ペット屋の息子です。
世界で一番○○なのは?
そういった事に興味を持つ方は実は結構いらっしゃると思います。自分もそういう達ですが、好奇心や探求心が旺盛な方が知りたがるこの「世界で一番な○○」犬の中でも色々とあげられますね。
世界で一番小さな犬
世界で一番大きな犬
世界で一番重たい犬
世界で一番賢い犬
世界で一番足の速い犬
世界で一番長生きした犬
検索するといろいろ出てきますね。
では世界で一番恐ろしい犬は?
こうした質問には犬種名が出てくるでしょう。一般の方の回答を予想するなら、ドーベルマンが最有力候補かと思いますが、ちょっと詳しい人ならピットブルの名前は間違いなくあげられますね。あとはマスティフやロットワイラー、土佐犬も対抗馬にはふさわしいかもしれません。
今日はそんな世界で一番恐ろしい犬の話。
チワワの性格は勇敢で警戒心が強い
世界で一番恐ろしい犬は?と聞かれたら僕は「チワワ」と答えます。
トリミングする上で一番警戒しなければいけない犬種です。もちろんトリミングに限ったことではありません。飼育環境や教育によっては彼らとコミュニケーションを取ることは非常に難しいのです。
彼らは世界最小種の犬として世界中でかわいがられています。愛らしい顔立ちで、ウルウルとした涙を浮かべた大きな瞳で体を震わせ、クーンクーンとか細い声で鳴き、世の人間たちを虜にするのです。
そんな保護欲や母性本能を刺激される彼らですが、別の顔も持ち合わせています。
明るく活発で好奇心旺盛。その小さな体には不似合いな強さを持ち、数十倍はあろうかという犬に対しても勇猛果敢に挑んでいきます。
僕も毎週のように彼らに手を焼いています。
チワワはドーベルマンやピットブル以上に恐ろしい犬
もともと好奇心旺盛で独立心もあり活発な性格です。しかしそれは適正な飼育環境があってこその話であり、社会化を怠るとその性格が災いして手に負えない脅威になりかねません。
僕の中でチワワはピットブルやドーベルマンとは比べ物にならない恐ろしさがあります。
こういうと疑問に思う方もいるかもしれません。事実ピットブルなんかは法律で飼育禁止になっている国もありますし、人間なんか一瞬で嚙み殺してしまう力を持っています。
しかしそうした力があるだけではチワワほど恐ろしいと感じる事はありません。人間だって鳥や小動物を殺める力くらいはありますが、多くの人はそんな行動をしないでしょう。
ここに人間との関係性や犬に対する扱いの差、いわゆるしつけの問題が関わってきます。
チワワの性格に潜む凶暴性
ピットブルはともかくドーベルマンは日本でも多くの人に知られていて、その風貌やイメージから恐れられています。そうした犬を飼うことは実際に難しいでしょう。僕の実家のペットショップでも飼育していましたからドーベルマンがどんな犬かはある程度理解しているつもりです。その危険性も。
ドーベルマン=恐ろしい
その認識が広く多くの方に浸透しているからチワワよりは恐ろしくないと感じるのです。
ドーベルマンを飼おうという人はそういませんが、たいていは犬の知識があり、家族の反対を受け、近所の人からも警戒されたりすることは承知しています。しつけの失敗がとんでもないリスクだという事も理解しています。
もしあなたが散歩中のドーベルマンを見かけたら「あらー、かわいいワンちゃんねー」と頭を撫でようとするでしょうか?
