ペット屋の息子です。
昨日に引き続き人間の能力の話になりますが、動物と比べれば劣る点は多いと思いがちですが、こと移動という手段においては動物界でもトップクラスの能力を持っています。
にわかには信じがたい話かもしれませんが、昨日の
で話した耐熱能力は走行能力とも非常に関係がある能力です。
アフリカの大地で狩りの獲物を競い合い、現在までの進化と発展を遂げた能力の秘密に迫ってみましょう。
というわけで人間の超動物的能力解説パート2です。
驚くべき人間の走力!その速さと移動距離は哺乳動物界1
哺乳動物界って言わないと思いますが、そこはスルーしましょう。
人間てものすごく足が速い動物って知っていましたか?そんなわけないというあなたは頭が少し硬いかもしれません。タイトルの速さというのも瞬間最高速度ではありませんから。
一般的には速さと聞いて思うのは時速何kmの瞬間最高速度かもしれません。ですから
人類で最も足が速い人間は?
と聞けばウサイン・ボルトと答える人は多いでしょう。おそらくデニス・キメットと答える人はまずいません。彼も同じく世界記録保持者ですが、知名度はボルトほど高くないはずですから。
でもフルマラソンならデニス・キメットは人類で最も足が速い人間です。いえ動物界でも最速かもしれません。マラソンという競技においては犬やサラブレッドではけして彼に勝つことはできませんから。
犬、馬、人間の瞬間最高速度は?
ボルトは100m、200mという競技において世界記録を保持していますが動物と争えば犬や馬はおろか猫やウサギにも劣ります。それぞれの速度を比較してみましょう。
動物の瞬間最高速度 | ||
動物名 | 速度 | 100m記録 |
チーター | 113㎞/h | 3.2秒 |
ガゼル | 90㎞/h | 4.0秒 |
サラブレッド | 72㎞/h | 5.0秒 |
犬(グレイハウンド) | 70㎞/h | 5.1秒 |
うさぎ | 64㎞/h | 5.6秒 |
熊 | 56㎞/h | 6.4秒 |
猫 | 48㎞/h | 4.0秒 |
ワニ | 40㎞/h | 9.0秒 |
象 | 39㎞/h | 9.2秒 |
人間(ウサイン・ボルト) | 44.6㎞/h | 9.53秒 |
人間は犬や馬はおろかウサギやカバよりも足が遅いという事実
以前に動物のランキングは彼らが本気なのかどうかわからないのであてにならないという話をしましたが、これらももちろん同じ理由であてになりません。しかし本気を出していないという点でいえば少なくともこのデータよりは早いかもしれないという事です。そう考えれば人間は足が速い動物かと言われると疑問です。
上記の表が正しいかどうかはわかりませんが事実とすればウサギやカバや象にだって追い抜かれてしまいますから。
しかしこれがマラソンとなると記録や順位はガラリと変わります。
人間は走る距離が長くなるほど足が速い!人類VS馬を比較してみた
マラソンランナーは誰よりも早く遠くに移動できるわけですから足が速いという表現で間違いありません。
一般人では難しい話ですから
もしもデニス・キメットと馬がマラソンで競い合ったら?
