季節の過ごし方 病気

犬を悩ますマラセチアを知ろう!皮膚炎や外耳炎の治療薬に食事の話

投稿日:2017年5月5日 更新日:

ペット屋の息子です。

そろそろ犬の皮膚トラブルが多い季節ですが、みなさんはどんなことに気を付けていますか?

愛犬をかわいがる方は多いですが、適切な管理をしていますか?と聞くと、なかなかどうしてバッチリですと答えられる方は少ないんじゃないでしょうか?
梅雨などの湿気が多い季節になると猛威を振るうのが「マラセチア」ですが、皮膚炎や外耳炎を引き起こすことで知られています。

季節の変わり目はいろいろとトラブルが起きやすいのですが、特に梅雨の時期は暑さと湿気という犬が最も苦手とする環境になる為、1年で最も注意が必要な時期です。しかも犬が過ごしにくい環境こそマラセチアなどの細菌にとっては非常に快適な環境です。季節に合わせたケアをしっかりと行う事で対策や予防に繋がります。

今日はそんなマラセチアについて学んでみたいと思います。

犬を悩ませるマラセチアとは?

「マラセチア」はヒトや動物の皮膚に常在する酵母菌類で、環境中には存在していません。動物の皮脂から分泌する脂質を好み増殖することから、皮脂の多い部位に定着しています。
マラセチアは19世紀に発見された真菌で、酵母型と禁止型に分類されていました。しかし生理・生化学性状(糖の資化性、生育温度・pHなど)が同じであるため、1984年にMalassezia furfurに統一されました。2005年にはMalassezia属として11菌種が報告されています。

犬の皮膚や耳の中に住むマラセチアの画像

下記画像は犬の耳の中から綿棒で採取した物をギムザ染色して1000倍で撮影した画像です。

耳垢が茶色くべっとりとしたような形状であればマラセチアの異常繁殖の疑いがあります。健康な耳は自浄作用がありますのでこのような汚れはありません。

皮膚に赤い発疹のようなものが出来始めたらマラセチアの繁殖が活発になり始めている可能性があります。ひどくなると脱毛がみられ肌が黒ずんで、カサカサして表皮が剥がれ落ち、ごわごわと硬くなり皮膚にたるみが出ます。

犬のマラセチア皮膚炎

マラセチア皮膚炎は脂漏性皮膚炎とも呼ばれ、皮脂の過剰分泌や皮脂腺の発達した部位に炎症がみられる皮膚疾患です。犬に多く猫にはめったに見られないのも特徴です。
シーズーによく見られる症状ですが、皮膚の痒みや赤みがみられ、脂っぽいフケが出始め、乾燥肌や脱毛、黒ずみやべとつき、独特の発酵した様な臭いがします。皮膚が擦れる関節や脇などや口元、目の周り、指の間などに症状が出ます。
慢性化すると象のように皮膚が固く厚くなり、色素が沈着して黒くなります。

犬のマラセチアは人や犬にうつるのか?

こういった事を心配される飼い主も多いようですが、マラセチアは皮膚の常在菌ですからうつるも何もすべての犬や人間の皮膚にはすでに生息しています。
マラセチアが原因の外耳炎や皮膚炎は皮膚の健全性が失われた結果で起こる疾患ですからうつるということはまずありえません。

マラセチア皮膚炎・外耳炎になりやすい犬種

ビーグル、チワワ、コッカー・スパニエル、ダックスフンド、ミニチュア・シュナウザー、ウェストハイランド・ホワイト・テリア、シーズーなどが多く、パグやブルドッグ系のしわが多い犬種も発症しやすいと言えます。

特にシーズーはかなりの数の犬が皮膚のトラブルを抱えています。

しわ、垂れ耳、長毛種という皮膚のケアが必要な要素が揃っている為でしょう。幼少期から最適な栄養管理、衛生管理を心掛けましょう。また遺伝的にもアトピーやアレルギーを起こしやすい犬種でもありますので、犬選びも大切な要素です。
これからシーズーを飼おうという方は

失敗しない子犬の選び方!生涯飼いやすい犬を選ぶ5つのポイント!

