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犬が脱走する理由をデータから分析しつつ犬の心理と対策を考えてみた

脱走する犬の心理とは? ストレス

ペット屋の息子です。

ペットショップで働いていると飼い犬が逃げたという連絡が時々ありますが、なぜ犬は逃げるのでしょう?
そして脱走する犬は大抵また逃げ出します。

逃げ出さないための対策もしっかりと行うことは大切ですが、逃げる理由も知っておく必要があると思いませんか。快適な我が家を離れ危険を冒す理由がそこにはあるはずです。
犬が脱走することを単にしかりつけるだけでは逆に問題が悪化する可能性があります。犬の起こした行動は訴えたいことの表れかもしれません。今一度、犬という動物との付き合い方を考えてみましょう。

というわけで本日は犬の脱走についての話です。

 犬の脱走の理由はどこにあるかを検証してみる

年々飼育頭数が増えてはいるものの、そのほとんどの犬は室内飼いへと生活の場を変えていっているにも関わらず、犬の脱走は増えているように思えます。単にそれがSNSの発達で情報が拡散される機会が増えたというだけならば心配することはなくむしろ大きな事故に発展するリスクは減ったのかもしれませんが、犬の迷子の数があまりにも多すぎることは事実です。

犬の脱走は飼い主だけの問題ではありません。場合によっては周囲に大きな迷惑や被害を発生させることになる重大な事件になります。脱走する隙を与えない対策や注意はもちろん必要ですが、犬が脱走しようと思わないようにすることも考えなければいけません。

  • 飼い主との関係性が適切か
  • 飼育環境に問題はないか
  • 欲求が解消できる運動を行っているか

犬が起こした行動は、様々な事を見直してみる機会になることもあります。まずは犬がなぜ脱走しようとするか、その理由を考えてみましょう。

 犬種別の脱走数を飼育頭数と比較したデータがあった

犬にも脱走しやすい犬しにくい犬がいることは何となく想像がつくことでしょう。家畜として人に従事するのが犬ですから、用途によっての特性がその行動に表れるのは言うまでもありません。

さてそんな行動を起こしやすい犬の面々が一体どんな犬種かを教えてくれるデータがあります。
昨年のイギリスでマイクロチップの装着の義務化に伴い、イギリスの動物保護団体 Blue Cross が約2,000頭の犬を対象に脱走に関するアンケートを行いました。下記はそのトップ15犬種と飼育頭数の比較です。

 順位 脱走経験のある犬種  イギリスで飼育されている犬種  頭数
 1 ラブラドール・レトリーバー ラブラドール・レトリーバー 509,500
 2  イングリッシュ・コッカー・スパニエル   ジャック・ラッセル・テリア  376,300
 3  ジャック・ラッセル・テリア  スタッフォードシャー・ブルテリア  356,000
 4  ジャーマン・シェパード  ボーダー・コリー  233,700
 5  イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル  イングリッシュ・コッカー・スパニエル  224,400
 6  スタッフォードシャー・ブルテリア  イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル  194,700
 7  ボーダー・コリー  ジャーマン・シェパード  158,900
 8  ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア  ヨークシャー・テリア  144,800
9  キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル  シーズー  117,900
 10 ヨークシャー・テリア  キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル  116,400
 11 ボクサー  ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア  112,000
 12 ボーダー・テリア  ゴールデンレトリバー  91,400
 13 パグ  ボクサー  84,600
 14  プードル オーダー・テリア  84,000
 15  チワワ ロットワイラー  75,400

残念ながら逃走した頭数までは分かりませんでした。ちなみに自身の愛犬が逃走した回数の平均は3回という結果です。

さらにアンケートでは回数や自身の飼い犬以外の質問もあり、近所や知人の犬が居なくなったことを聞いた方は10人中6人とかなり高い割合で犬が脱走していることがわかります。結果から脱走しやすい犬種が見えてきます。

犬が脱走するリスクは犬種でも変わるという事実が判明!

