょう。人間とは頭や体の構造が違いますし、彼らにとって梅雨は最も過ごしにくい時期と言えます。
というわけで今日は犬や猫の為の梅雨対策を考えてみます。
犬が梅雨で皮膚病になりやすい理由
犬や猫にとって梅雨ほど嫌な時期は無いと思います。
人間にとっても不快なこの時期はペットにとって相当なストレスになるでしょう。問題となるのはやはり湿度で、夏程の暑さは無くとも湿度が上がると体感温度も増すものです。
湿度が上がると不快指数も増しますが、人間よりも被毛の厚い彼らにとっては死活問題です。
人間ならばこの時期には衣替えが行られ、少しでも快適な服装に着替えることができますが、犬や猫ではなかなかそうはいきません。換毛期が起こるとしても単純に暑さ対策の為で、高湿度に対応するものではありません。
犬の皮膚は梅雨の湿気や高温に弱く臭いの原因菌が繁殖しやすい
犬や猫にとって梅雨が過ごしにくいのは、体の構造の違いにあります。
体温調整については
でも話しましたが、犬の場合体表のほとんどはアポクリン腺で覆われている為、潜熱による体温調整が人間ほどにはできません。パンティングでは効率よく体温調整が行えませんから、気温が上がれば必然的に体温も上昇してしまいます。
体表の温度が上がり、湿気を含んだ被毛が密集した皮膚はより湿って柔らかくなります。
アポクリン腺から分泌した脂質やたんぱく質を含む汗は皮膚の細菌の餌となりますので、異常繁殖した雑菌が皮膚トラブルの原因になったり、体臭がきつくなります。
さらに犬の皮膚は人間と構造を同じにするもはるかに薄く、人間の皮膚層の平均1.4㎜に比べ、その1/5ほどしかありません。
よりデリケートな皮膚が蒸されてダメージを受けやすい状態になっているという事です。
加えて皮膚表面の皮脂膜のpHは、人間が4.5~6.0の弱酸性であるのに対し、6.3~7.5と高めになっています。菌は酸に弱いので、アルカリ性の犬の表皮は人間よりも過ごしやすい環境でしょう。
犬の皮膚の健康は環境と栄養管理で維持しよう
また、近年は室内飼いの犬ばかりですから、気密性に優れた住宅の中で過ごしている犬ばかりです。空気の流れの無い室内では皮膚の気密性が悪く皮膚は蒸れやすいと言えます。そうした理由から季節の変化で皮膚トラブルが多くなるのです。
こうして考えると犬の被毛が大切なことが良くわかります。皮膚は内臓の健康状態を映し出す鏡とも言われますから、食生活も気を付けるべき時期です。
被毛の主成分はケラチンと呼ばれるタンパク質が80~90%で、 表皮も同様に、ケラチノサイトというケラチンが固まり細胞になった物の層になっています。
でフケの話をしましたが、こうした皮膚を形成する上で重要な栄養素が不足したり、バランスが崩れたりすることでより梅雨の時期のトラブルの発生のリスクは増加します。
少しでも湿度を下げる工夫をすることで問題を予防することが大切です。梅雨の時期に対策を怠たったり、健康状態の変化に気付かなければ大変なことになりますから、栄養管理や衛生管理も忘れずに。
犬が梅雨で下痢や感染症を起こさない様に
排便を散歩のみで行っている犬も要注意です。
特に日本犬などは規則正しい生活を好みますので、散歩での排便が習慣化してしまうと梅雨の時期でも散歩に行かなければならなくなります。
でも話しましたが、梅雨のみならず飼い主の事情や体調などでも散歩が困難になる状況も仮定して、室内などでも排便ができるようにしつけておくことをお勧めします。
雨の中散歩に行くことは皮膚トラブルを引き起こすリスクも増大しますが、細菌の感染のリスクも増やします。車が泥をはねたり、歩く際にあげる水しぶきなどが目や鼻や口に入れば思わぬ感染症や下痢を引き起こします。散歩から帰った後は足の裏や皮膚や被毛をケアを怠らない様に。
特に被毛の厚い犬は皮膚は濡れにくい反面一度濡れてしまうと乾きにくいので、ドライヤーとブラシを使い被毛をめくるようにしっかりと乾かしましょう。
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犬が梅雨でストレスをためないよう散歩以上に楽しめる室内運動を
何日も雨が続けば外に出られないストレスでも体調を崩す恐れがあります。
こうした日には犬と楽しめる遊びでエネルギー消費を促しましょう。
散歩では運動エネルギーを多く消費しますが、実際には広い空間に漂う様々な臭いから安全を確認したり、好奇心をくすぐる何かを探る事でもエネルギーを消費しています。
そうした情報を得て頭で整理することは、散歩で歩くこと同様にエネルギーを消耗することもあります。脳を活かした遊びを犬と行う事で、飼い主も犬も楽しくストレスを発散でき、欲求の解消やエネルギーを消費することができます。
室内におやつを隠し当てさせるなどは知的好奇心を満足させ、おやつを獲得する達成感に食欲をも満たしてくれるよい遊びと言えます。
脳は意外と燃費が悪い機関です。
例えば将棋のプロ棋士などが一局の対局を終えると体重が2、3㎏も減っていることがあります。脳は体重の2%程の比重に対してエネルギー消費量は20%と言われています。
もっとも犬の脳の体重比は0.4%程度なので、人間と比べれば消費量も少ないでしょう。
しかしこうした遊びはストレス解消の意味合いが強く、飼い主とのコミュニケーションが取れるという事で犬に喜びを与えることが目的ですので、犬にとって有益な遊びになることが前提です。
まとめ
人よりも湿気に弱いので健康面でも精神面でもケアが必要です。飼い主のイライラをペットにぶつける事などは以ての外です。
長雨のこの時期をいかに楽しく過ごすかを考える事と、十分なケアを怠らず楽しいペットライフを過ごして下さい。