が参考になるかもしれません。

犬のマラセチア治療の飲み薬や塗り薬

イトラコナゾール錠

このイトラコナゾールは経口の抗真菌薬です。
真菌を包む細胞膜にダメージを与えて、真菌を死滅させる作用があります。犬にも猫にも使用できて、真菌の成長を妨げるのでマラセチアや猫のクリストコップス症などに効果があります。

ラミシール錠

出典:https://medical.mt-pharma.co.jp/di/product/las/

ラミシールは経口の抗真菌薬です。
皮膚糸状菌などの真菌(カビ)の細胞膜成分の生合成に必要な酵素を阻害することにより真菌の増殖を抑え、殺真菌作用があります。塗り薬では治療が困難な爪白癬(爪の水虫)などの表在性皮膚真菌症、白癬性肉芽腫などの深在性皮膚真菌症の治療に用いられます。

塗り薬で一般的に処方されるのはニゾラールという抗真菌薬です。

白癬・カンジダ・癜風(マラセチアが原因の真菌感染症)といった菌が原因の症状に対して効果を発揮する使い勝手の良い薬で、癜風が原因の脂漏性皮膚炎に効果を発揮する唯一の薬でもあります。

つまりマラセチア皮膚炎であればニゾラール(イミダゾール系の殺真菌)を使用するべきでしょう。ニゾラールは動物病院で処方される医薬品ですが、インターネット上での購入も可能(輸入品)です。

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犬のマラセチア外耳炎

耳が垂れている犬は通気性が悪くなりやすい傾向にありますが、特に長毛種は要注意です。耳の中にも毛が生えるのでマラセチアの繁殖が活発になり外耳炎を引き起こす可能性が高いでしょう。
ねっとりとした茶褐色の耳垢で酸味のある様な臭いです。ひどくなれば皮膚の炎症も見られ痛みやかゆみを伴いますので耳掃除を嫌がるようになります。
マラセチアによる外耳炎は猫にも見られます。

犬のマラセチア外耳炎の薬

細菌性および真菌性外耳炎用点耳薬ウェルメイトL3

動物用ウェルメイトL3は、「オフロキサシン」、「ケトコナゾール 」および 「トリアムシノロンアセトニド 」を含有している為幅広い細菌に対して有効な点耳薬です。非常に効果が高くローションタイプで使い勝手も良いのですが、高額なお薬です。

組成
1mL中オフロキサシン10mg、ケトコナゾール10mg およびトリアムシノロンアセトニド1mgを含有。

用法・用量
用時よく振り混ぜた後、1回4~5滴、1日2回耳道内に滴下する。

真菌性外耳炎用点耳薬ミミィーナ

マラセジア パチデルマチスに有効な点耳薬で刺激も少なく初期症状では多くの動物病院で処方されます。

組成
1mL中ピマリシン10mg(力価)を含有。添加物としてエデト酸ナトリウム水和物0.5mg、ベンザルコニウム塩化物0.05mg、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸を含有

用法・用量
用時よく振り混ぜた後、1回4~5滴、1日2回耳道内に滴下する。

その他にもモメタオティックなどもマラセチアの外耳炎に処方されることがあります。
モメタオティックは抗真菌剤の「クロトリマゾール」に抗生物質の「ゲンタマイシン」、ステロイドの「モメタゾン」が含有されています。炎症がひどい場合には有効で皮膚炎にも使用される薬で、ステロイドの強度は5段階中上から2番目にあたります。

犬がマラセチアに侵されない為の食事

必要な栄養成分がバランスよく取れる事が一番ですが、犬種や生活環境、年齢によっても大きく変わりますので、どんなフードが良いとはなかなか言えません。手作り食に関して言えば必須ミネラルが不足する事が心配されますので、亜鉛などはサプリメントで補う事も考えなければなりません。とにかく皮膚や被毛の健全性が保たれているかどうかの確認が必要です。