おそらく警戒し、道を譲り距離を取り、愛犬を近づけようとはしないでしょう。ドーベルマンとその飼い主はそうした事を当たり前の事と認識しているはずです。もちろん僕の勝手な憶測ですから中にはそうでない方もいるでしょう。しかし「噛まないから触ってごらん」と言われても簡単には出来ないものです。
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人のかわいいという感情がチワワを最恐犬種に育てる
これがチワワになると話が変わってきます。
飼い主に遅れまいと必死で小走りに付き添う姿はけなげで愛らしいものに感じ、その小ささと顔立ちは魅力的に映り、フリフリとした洋服が良く似合うかわいらしい容姿で、明るく活発にはしゃいでいれば、ドーベルマンの様に恐ろしいとは感じないでしょう。
これは人間が情報を視覚に頼っているからとも言えます。
見た目で犬を判断することは、犬を選ぶ際の失敗につながる要因でもありますが、しつけの失敗につながる要因でもあります。
毎度お馴染みのセリフを今回も言ってしまいますが、人間が犬に感じるかわいいとかわいそうがチワワを世界最恐犬種へ育て上げるのです。
犬が人を噛んだという事故が発生したのなら犬種によって結果は大きく変わるかもしれません。チワワなら軽いケガで済み、ドーベルマンなら死に至った。そうした差はもちろん大きいでしょう。
しかし問題行動は問題行動です。いかに容姿がかわいかろうが小さかろうが、人を噛んだという事実は変わらず、処罰の対象となり飼い主の責任になります。
2011年3月、米ミゾーリ州でペットとして飼われていたフェレットがその家の乳児の男の子の指を7本噛み切る事故が起きました。
チワワでも同じことができる力はあります。
チワワの狂暴性は人によって作られる
そもそも小さくてかわいいというのは人の主観であって、犬にそうした自覚は無かったはずです。
今日までの選択繁殖を繰り返した際に、チワワのサイズの小ささから、噛まれても被害は少ないだろうと狂暴性を無視し容姿のかわいらしさを優先した繁殖が行われた結果、その凶暴性は遺伝することになり、人を噛みやすい犬種になってしまいました。
さらに飼い主が小さくてかわいいという認識とかわいそうという感情を持って犬を飼育すれば、その特徴はさらに強調されることになるでしょう。
もともと人を噛みやすい素質があったとしても、しつけ次第ではそれをある程度抑えることは十分可能なはずです。
しかし必要な時に必要な経験をさせ無ければ正しい行動を覚えず、新しい出来事や環境に不安や恐怖を覚えてしまい、それを排除する為に虚勢を張り、吠えたり嚙みついたりりと問題行動を起こすようになります。
子供の問題に親が首を突っ込むことができない以上に犬が苦しむ結果になるかもしれません。
本人が経験し乗り越える力を得ることが必要となる時は必ず訪れます。そうした機会を一方的な感情で奪う事があってはならないのです。
うちの子に限ってはもはや人間の子供の問題だけに使われる言葉ではないようです。
犬に対しての信頼は必要ですが過信や慢心は自己の元ですし、しつけを怠ることはどんな犬種であっても容認できる事ではありません。飼い主が責任と自覚を持ち犬を飼育することが大切です。
自分の犬を信じること、信じられるような教育をすることが飼い主の一番の務めかもしれません。
まとめ
チワワの飼い主の方には申し訳ない話でした。犬の中では好きな犬種なのにすみません。
チワワの犬種としての性格が要因の一つでもありますが、チワワに限ったことではありません。ポメラニアンやヨークシャーテリアなどもそうした犬になりえます。犬種の特性や固体の性格に合わせたしつけをしっかりと行えば最良のパートナーになることは事実です。
こうした犬を飼うことがいかに大変で覚悟がいるかという話ばかりをお店のブログでしてしまうのは、正直いかがなものかと最近思うようになりましたがやめられないですね・・・。読んでて気分が悪いという方もいるでしょうけど。
ついでに言うとちょっと偏見が入りますが、小型犬を飼おうという方の中にはどこか犬を甘く見ている人が多い気がします。特に犬を室内で飼うようになってからはその扱いは動物という存在ではなくなっています。
最近の研究では、現代の犬と古代の犬との間では外見的特徴は近いものの、遺伝的共通点はほとんどないらしいです。散々交配して新たな犬種を産みだしていったのが原因と言われていますが、こうなると「人が作った唯一の動物」と言い切っても良いかもしれません。
犬や猫を始めとするペットと人間との距離はどこまで縮まっていくのでしょうか?
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