飼育頭数と逃走した犬の数を比較すればどちらも1位はラブラドールですが、逃げやすいというよりは数が多い分だけ脱走した頭数も多いという結果です。

しかし飼育頭数の順位よりも逃走した頭数が多いイングリッシュ・コッカー・スパニエルやジャーマン・シェパード、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどは脱走率が高いという傾向にあり、ボーダー・コリーやスタッフォードシャー・ブルテリア、そして飼育頭数が多い犬種ながら、脱走した経験のあるトップ15圏外のシーズーゴールデン・レトリーバーなどはリスクが低い犬と言えるのではないでしょうか。

結果から見ればやはり牧羊犬や狩猟犬などは安全よりも好奇心や犬種の特性が勝るようです。

しかし飼育頭数と比例するラブラドールに対しゴールデンでは脱走するリスクが少ない結果になっているのはなかなか興味深い事実です。もちろんこれだけでは純粋な犬種の差とは言い切れません。このアンケート結果に性別の記載がないことが残念ですが、おそらくオスかメスかでも結果に違いが出るはずです。

オスの脱走の理由は繁殖行動の可能性が大きい!オスの欲求は海を越える

ずいぶん前の事ですが雌犬を求めて海を渡る犬の映画がありましたが(実際に沖縄であった出来事)オスの逃走や闘争の理由にメスの存在があることは動物の世界では共通しているようですが、海まで渡られてしまったら探すのは困難です。

オスは半径2㎞以内のメスのフェロモンを感知する事ができると言われていますから、未去勢のオスを屋外で飼育しているようなら要注意です。もちろん室内犬でも安心はできません。

生理中のメスが近所にいないとしても散歩で近くを通ったり、その犬と接触した犬や人には痕跡が残されています。突然一時的に興奮して攻撃的になることがあればそういった疑いがあることも覚えておきましょう。

犬の脱走の背景には様々な要因がある

もちろん犬が逃走する理由はそれだけではありませんが、理由はそう単純ではありません。そこには複雑な心理が絡んでいるはずです。

脱走する犬の背景には様々な要因が関係していて、恐怖心や不安、好奇心など、理由や心理は子供の迷子と同じと考えられます。

逃走の理由は様々ありますが心理的には+の感情かーの感情かで分けられます。いずれにしても犬が単独で行動する限り、周囲に与える影響は悪いことばかりです。交通ルールを順守することもなくマナーも理解しているとは到底考えられません。それができる犬が逃げるという行動を選択することは日常的にまずありえないでしょう。

狩猟本能が満たされない犬は安全な縄張りで過ごすことが退屈に思え、より人間社会や外の環境に興味は募ります。脱走の理由がそうした好奇心や異性からの誘いなどであれば、犬自身に戻ってくる意思があるのかもしれません。

とは言え散歩などのコースが同じ時間帯で決まったルートのみであれば犬の持つ情報は少なく、帰巣本能を頼るにしても条件が変われば難しいこともあります。

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犬の脱走事故を防ぐために行動範囲や散歩の仕方を考える

都市部の交通量が多い時間帯はタイヤの焼ける臭いやガソリンの臭いなどがあふれ、人の行き来も激しいとなれば多くの痕跡が残りますが、天候や時間帯が変われば犬にとっては見慣れない異界の地に変化します。

色彩の判別が苦手で視力も劣りますから、動物としての感覚や機能を頼りに街を徘徊することは子供よりも危険が多いはずです。

危険は避けるだけでは経験として身になりません。しつけをしっかりと行うことで脱走を防止することはもちろんですが、散歩の時間帯やコースを変えることも必要ですし、多くの犬や人とコミュニケーションを取っておくことで犬が脱走したときに保護してもらいやすい状況や関係を築いておきましょう。

犬種や性別に差はあれど、捕食行動や生存本能を抑えることは容易ではありませんから万が一の時の為の対策を講じるべきです。

犬が花火や雷の音にパニックを起こし脱走したなら

逃走の理由がー的な感情からであれば危険はさらに大きなものになると考えるべきです。
雷や花火の音などに驚き、恐怖心からパニックになって逃走すれば事故の危険は増しますし、人に寄って行くということも考えにくいからです。

特にこうした行動をとる犬は社交性にかけていたり、人や犬と接することが苦手な犬であることも考えられますから、保護したり帰宅する可能性は低いかもしれません。

些細なことをストレスと感じ恐怖や不安から行動を起こすとなれば、普段の生活の場が落ち着ける自分の縄張りという意識はないでしょう。そう思えない問題を解消する必要があります。