特に症状が出やすい暑さや湿気の厳しい時期には、犬自身の活動量も低下すると思います。梅雨であれば散歩に出る機会も少なくなり、食欲不振からフードを食べなくなると、多くの飼い主は心配になりおやつや嗜好性の高いものを与えがちになります。
そうした食生活の変化からより皮膚トラブルの危険が増すことがあります。

栄養の偏り、特に脂肪分が多い食生活になると皮脂の分泌量が増える事も考えられますから、よりマラセチアにとって最良の環境を与える事になります。
フードを食べないからと言って美味しいものを与えれば余計に拒食が進むことになります。食事のしつけは厳しく行って下さい。

やはり価格が一つの目安となるでしょう。1㎏あたり1,000円を切るような安価なフードは避けた方が賢明です。
添加物や着色料、脂質や糖分が多く含まれているフードは、内臓にも負担が掛かり様々な健康被害が生じます。

多くの方は自身の飼い犬用の犬種別などがあれば、疑いもせずにそれを選択してしまうようです。フードの良し悪しももちろんですが、定期的なトリミングや健康診断を受け栄養状態などが適正かどうか専門家に判断してもらうのが安心です。

いくら良質なフードでも犬との相性がありますので

  • フケが出る
  • 毛質がパサパサしている
  • 皮膚が脂っぽい
  • 被毛が絡む
  • 皮膚が赤くなる
  • 痒がる
  • 軟便・下痢または便秘

などの症状が出ていれば別のフードに変更するべきでしょう。

被毛の健康維持の為の食事については

犬の毛色が変わる?薄くなった毛色を取り戻す方法について考えた

をご覧下さい。

犬の皮膚病予防の為のシャンプー

皮膚病予防シャンプーというものがあります。名前の通り角質のトラブルに伴うフケやカユミなどに有効な薬用シャンプーです。

水溶性イオウミクロジンクピリチオンが配合されているので殺菌・洗浄効果に優れています。
アルテメシア・ローズマリーなど18種類の天然ハーブエキスを配合し植物由来の天然成分が肌の健康維持の為の弱酸性を保ちます。

A.P.D.Cのティーツリーシャンプーなども皮膚の健康維持には最適です。ティーツリーオイルは抗酸化作用に優れ、細菌の繁殖を抑え皮膚の常在菌のバランスを整えます。香りも良く当店でも仕様中の人気の高いシャンプーです。

犬がアラセチア皮膚炎、外耳炎にならないための対策

高温多湿の時期に発生しやすい症状ですから、梅雨時や夏場はよく様子を観察する事が必要です。飼い主の配慮も必要になるでしょうが、体験と学習を重ね克服させるための手助けと、メンタル面のケアを心掛けましょう。
常日頃から健康維持の為に適切な管理をすることが必須です。フードの選択はもちろんですが、与え方にも工夫が必要です。フードの量も毎日同じで良いという事はありません。

犬の餌の量や与え方は計算式や給餌量の表だけでは絶対に失敗する!

の話でもあったように気温によってカロリー消費量も変わります。栄養管理と運動管理が適切なら環境適応能力が十分に発揮されるはずです。犬の様子に応じて季節に合った対策が必要になりますので

thisone-blog.com/trouble/post-619

と同様な環境づくりを心掛けましょう。身体を清潔に保つことも忘れずに。

まとめ

マラセチアを増やさない為と言っても特別なケアは必要ありません。他の病気同様に予防の為のケアは犬が健康でいられる為の環境づくりです。

適切な栄養管理と運動環境を与え、動物として扱い観察を怠らないことです。飼い主として正しいことを行っていればお互いの為に幸せな関係が長く続けられる事でしょう。

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犬のフケを予防するカギは餌の栄養分にあった!改善の為の食事とは?

-季節の過ごし方, 病気

執筆者:


  1. 牧田 亮介 より:

    Comment Thank you very much.
    It would be an honor to serve you and your dog.

