ペット屋の息子です。
去勢や避妊についても語らせてもらっていますが、術後に被毛がかなり変化するのがどうも気になります。
因果関係がはっきりしないから病院では説明がなされないようですが、長毛種ではかなりの変化があります。事前にしっかりとそのことを理解しておいた方が良いでしょう。
何故かネットで画像検索してもあまり出てきませんが、ダックスフントの手術後の被毛の変化は驚くほどです。健康的な影響ではありませんが今日はそのことについて話したいと思います。
ダックスの去勢・避妊後の毛質の変化画像
ダックスフントばかりではありませんが、去勢や避妊手術することで毛質が変化します。犬種によっての差や時期や栄養管理でも大きく変わるようですが、ことダックスに関しては他犬種に比べて非常に大きな変化が現れます。
画像は当店のスタッフの愛犬ですが、避妊して約1年後の画像です。
ほぼ全身の毛がふわふわの綿毛のような毛に変わりました。毛量は増えたように思いますが、全体的に潤いや艶が無く、色も褪せたように変色しました。
変化は徐々に訪れます。
最初は指や足裏の毛から始まり徐々に上へと上がって行くように少しづつ全身の毛が綿毛のように変わります。
ダックスの去勢・避妊後の毛質の変化の理由
ある方は
去勢したことで性ホルモンが減少したせいで毛質などに悪影響が出た、
というご意見が実際にいくつもありますが、
それは基礎疾患の見逃し以外の何ものでもありません。
と言いますが果たして事実なのかどうか。獣医ではないのでこの意見に関して医学的見地から正しい反論は出来ませんが、やはり去勢や避妊の影響と考えるのが自然だと思います。
[ad#co-1]ホルモンと被毛の関係
皆さんもご存知の通り、性ホルモンと被毛には密接な関係がありますが、人間でも犬でもそれは変わらず、性別に関わらずどちらの性ホルモンも持ち合わせています。
男性ホルモンの一種である「テストステロン」は毛乳頭や毛乳体に働きかけ、発毛を増強し、女性ホルモンの「エストロゲン」はコラーゲンを生成し、毛のコシや太さに関わりが深いとされています。そして甲状腺ホルモン「サイロキシン」は毛の艶、発毛などに関わりがあるホルモンです。この3つのホルモンのバランスが保たれることで被毛は最適な状態が保たれます。
ダックスでは去勢・避妊後のホルモンバランスの変化が顕著に表れる
日本では長らくJKCにおいて登録頭数が1位だったダックスは、必然的に去勢・避妊した数も多いのです。全ての犬に見られる変化ではなくとも被毛の変化は他の犬よりも多く顕著に表れている様に感じました。それでも視認した数は多くても100頭程度ですが、手術後に無変化だった犬は記憶にないように思います。
おそらくダックスは性ホルモンの分泌と甲状腺ホルモンの関係性が、特に被毛に多くの影響を及ぼすのでしょう。
ダックスに限ったことではありませんが皮膚疾患のほとんどははホルモンの失調が関係しているようです。
人間であれば思春期を迎える頃から性ホルモンの分泌が活発になる為、男性にはムダ毛と呼ばれる体毛が生えてきます。犬でも子犬と成犬では毛の質が全く違うのは、成犬に近づくにつれ人間同様の性別の差が現れるようにホルモンが働きかけるからでしょう。徐々にオスらしい体つきになり被毛にもコシやしなやかさ、太さの変化が見られます。
去勢するということはそうした成長過程の逆を辿ることになります。手術によって性ホルモンの働きが抑えられた結果、被毛の幼児化ともいうべき現象が起こるのでしょう。何故ダックスにばかり明らかな変化がみられるかまではわかりませんが。
ダックスの去勢・避妊時期はいつ頃が良いか
被毛の変化を起こしたくないのなら早目の手術が望ましいかもしれません。しかし麻酔のリスクは体の出来上がっていない幼犬には高いでしょうから、健康状態やサイズにより最適な時期は異なります。犬が動物である以上、去勢や避妊手術が行えるのは月齢何ヶ月とはっきりは言えません。獣医師の考えや技量も無関係ではありません。
急ぐのなら6ヶ月を目安に病院を受診してみて成長具合から相談して時期を決めることをお勧めします。
ダックスの去勢後の性格の変化について
ハッキリ言ってほとんど変化が無いように思います。
術前からテストステロンの影響での問題行動が目立つようなら、去勢後に性格が変わることは期待できるかもしれませんが
で話したような関係性や環境下ではもともと性行動が抑えられている可能性があります。
多頭飼いでオス同士のトラブルがあるような場合には有効かもしれませんが、もともとダックスは集団で狩りをしたりする犬で、垂れ耳でもありますから性格的には穏やかな個体が多く、テリア種のように攻撃的欲求を持ち合わせている個体は少ないでしょう。噛んだりという行為をすることがあるとしたら拒否や防御の為の行為ですから、そういった性格は性ホルモンとの関係性は低いはずです。
性格の変化を期待しての手術ならお勧めしません。しつけの問題を手術で補おうという考えでは犬との健全な付き合いは難しいでしょう。すぐにまた別の問題に悩まされると思います。
逆にもともと臆病で他人を受け入れないような性格であれば手術をすることでより他者に対する不信感は増すかもしれません。それは去勢や避妊した結果ではなく、手術という行為に対してのトラウマ(PTSD)が考えられます。
いずれにしろ手術を犬に受け入れさせるという準備が必要です。
去勢や避妊手術の為の準備
犬が手術を受ける事になれば心身にかかる負担は相当な物です。本人の判断で獣医師の説明を聞いて納得して手術を受けるわけではありませんのでしっかりとした準備が必要です。
家族、特に飼い主との関係性が深い分離不安などの犬では手術や入院という普段体験したことの無い行為、環境に加えて痛みもありますから不安を感じるのは当然です。トリミングや健康診断、ワクチン接種やフィラリア予防、買い物の際にショップに預ける等、飼い主とはなれる事や他社とのふれあいの機会を多くとっておくことをお勧めします。
予期せぬ出来事を受け入れられずPTSDになる犬も少なくありません。特にダックスは精神的にもろい犬が多く見られます。これは飼い主の接し方やそうなりやすい飼育環境だったせいでということが多いように感じます。
些細な事をストレスに感じないような犬にしておくことも手術を受けさせるためには必要な事でしょう。
まとめ
今回は去勢・避妊の話をダックスを対象に話していきましたがオスでもメスでも被毛の変化はかなり大きく変わります。健康に影響は無いようですが見た目の美しさが損なわれることになりますので、術後ショックを受けられる方は多いようです。
こうした変化があることを動物病院でしっかり説明を受けたという方は少ないようですので、もし手術をお考えの方は実際どういう状態の被毛になったかを実物をご覧になることをお勧めします。やはり論より証拠です。
手術はしてしまえば元には戻せません。決断する前に寄り多くの情報や事例を参考にしてみては?
本日もお付き合い頂きありがとうございました。
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