として考えれば、馬が全力疾走で移動するペースは時速約70㎞ですが、その速度を維持できるのは約10分間と言われています。その後も走り続けるとすれば20㎞以下に減速しなければ命を落とす危険さえあります。炎天下であればそのペースはさらに落ちるでしょう。
しかしデニス・キメットは時速20.59 kmの速さで2時間は走ることができますし、人間の圧倒的な耐熱能力をもってすれば時間さえかければ追いつくことが可能なのです。
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走る能力は食物連鎖の関係性が作り出した
草食動物と肉食動物の関係は獲物とハンターです。どちらもその走力は瞬発力に任せたもので、言わば一瞬の鬼ごっこです。
いつからどのように始まった関係かまではわかりませんが、動物界においてはこの一瞬の攻防が生死を分ける境界線となっていることは事実です。
肉食動物は逃げるよりも速く、草食動物は襲われるよりも早く。
死に物狂いで逃げる草食動物の爆発的な加速力と瞬間最高速度は発達した大腿筋からも容易に想像できますが、肉食動物も捕獲できなければ飢え死にしてしまいます。生きるために必死に狩りを行ってきました。そんなことを繰り返しながら瞬発力を生み出す筋肉や心肺機能を高めていったのです。
そんな能力に特化した彼らはその速度を長時間維持することはできません。筋肉の燃焼で産み出されたエネルギーは効率の良いものではありませんからガス交換を頻繁に行わなければならず、また体温の上昇を防ぐためには呼吸で行わなければならない為、生物学的に長距離を走ることができません。
人間が進化で得た他の動物に無い走る為の優れた特性とは?
一方の人間は食物連鎖の頂点に君臨する事ができる能力を有する事ができました。そんな動物に対抗する為に全く別の進化を遂げていったからです。
二足歩行になったことで得た特性は暑さに対抗するだけのものではなく、狩りをするためにも非常に優れたものでした。
先日も話した通り口で呼吸できる動物は人間くらいのもので、直立姿勢で生活するようになった人間は首に対しての顔の向きが動物と変わってきます。そのため食べ物が通るルートが直角に折れ曲がって広がり、喉頭蓋と口蓋の距離が離れました。
二足歩行と言ってもいい鳥類はというと、彼らは爬虫類と同じく気道と食道とが独立している為、口で呼吸する事ができません。
優れた冷却システムである発汗による熱の発散は、暑さ対策の為だけではありません。体内で発生した熱エネルギーを効率よく排出できる機能は人間の特殊能力なのです。
人間にとって走るという行為は素早く動くことではなく、長く遠くへ移動することなのでしょう。それを証明するような身体的特徴が残されています。人間が走ることにどれだけ特化した動物かはDNAの95%を同じくするチンパンジーと比較すれば明らかです。
走る際に頭部を安定させるために存在する、項靱帯(後頭骨の外後頭隆起から第7頚椎棘突起までの腱)はチンパンジーにはありませんし、大殿筋も全くと言っていいほどありません。走るために必要なアキレス腱も持ち合わせていないのです。
人間の二足歩行は狩りにおいて最高の武器になる
人間の能力は努力と執念が生んだものなのでしょうか、狩りという点で見ればこの能力はなかなか陰湿な能力とも言えます。
人類にのみ与えられたこの突出した能力を使った「持久狩猟」は、逃げても逃げても執拗に追いかけてくるハンターの恐怖を味わうことになる為、獲物にとってはたまらないストレスだったでしょう。
人間が狩りに弓矢を用いたのは約2万年前、槍を使っての狩りは50万年前の技術です。
200万年前に誕生した人類は道具を持たず素手で狩りをしていました。
獲物を追い立て走らせ、熱によるオーバーヒートを起こし倒れるまで執拗に追いかけまわし狩る方法で生きながらえてきたのです。
人間のみが持ちえた特殊能力を発揮すれば狩りの失敗はない!
こうした能力から考えれば人類発祥の地がアフリカであるというのも納得できる話です。
人間が猛獣と獲物を取り合いながらも生き抜き進化して発展を遂げる事ができたのは優れた頭脳を持ちえたからではなく、超動物的能力を身に付けていたからなのです。
狩りに特化しているという意味では人間もまた同様です。ネコ科の敏捷性やイヌ科のような獲物を追い詰める脚力は持たないものの、長時間発熱や呼吸をコントロールできる点で非常に優れています。人間のこうした特異的能力が優位であることは現在もアフリカに狩猟民族が暮らしていることが証明しています。
まとめ
人間の走行能力の素晴らしさがご理解頂けたでしょうか?