  2. ジュリエッタ より:

    我が家の犬は現在マセラチアなのか脂漏性皮膚炎なのかはっきりは解らないが症状が似ている皮膚病になってしまっており動物病院を受診し治療し始めてから1か月と2週間あまり経ちますが中々改善の兆しが見えず、不安な日々を送っています。

    ステロイドは最初の3週間程使用し(抗生物質との併用で)その後は現在に至るまでノルフロキサシン200㎎とトミロンという抗生物質のみで治療し続けているのですが、こんなに長く抗生物質を使用していて重大な副作用になってしまわないかと心配でたまらないのですが、こちらの記事で紹介されているイトラコナゾールやラミシールとは異なる薬ですが病原菌に対して薬が合っていないのでしょうかね?

    因みに患っている皮膚病がマセラチアや脂漏性のものならフードは脂質の少ないものが良いのでしょうか?(我が家の場合、脂漏性でも乾燥タイプと脂性タイプがあるようですが我が家の場合、前者だと思って)

    ダイエットフードばかり与えていたのでフード100gあたりの脂質量の少ないフードが原因で今回の皮膚病になってしまったのではないかと考えミラーコートパウダーという皮膚や被毛に良いとされるサプリメントを与えているのですが寧ろ逆効果になってしまうでしょうか?

    • 牧田 亮介 より:

      ジュリエッタさま

      お世話になります。
      実際に問診、診察している獣医師の方がわかっていることは多いと思いますので何とも言えませんが、抗生物質を続けることのデメリットはあるでしょうね。
      ただ皮膚疾患は回復・改善までに相当時間が掛かります。

      症状と経過についての疑問や心配な点があるのならまずは先生とお話し合いが必要ですね。飼い主様の不安を解消するのも仕事のうちですからしっかりご対応いただけると思います。その上でもし解決できないことやご相談したいことがあればご連絡ください。

      一応いただいた質問の回答と個人的な意見を述べさせていただきます。

      薬の合う合わないはあるとは思いますが、原因が菌であることは特定できているのでしょうか?

      ノルフロキサシンは深在性皮膚感染症や表在性皮膚感染症にも使われていますから、1ヶ月以上の投薬をしているのならある程度の変化はあると思います。

      皮膚のターンオーバーなども考えると症状の回復が実感できるまでにはもう少し先だと思いますが、菌の異常繁殖などが抑えられているかどうかは確認できるのではないでしょうか?

      抗生物質は種類によって腸内細菌に与える影響の代償はありますが、便通などに問題が無ければそう心配することはないと思います。
      ただ副作用などもありますので、投薬を始めてから変わった症状などが見られたら早めに相談した方が良いでしょうね。

      皮膚疾患のトラブルは消化器系の問題によるところが大きいので、効果が実感できないなら別のアプローチを考えてみても良いかと思います。

      フードの脂質に関しては品質の問題や犬種・年齢によっての差などもありますので、その子にとって良いかどうかが問題ですね。
      この場合でしたら鮪の油がおすすめなのですが、現在販売中止されている商品なので、代替品としてはアンチノールがおすすめですね。

      検査などを一通り行って内臓機能などに問題が無ければ、栄養管理や飼育環境の改善、トリミングなどの仕方で改善できると思いますが、ミラコートに関しては与えているフードが何かや種類、年齢などできるだけ細かい情報をいただけないと回答は難しいです。

      お手数ですが

      犬種
      年齢
      性別
      いままで与えている(いた)フード
      飼育環境(室内・室外・ケージ飼育等)

      をお聞かせいただければ栄養管理の面でのアドバイスはできるかと思います。
      宜しくお願い致します。

  3. ジュリエッタ より:

    返答ありがとうございます。

    >原因が菌であることは特定できているのでしょうか?

    私が病院に連れて行っているのではなく私の両親が連れて行っているのでハッキリとしたことは言えませんが検査機器等を使用した検査は行っていないようです。

    あくまで目視と問診のみでの判断で薬を処方しているようです。

    抗生物質についてですが、長期使用による副作用は便通だけでしょうか?

