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犬は飼い主に似る?犬との関係性が生む問題点は愛情が原因

しつけ

ペット屋の息子です。

犬と人が暮らし始めたのは1万年以上も前の事ですが、その頃に比べると犬と人の関係は大きく変わっています。人間と犬との関係は今とは違い、飼育というよりも共生と言った形で成立していました。
犬は人間と生活を共にし従う事で安全を確保し、食料に困らない暮らしを得ることになり、人間は犬を使役し、狩猟や作業の負担を減らすことが出来ました。
犬と人間はお互いの長所を生かし、相互関係を保ちながら共に歩んできましたが、文明の発展と共に犬と人との関係はお互いの生活を支え合うものではなくなりました。
人は知恵を持ち、生き抜くために体ではなく頭を働かせる道を選んだからです。
いつしか人間の生活は、生き抜くために努力をすることから、いかに豊かで楽しい人生を送るかと変化を遂げていきました。それに合わせ犬の役割も大きく変わりました。

はたしてそういった変化はお互いの為に良かったのでしょうか?
そうした変化が人と犬をより近づけ、多くの共通した問題を産みだしています。

犬は飼い主に似てしまったのです。

犬は飼い主に似る

現在の犬は労働力ではなく癒しの対象としての役割を与えられていますが、こうした役割の変化が主従関係の逆転分離不安を産みだしたとも言えます。

役割の変化に伴い犬と人間の距離感も少しづつ縮まってきましたが、そのことに少なからず危機感を覚えます。ペットショップに努め日々飼い主の方と接していると、人間のコミュニケーションの弊害が犬にも影響を及ぼしているのを性格や問題行動から見て取れるからです。

犬は飼い主に似るということわざがありますが、全くその通りと思う事があります。言葉や生活習慣が違う犬が飼い主の行動を手本に人間社会での生活を学習していくからです。

人間の社会では、男女平等や個性や人権を守るような規則や法律が作られ、何かにつけてハラスメントと訴え、理不尽や逆境に耐え、克服しようと努力し成長する機会を自ら奪っていきます。
科学技術の進歩は目覚ましく、まさに日進月歩。日が変わるごとに急速に身の回りが変化を遂げ、次々に快適に暮らしやすい環境へと進んでいきます。
日々の日常のちょっとした時間が空けば、スマートフォンをタッチして様々な娯楽が体験でき、多くの人と喜楽を共有し、小さいながらも多くの満足で満たされています。
そうした生活は楽しさに溢れていますが、競争心や向上心を奪う事にもなりかねません。不平や不満に対しての改善の為の行動力も失われていくでしょう。

人間の進化とは、自分を変えるのではなく周りを変えてしまう事で困難を克服する事です。

人に付き従う犬も同様にその恩恵が与えられましたが同じ問題を抱えることにもなりました。もはや人と犬は運命共同体なのです。
ペットとしての地位を確立した犬には、人間の変わりに辛い労働や生き抜くための努力はもう必要ありません。食に困って飢える事も皆無です。
寒さや暑さを苦に思う前に飼い主が何かしらの対策をし、要求をせずとも食事が与えられ、好き嫌いを言う事すら許される生活環境の豊かさに、すっかり身を落としてしまった犬達の姿が多くの家庭で見られます。
現在飼育下にある犬や猫の1番の健康問題である肥満はそうした環境が生んだと言っても過言ではありません。そして人間と同じように犬の中の野生や生存本能が失われつつあります。

犬と人間に共通するオスの弱体化

数年前から異性に積極性がない若年層の男の子を「草食系男子」と呼ぶようになりましたが、犬にもそういった傾向が見られます。
共生という関係性が飼育に変わり、今では飼育も同居同棲と呼べるほどに変化を遂げ、安全で快適な生活を続けることに不安や心配もなくなりました。そうした環境に居れば、生存本能のうちの子孫繁栄の為の欲求が欠如していく事は当然の結果とも言えます。

「草食系男子」と呼ばれる子供達を育てた親が犬を飼育すれば、自分に必要な事はすべて飼い主が行い与え、身の回りの危険は排除してくれると信じて疑わない犬に成長するでしょう。
そうやって育てられたオスは去勢をせずとも異性に興味を持つことが無くなりつつあります。最近では排尿の際に足を上げないオスも多く見られます。こうした犬は飼いやすいかもしれませんが、思わぬ問題行動を引き起こしたり、分離不安や共依存に陥りやすいのも事実です。