炎天下の中でも高い速度を維持し移動できる動物は我々人間のみで、その能力は動物界においてトップクラスなのです。
もしあなたが見渡す限り何もないような荒野に住んでいたなら犬や猫が脱走しても何も心配ありません。見失いさえしなければ必ず捕まえる事ができるのですから。
本日もお付き合い頂きありがとうございました。
この記事の問題点:動物の瞬間最高速度 は表になっているが 動物の持久力 の方は表にすらなっていない。
大抵の動物は 短距離走は速くても長距離走(陸上競技では5000m以上、競馬と陸上競技では基準が違うので注意)になるとヒトより明らかに遅く、平凡なアマチュアランナーにさえ抜かれることはよく知られている。が、イヌ、ウマの二種だけは例外。
イヌは常温環境ではヒトの方が速いのは事実だが差が小さくなり(どんくさい人は追いつけないかも?)、低温環境(犬ソリ)では持久力が強い。
ウマはいろいろな意見がある。
マラソンの世界記録なら2時間ちょっとだが、平凡な市民ランナーならフルマラソン4時間とかで走っている。誰と比べるかが問題。
馬にも色々ある。若くて元気なサラブレッドもいるし、年老いたよぼよぼの老馬もいるし、子供専用みたいな小さいポニーに大人が乗るのも横行しやすい(小さいほうが乗り降りが楽だし、第一維持費が安い)。
素人の乗馬なら駈歩=時速20㌔ほど。騎手の技量も問題。
>もしもデニス・キメットと馬がマラソンで競い合ったら?
この比べ方をするのなら、馬の方も世界チャンピオンと比べなければならない。騎手の技量も高くしなければならないことは言うまでもない(馬は騎手が乗っているから走るのだという事を忘れてはならない)。そんな実験をしているハズはなさそう。
>馬が全力疾走で移動するペースは時速約70㎞ですが、その速度を維持できるのは約10分間と言われています。その後も走り続けるとすれば20㎞以下に減速しなければ命を落とす危険さえあります。
結局、この文章は完全な推測、全然根拠なし。
草食動物が自然界で動けなくなると肉食動物に追いつかれて喰われてしまいます。だから、馬には体力の限界に達しても自ら進んで止まる/レースを棄権するという機能はありません。(騎手が追い続ける限り)完全にへたばるまで走り続けます(へたばったらそのまま死んでしまう場合もあり得る)。完全にへたばる寸前まで追い込むという騎手の技量が大きく問われることになります。この種の実験は簡単には出来ません。
>炎天下であればそのペースはさらに落ちるでしょう。
馬は汗だく息が凄く荒く走り方が段々おかしくなってくることは否めないが(乗っている人は馬のつらさが解らないから、どんどん蹴ってどんどん走らす)、人間のランナーの方もペースが落ちます。
結局どちらが速いかは容易に結論が出ない・・・みたいです。
>もしあなたが見渡す限り何もないような荒野に住んでいたなら犬や猫が脱走しても何も心配ありません。見失いさえしなければ必ず捕まえる事ができるのですから。
足が余り速くない人は、猫ならつかまっても、犬は逃げられてしまう可能性が大でしょう。
鈍足ランナーさん
コメントありがとうございます!
この記事意外と読まれてるんだなーと思った矢先にコメントまでいただけてありがとうございます。
動物のことですから比較するのも難しいですよね。
そもそも本気出してるかどうかわからないのでデータの信憑性がないですし(笑)
でも可能性はあるのかなって思ったら楽しくないですか?
人間が優れているのは頭脳だけでなく身体的な能力も長けているから生き延びて進化の礎を築けたんだと思えるとちょっと感動したりとか。
いろんな意見を頂けるとブログを続ける励みになりますのでまた良かったらコメントください。
ウサイン・ボルトは、もっとずっと速いはずです。止まった状態から加速する100メートル走のタイムからの換算では瞬間最高速度は分かりません。
ささ様
おっしゃる通りですね。
瞬間最高速度は44.6㎞/hらしいので訂正しておきました。
ご指摘ありがとうございます。
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