    処方された名前の抗生物質について調べたところ重大な副作用として血小板減少や白血球減少、腎臓や肝臓等の機能悪化やその他色々書かれていましたが重大な副作用は滅多に起こるものではないのですかね?

    又、検査などを一通り行って内臓機能などに問題が無ければとありますが血液検査をすれば良いのでしょうか?

    検査をした場合、内臓機能に問題がある場合はどの項目を見れば良いのでしょうか?(一週間毎に薬を貰いに行きながら治療経過観察もしてもらっているので検査が必要であればしてもらうつもりでいます。)

    犬種 柴犬  避妊済み
    年齢 今年10月で8歳
    性別 雌
    いままで与えている(いた)フード 過去までさかのぼると色々変えすぎているので現在与えている物を明記しておきます。森永スーパーゴールド フィッシュ&ポテト+ライトとピナクル トラウトスィートポテトです。
    飼育環境(室内・室外・ケージ飼育等) 屋外飼育

    以上です。

    • 牧田 亮介 より:

      詳細な情報ありがとうございます。
      というか元ジュリエットさんでしたか。
      途中名前が変わっていたので気が付きませんでしたw

      獣医師の経験則での診断治療という状況ですね。
      脂漏性皮膚炎のような症状ですか・・・

      菌種の原因と断定する材料がなくとも治療の選択としては当然かもしれません。
      脂漏性皮膚炎のような症状ということならマラセチアのみが原因というよりは、ブドウ球菌という別の常在菌も関係していると思いますので、マラセチアへの抗真菌薬とブドウ球菌への抗生物質という治療になりますから薬の選択は正しいのだと思います。

      ただ今までの治療では処方されたことが無い薬ですし、当病院でも扱いがないので効果や副作用に関しては何とも申し上げにくいですね・・・

      まあ、何かしらの結果や変化等が無ければ治療方針の転換や薬の変更等は提案してもらえると思いますが、何しろ犬には問診が行えませんから経過観察は飼い主様頼りですね。
      抗生物質の副作用は記載してあるような症状はごくまれなケースがほとんどです。
      そう起こらないと思いますが、あくまでうちの病院や僕の経験上の話ですし、個体差によるところも大きいので何とも言えません。

      胃のむかつき・吐き気・下痢・便秘・消化不良などの胃腸障害が多いものですが、その確率も数%程度です。
      胃や小腸での消化吸収の際に影響を及ぼすことがほとんどですので、リスクがある場合は保護のために同時摂取のための胃腸薬が処方されることがあります。これは人も同じですね。

      副作用について重篤な症状は出た場合には即刻投薬を中止にという注意喚起と言ったところでしょうか。
      頻繁に起こる症状なら長期間服用させるために処方はしないはずです。動物病院側のリスクでしかありません。

      個人的には食事療法をメインで長期的に経過観察しながら栄養管理で維持回復をという選択を取りたいところですが、どの程度の症状かでも治療方針は変わりますからね。
      それでも療法食を進めないのは疑問を感じますが、その辺はお聞きになったことはありませんか?

      食べたもので身体が出来ていることは事実ですし、お気づきのようにマラセチアの治療としても皮脂の分泌は無関係ではありませんから食生活の見直しは必要だと思います。

      今までのフードも品質は悪くないと思いますが、症状の改善・緩和に至らないのであれば変更もしくはプラスアルファの工夫をすることをご提案します。
      ミラコートも悪くはありませんがやみくもに与えても効果は期待できないでしょう。逆効果になることももちろん可能性はあります。

      以前メタボリックスをおすすめしましたが、脂漏性皮膚炎の症状が出ているのであればダームディフェンスに変えてみる方が良いと思います。
      もしくは先日の回答通り非加熱のEPA・DHAの摂取のためにアンチノールを与えるかですね。

