ペット屋の息子です。
この仕事をしていると不思議に思う事がいくつもあります。
例えばよく家族連れで犬を見に来ている方達とお話をすると
犬飼うのって大変でしょー、散歩とか連れて行かないとならないし、生き物だから責任持って飼わないとかわいそうだものね。
確かにその通りです。もうこう言われると僕には「そうですね」としか言いようがありません。
そして子供が飼おう飼おうと言い出すと
生き物を飼うってそんなに簡単じゃないの、あなたちゃんと世話できるの?お金じゃないんだから
そんな台詞を耳にすることが時々あります。
何のためにお店に犬を見に来ているんでしょう?
しかし安易に犬を飼って後悔してお互いを不幸にしてしまう方よりはよっぽど良いと思います。
実際に犬を飼うという事はそれなりの費用と時間が掛かります。
今日は犬を飼うという事でどれほどの費用が掛かるのか考えてみたいと思います。
犬を飼う事はけして簡単ではない
販売する立場から見ても、犬を飼うことはけして簡単ではありません。何といっても経済的負担が増えることは事実です。
一般家庭で犬を飼育したところで、飼育に掛かる費用以上にお金を稼いでくれる事は無く、ほぼ確実に先に寿命を終え、多少なりの介護や配慮が必要となります。
相手が動物である以上、人間の一方的な思いだけでは共に暮らすことはできません。現実問題として愛情よりもお金が必要です。皮肉なことに愛情を理由に犬が不健康になっていく様を見る機会も多くあるものですから。
知識や経験も必要ですが、やはり一番の問題は金銭的な負担を甘く見てはいけないという事です。
多くの人は欲しいという気持ちが先走り、犬の生体代金ばかりを考えて健康を維持して行く上での費用を軽く考えすぎているような気がします。いつまでも健康でいてくれるならこんなに嬉しいことはありませんが、動物は生きている限り必ず病気になります。産まれてから死ぬまで健康でいるという事はありえません。そうした際の金額も考慮しなければなりません。
犬を飼うための初期費用
では実際に犬を飼うとなったらどのくらいの費用が必要になるかを見ていきましょう。この金額もどんな犬を飼うかによって大きく変わりますので一概には言えませんが、一般家庭で小型犬を飼う場合として算出してみます。
初期費用として必要な用品をそろえるとなると、例えばカインズホームでスタートセットを購入した場合には下記内容で7,980円となります。
【セット内容】
●トレー付きサークル(Mサイズ)
●トイレ メッシュ付き(レギュラー)
●ペットシーツ レギュラー(100枚入り)
●ペットボトル給水器(ブラウン)
●ステンレス食器(13cm)
●ウェットティッシュ(3P)
●ペットのお掃除スプレー
●かじりんボーン(S)
●おさんぽクリーナー(20枚入り)
この金額は正直かなり安いと思います。当店で同じ内容で揃えるとしたらメーカーの違いや利便性に多少の差はあっても金額は倍以上の16,800円ですから。
その他にどこまでを初期費用と考えるかですが、犬を飼ったとなれば市町村への届け出が必要で、狂犬病のワクチン接種時に申請が可能です。費用としては約6,000円~7,000円掛かります。
伝染病のワクチンやマイクロチップなどは業者によって生体代金と別に請求されることもありますが、その金額はまちまちで、ワクチン接種代金は5,000円~8,000円程度でしょう。マイクロチップなども同様程度の金額です。
大手のペットショップで犬を購入するとなると、そういった費用と生命保証金額などが含まれたパック料金というものが別途掛かります。これもショップで変わりますがおよそ30,000円~50,000円ほどです。
つまり初期費用は犬の代金+50,000円程度掛かります。
犬を飼うための維持費
ペット保険最大手のアニコム損保が毎年ペットにかける年間支出調査を行っているので、サイトから2016年の統計を拝借してみました。
病気や怪我の治療費 57,822円
フード・おやつ 48,772円
しつけ・トレーニング料 55,032円
シャンプーカット・トリミング料 38,775円
ペット保険料 42,538円
ワクチン・健康診断等の予防費 23,282円
ペットホテル・ペットシッター 26,484円
日用品 15,859円
洋服 11,821円
ドッグランなど遊べる施設 5,661円
首輪・リード 7,416円
防災用品 6,026円
合計 339,488円
統計上では犬にかける費用は年間34万円という事になります。
ペット保険のアニコム損保トップニュースリリース毎年恒例! ペットにかける年間支出調査(2016年)
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犬を飼う事は大変
費用面だけでも前述のようにそれなりに掛かりますが、違う動物と生活を共にするという事は人間関係とはまた違った苦労があります。
人間社会での生活やルールについて犬に学んでもらう必要があり、そうした中では犬は自分の面倒を見ることができないからです。
もともと使役目的で作られた犬も多く、そうでない犬にも作出過程ではそうした犬の血を継いでいますから、彼らの生活の中では運動という事は生きて行く上で切り離せません。
散歩が必要かと聞かれれば、出来ればした方が良いという回答ですが、運動が必要かと聞かれれば必要ですと言わざるをえません。
そうしたことの時間や労力を大変と感じるかもまた人それぞれですが、犬を飼う上での楽しみと考える人も少なからずいます。
しかし犬種によってはマラソンランナーでも根を上げてしまうほどの速度と距離を走ることを喜びに感じますから、犬を飼うことは簡単なことではないと言えます。
犬を飼う上での大変さを必要以上に味わうことが無いようにするためには
で話したように自分に合った犬種を選ぶ事が重要です。そのためには自分の事をしっかりと理解することも必要ですし、見た目の愛らしさや勝手なイメージや先入観で安易な選択はしないようにしましょう。過信や慢心は絶対にしてはいけません。後悔につながることになります。
犬種が決まったとしてもどういった個体を選ぶかでも大変さは変わります。ましてや子犬を飼うとなるとその子犬ががどういう成長をしていくかで苦労の大きさも変わってきます。
の中でも子犬の選び方の難しさについてお話させて頂きました。これは犬種に関係なく全ての子犬に言えることですので、しっかりと理解しておくことをお勧めします。
飼うと決めただけでもこうした覚悟や準備が必要になります。犬を飼うという事は簡単だととても言えません。
まとめ
ペットショップとしては販売することが一番の仕事ですが、少なくとも犬の健康や維持管理の為の費用を出し惜しみする方には買って欲しいと思えません。僕が犬や猫を無料で譲渡しているのは、そういった方々に犬や猫を飼うことでどれだけの経済的負担が掛かるのか、そうしたことに費用を掛けることの意味を知って欲しいからです。最低限の維持管理に費用が掛けられないのであれば動物を飼うことはお互いを不幸にするだけです。
個人的な意見としては犬や猫などの動物を飼うことはデメリットやリスクの事を考えればおすすめできません。
選ぶ犬によっては最初の1年で約100万円近い費用が掛かる事になります。人気犬種や珍しい犬種、ショーブリーダーからの優良血統の高犬質な犬ともなればそれを超えることもあるでしょう。
なぜ人はそこまでして犬を飼いたがるのか僕にはわかりませんが、犬が人を必要としていることはわかります。
その関係が良好なものになるように出来ることを少しづつでも増やしていきたいと思います。
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