子供と違い自立せず、いつまでも自分を親と慕う犬はかわいいと思える存在なのはよくわかります。

しかし

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で話したように、そうした環境や関係性が崩れた時にお互いの不幸が始まります。

犬と正しい距離間で付き合っているか

たまにはそうした事を自分に問いかけてみることも必要かもしれません。

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犬の飼い主の責任と覚悟

犬が問題行動を起こすことを危惧し、コミュニケーションの機会を奪っていく飼い主が少なくありません。
散歩ですれ違いざまに挨拶をかわそうとする犬が、自分の連れている小型犬よりも大きく活動的な犬ならば、何かトラブルが起こったらと不安を覚え抱き上げてしまったりしていませんか?
そういった行動の積み重ねが犬の社会化を阻害しているのです。

飼い主の思うかわいいかわいそうが犬をダメにするところも人が抱える問題と同様です。

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で犬を飼う事の覚悟の話をしましたが、人間の親にも言えることです。
かわいいからかわいそうな体験をさせたくないと言うのは、飼い主や親として問題の責任を取ることからの逃げです。

経験から学習し克服する

そうした機会が与えられなければ子供や犬が成長することは無いでしょう。犬は人間ではなく飼い主もまた犬の親にはなりえないのです。
人に人とのコミュニケーションが必要なように犬には犬とのコミュニケーションが必要です。

飼い主と犬との距離が近すぎれば分離不安共依存に発展するのは広く知られていますが、犬は言葉による説得もできない上に、犬とのコミュニケーションの機会を持たずに成長した犬は、もはや自分が犬という認識も皆無です。そうなれば改善の為に大きな労力と長い時間をかけることになるでしょう。
室内で散歩に出ることも少なく他の犬との会話の機会が得られないのはそうした弊害を生む事に繋がります。
人と犬にこうした問題が共通してみられる事から、いかに人が犬を擬人化しているかがわかります。

親や飼い主になるのに資格は必要ありませんが自覚は必要です。

初めての試みならば知識や経験が不足するのは当たり前です。しかし覚悟がないのならそうした立場になるべきではありません。

犬に必要な飼い主以外との交流

トリミングの重要性は

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でもお話ししましたが、犬にトリミングを行う事は健康や美容の為というばかりではなく、飼い主以外の他人とのコミュニケーションの機会を作る為でもあります。

子犬のうちからそうした事に慣れさせておくのは、健全な社会化を図るためにはとても重要な事です。
もともと子犬には子供同様に好奇心が備わっています。もともと好奇心は様々な体験の機会を経て学習し成長する為に備わっているものですから、それを利用しストレスに強い個体に育てる事はそう難しいことではありません。
犬の社会化を健全に行うためにはそうした好奇心のある時期に多くの体験をさせることが重要です。

もっともそうした期間に個室に分けて犬を孤立させるペットショップの販売方法は奨励しがたい物であり、それを行っている立場の人間が声を大にして言えることではありませんが・・・

しかし犬の社会化は購入後の飼い主の飼育で変わるところが大きいという研究結果も出ていますが、いずれにしても人間が創り出す飼育環境が問題という事は同じです。

まとめ

狩猟を行っていた時代や農耕が始まった時代であれば、犬や猫との共生は人間にとっても非常に有益なものでした。しかし現代ではそうしたことのほとんどは科学技術で補えるようになり、犬や猫と共生することの意味がなくなりました。
しかし犬や猫と暮らす方の数は年々増えていきます。

共生ではなく飼育という関係になった今、犬を飼うことの意味はけしてお互いのメリットになるものではありません。犬を飼うことの意味に正解が無くなってしまった以上、自分の中でそれをしっかりと考える必要が出てきました。

共生という形は自然界でも見られることでけして不自然なことではありません。しかし飼育という形になればそれは人間だけの行為です。

動物が動物を飼う

そのことにどんな意味があるのでしょう。あなたにとって犬を飼う意味はありますか?

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