      もちろんいくら良い食事を心がけても栄養を消化吸収し栄養を効率よく使える機能に問題があればそれを改善しなければなりません。
      抗菌剤や抗生物質等で改善や変化がなければ、皮膚疾患と最も関連性の高いのが腸の健康ですので、消化吸収率の良い良質なフードを与えるべきですし、肝臓、腎臓、胃腸にも問題があれば代謝にも影響は出ますし、そのあたりの健康状態は血液検査をしてみないとわかりません。
      ただ相手は獣医師ですから、治療に関してジュリエッタさんが口出しはできないでしょう。

      どの項目ということもはっきり言えませんが、腎臓・肝臓などの項目でも皮膚トラブルは起こりますし、飼育環境と年齢や症状から考えても免疫機能の問題も無関係ではないと思います。
      獣医師的には何が原因でを特定し、症例に合った治療をするのが本道でしょうが、細菌が原因と断定するための検査を行わないのは引っ掛かりますね。

      いずれにしても飼い主様的には原因がわかっても治らないよりは、原因がわからずとも症状を抑えられる方が良いと思いますので、症状の改善を一番に考えれば栄養管理は必須だと僕は思います。フードのみでの治療は難しくとも治療と並行して食事療法は行う方が良いでしょう。

      単純にフケなどの症状であればリノール酸と亜鉛の不足などが考えられますので、ミラコートを与えるというのは選択として間違いはありませんが、脂漏症のような症状であればミラコートではなく良質な脂肪酸の摂取の方がおすすめです。

      いつ頃から症状が出たのかわかりませんが屋外飼育では環境起因性健康障害という可能性も否定できませんね。
      高温多湿がマラセチアの異常繁殖の原因でもありますし、犬にとって夏という気候は深い以外の何物でもありません。胃腸の機能不全は人間でも起こりえますしフードの品質にも影響しますから、治療を考えれば室内での飼育に切り替えるのが得策です。

      年齢と症状と飼育環境に健康状態から考えると、環境改善と食事療法に薬浴やスキンケアなどを並行して行う必要はありそうですね。
      逆に投薬治療が効果がないのであればいったん休止しても良いかもしれません。

      効果がないのに治療をしているとは言えないでしょう。少なくとも経過日数から考えれば治療前と後での変化が認められてしかるべきだと思います。

      実際診察したわけでもありませんし、獣医師を差し置いてこうしろああしろという立場でもありませんので参考にならないかもしれませんが、掛かりつけの獣医師の診断や治療に関して不安や疑問をお持ちのようですね。

      皮膚疾患の治療に関しては獣医師の腕の差というよりも、経験や発想、薬剤との相性などが関係しますから動物病院を変えてみるのも検討してみてはいかがでしょう。いわゆるセカンドオピニオンというやつです。

      近年は専門医という存在が動物医療でも注目されていますし、とりわけ皮膚治療に関しては治療以外にも行うべきことが多いので、病院を変えることで症状が劇的に改善したなどは珍しくありません。トリミングも治療と考える獣医師も少なくないと思いますので是非ご検討ください。

      またしても長文での回答になりすみません。

  4. ジュリエッタ より:

    返答ありがとうございます。

    >獣医師的には何が原因でを特定し、症例に合った治療をするのが本道でしょうが、細菌が原因と断定するための検査を行わないのは引っ掛かりますね。

    私もそれが引っ掛かっているのです。

    一般的には菌を特定し、その菌に見合った薬を処方すると思うのですが検査をしていないので気になっています。

    今更遅いかもしれませんが菌を特定するための検査を此方からお願いしたほうが良いでしょうか? 今度の木曜日に病院に行くので。(今更遅いでしょうか)

    >先日の回答通り非加熱のEPA・DHAの摂取のためにアンチノールを与えるかですね。

    クリルオイルという物では駄目なのでしょうかね?

    当初はオメガ3の脂肪酸を与えていましたが途中からナチュラルハーベストのクリルオイルという物に変更して与えていますがアンチノールの方が良いのでしょうか?