ただ上記のどちらの理由も飼育環境や飼い主との関係性に問題があるから脱走すると考えるべきです。

犬が脱走する理由は飼い主が作り出している

犬は人間に飼われることで野生動物とは比べ物にならない生きやすい環境を得ています。

決まった時間に食事が与えられ、外敵や気候などから身を守る住居があることは野生動物ではありえません。そんな環境から脱走を図るとなれば、残念ながら飼育環境や関係性に問題があるはずです。

好奇心や興味からの行動であっても脱走はそうした欲求を解消する為の配慮は不足していたという犬からのサインです。
子供の問題行動同様に言葉ではない心の訴えであると考えれば、犬を飼うことは子供の教育に通じるものがあると断言してもいい気がします。

犬が脱走する心理を理解し正しい環境や接し方へ改善する

犬の生活が満たされているかどうかは飼い主が思うことではなく、犬の性格や態度などで判断するべきですし、以前に話したように飼育環境が室内に移ったことの弊害なども合わせて考えれば、前述の逃走する犬の数は、散歩や運動の重要性を軽視している飼い主が多いという事実でもあると言えます。

動物先進国とされるイギリスでの現状の数字ですから、おそらく日本ではもっと深刻な話ですね。犬の社会では人間の少子化問題さながらに議論の対象になるべき問題なのかもしれません。

脱走の理由がおおむね理解できたと思いますが、好奇心や興味をもって脱走する犬であれば、コミュニケーション不足をどう解消するかを考えるしかありません。

犬は動物。動くものです。行動欲求は食欲が満たされても解消されるものではありません。それは狩猟犬という存在からしても理解できるはずです。

犬の脱走の理由は犬ならではの特性と心理が影響する

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その理由と脱走は無関係ではありません。犬が獲物を追うのは捕食行動からですが、それが全てならば人間は犬を狩りのパートナーに選ばなかったでしょう。獲物を奪う天敵として駆逐する対象ではないことがその証明です。

使役の為に発展した犬ですが、狩りをすることは犬にとっては仕事ではなく、行為そのものが報酬でもあるのです。人間からすれば趣味と考えてもいいでしょう。
野生時代の狩猟本能を活かしながら狩りを行い、しとめた獲物は人間が頂く。野生動物であれば考えられない関係です。これが唯一できるからこそ犬は犬なのです。

犬が脱走したいと思わないような環境や関係性を作るには?

脱走の理由がマイナス感情からの行動であれば改善はなかなか困難でしょう。根本的な問題は繁殖の弊害や幼齢期の社会化期の過ごし方、あるいは飼い主の考え方にあると言えます。

厳しい言い方をすれば、犬を飼うという覚悟をしっかりと持っていない方であれば犬を価値ではなく価格で選ぶ事にためらいもなく、血統の重要性を考える事もせず、問題は深刻化して初めて対処するという姿勢を取るのでしょう。

これから犬を飼う方でこのブログを読んでいる方はほぼいないと思いますが上記の話は脱走のみならず問題行動や健康寿命を長く維持する上でも非常に重要です。下記投稿記事も目を通して頂ければ幸いです。

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犬を飼うことは子供ほど責任が重くないのは事実ですが、甘すぎる考えでいればそのしっぺ返しはなかなか強烈です。

脱走以外でも犬が問題を起こすのなら原因の究明と対策を怠らないように、早い段階で訓練士などに相談し、自身の考えや飼育環境などを確認してもらうことをお勧めします。

まとめ

久しぶりに上から目線で発言してしまいましたが、ものすごく「言ってやった感」があります。スッキリしました。最近は犬を好きではない僕の目から見てもかわいそうにと思う状態の犬を見ることが多かったのでお許し下さい。

しかし犬が自覚して行動を改めることはあり得ませんし、こうした話を聞いてくれることもありませんから頼れるのは飼い主だけです。

子供のしたことは親の責任同様に犬のしたことは飼い主の責任です。

飼い主が問題行動の改善に専門家を頼ることが当たり前になればペットを取り巻く環境も少しは変わるかもしれませんね。

本日もお付き合い頂きありがとうございました。

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