    セカンドオピニオンについても検討はしていますが、これは掛かりつけ医の許可をとって行かないと駄目なのでしょうか?

    掛かりつけ医に相談もせず行くのはドクターショッピングになってしまうのでしょうか?

    • 牧田 亮介 より:

      ジュリエッタさま

      コメントありがとうございます。

      検査に関しては遅いということは無いと思いますよ。
      お話を聞く限りでは治療が進んでいないような状況ですし、治療をお願いしてその支払いをされるあなたが納得いかないのであれば、犬のためにもきちんと話し合いをするべきではないでしょうか。
      相手は専門家と言えどあなたは飼い主で顧客でもあるのです。
      どちらが上でも下でもなく対等の立場であるのですから疑問や不安をお感じならお伝えするべきだと僕は思います。

      それが出来ないのであれば潔く別の動物病院に転院してこれまでの経緯をご説明の上納得する治療を受けたいとお話ししてみてはいかがでしょう?

      いずれもあなたが考えていること感じていることを伝えない限りは状況が好転することはないように思います。
      実際結果が感じられない治療を1ヶ月以上続けているというお話なのでしょう。遅いや早いではなく今できることをしてあげてください。

      クリルオイルについてですが、アンチノールより良いかどうかは与えて比較する以外には検証しようがありませんね。
      しかし健康効果が高いことは事実です。

      僕はクリルオイルというものをジュリエッタさんのコメントで知り簡単に調べてみましたが、成分自体はアンチノールや鮪の油以上に優れたものですね。

      脂肪酸のタイプにリン脂質結合型のオメガ3脂肪酸という物があることは知りませんでしたが、リン脂質に乳化剤としての役割が備わっているので、トリセリグリドの魚油よりも吸収率がいいのでしょう。
      酵素分解の必要ない点からしてより効果的だと思います。

      さらにはアスタキサンチンもプラスされているので抗酸化作用はより強化されています。
      理論的にはアンチノールと同等かそれ以上に良い物です。
      鮪の油ならDHA・EPAの含有量が圧倒的に多いので、吸収率は劣ってもコスパは良いのかもしれませんが。

      セカンドオピニオンに関しては許可も何も専属契約を結んでいるわけでもありませんし必要はないと思います。
      ただ今の獣医師に今後もお世話になるようならまずはご自身の考えや想いをお話しすることが先決です。
      転院を考えていることもお伝えしてみても良いと思いますよ。

      動物病院には治療のために通っているのでしょう?結果が出ないなら別の方法や別の病院をというのは当然の選択だと思います。
      飼い主として愛犬に今何が必要か、何が一番大切かを考えてできることをしましょう。

      差し出がましく意見してしまい申し訳ありませんでした。
      またご相談があればいつでもご連絡ください。

  5. ジュリエッタ より:

    アドバイス有難うございます。

    明日再診の日なので獣医師に相談してみます!

  6. ジュリエッタ より:

    追伸

    病院に行き先生にどのような皮膚病か聞いたところ解らないという回答でした。

    ですが一応皮膚病の経過は良い方向に向かっているようです。

    良い方向に向かっているようなのでセカンドオピニオンについては相談しませんでした。

    ですが私的には納得いかない所があり良い方向に向かっているとはいえ何という皮膚病の種類かも特定しなれば何が原因で今回の皮膚病になったかを追及もせず治療していることに不安を覚えるので病院に連れて行っている私の両親に私が今通院している病院は治療の方法が何か可笑しいので他の病院に転院するなりセカンドオピニオンするなりすればと指図しても治ってきているので良いじゃんと言われてしまい、これ以上指図すると親と喧嘩になってしまうので我慢していますが、皮膚病でも唯の皮膚病なのか体の中に病変があり其れが原因で二次的に皮膚病になっているかもしれないのに病名も解らないま治療しても治りさえすれば良しなのでしょうか?

    どう思いますか?

    • 牧田 亮介 より:

      ジュリエットさま

      まずは病状の回復が見られたことは良かったですね。
      ワンちゃんが辛い思いをさずに済めばそれが一番ですから。

      獣医師の治療についてですが、治療方針は人それぞれですし、飼い主が確認した病気やけがを治療し回復することが一番の仕事です。
      犬のことはまだまだ分からないことが多いのではっきりした原因の特定ができないことも少なくありません。そこに時間や費用を掛けるよりは経験や症状から断定して治療を進めようというのが先生のお考えなのだと思います。
      内服薬であればリスクや副作用のリスクは少ないですし、皮膚のトラブルは時間がかかるものですから。

      必要なのは原因の特定ではなく治療
      再発防止や予防までケアをしようという方は珍しいようなので、病気になったら連れてくれば治しますよというスタンスなのでしょう。

      皮膚病でも唯の皮膚病なのか体の中に病変があり其れが原因で二次的に皮膚病になっているかもしれない

      という点は可能性として否定できませんが、そのあたりは診察の段階で問題ないと判断出来ているのかと思います。
      ペットショップも獣医師も職業の一つですから、なかなか飼い主のお気持ちに沿うことは難しいですね・・・

      今回の検査をすっ飛ばした点は治療が効果的に進んでいれば問題にならなかったかもしれませんし、予防や根幹治療を考えれば日々の管理が大切になりますから、そこまでを獣医師の仕事と考えるのは少々酷な気もします。

      個人的な意見で申し訳ありませんが、思うところでの回答はこんな感じでしょうか。

      それにしても健康管理を含めての理想的な飼育を考えればやはり日本は動物後進国と言えますね。
      以前ブログでも話しましたが、現状では獣医師の負担が大きすぎます。治療後の健康管理や再発防止に関しては治療の範疇としても、犬のしつけや健康管理はペットショップの仕事でしょう。
      トリミングという行為は健康維持のためのものであるべきですし、その結果で栄養管理をどうするかは変わりますし、しつけも健全な関係性の構築に欠かせませんし、犬の精神状態によって健康に影響があることも事実ですから。

      と色々考えればうちのようにショップと病院がセットになっている施設は飼い主にとって必要性が高いと思います。サポートプランという制度も。

      それでも獣医師も人ですから、動物医療の姿勢もここで変わりますし、動物愛護の精神にあふれた方が見つかれば今以上に犬の健康状態の改善維持は可能だと思います。
      まだまだ愛犬との時間は続いていきますから、できることを続けていきましょう。

      お近くならもう少しお力になれることもあるかもしれませんが、できることは質問の回答のみで申し訳ありません。
      返答もすぐにお返しできないこともありますが、今後も僕のスキルアップのためにご協力をお願い致します。

      • ジュリエッタ より:

        返答ありがとうございます。

        皮膚科に特化した専門医なら原因追及までするらしいですが田舎の一般の動物病院では全ての科を幅広く見ているので、これくらいの治療の仕方になってしまうのかも知れませんね!

        貴方の意見を聞けて少し納得出来き安心いたしました。

        有難うございました!

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ペット屋の息子です。 まだ5月ですが気温は例年よりも高い気がします。今年も暑い夏になりそうですね。 犬の多くはヨーロッパ原産で、犬種として確立した身体の機能は日本の気候で暮らすのは、いささか厳しいもの …

犬の噛むはしつけで治る?(5)病気が作り出す攻撃性と対策の考察

ペット屋の息子です。 犬が噛む原因や心理についていろいろと書き連ねてきましたが 犬の噛むはしつけで治る?噛む犬の性格や心理を理解する為の話(1) 犬の噛むはしつけで治る?(2)なぜチワワとダックスが人 …

アンチノールの成分が犬や猫に効果かつ安全な3つの理由とは?

ペットショップチロルの息子です。 併設動物病院のみなとまちアニマルクリニックでも取り扱っているアンチノールですが 幅広い疾患に対応でき副作用もないサプリメントということで多くの方に支持され良い結果が出 …