ペット屋の息子です。
トリマーになりたい!ペットショップで働きたい!そう思っている人はあまりいないとは思いますが、今日はそんな人たちの為に経営者側から色々とアドバイスしてみようと思います。
お子さんがその道に進みたいというご両親なら、専門学校の事や職場環境も気になるでしょうし、職業として選んで生活して行けるのかと心配にもなるはずです。
近頃では珍しく男の子もこの道に進もうと専門学校へ進学する方もいるようです。
というわけで僕でも少しはお役に立つ話ができるかもしれません。
どんな学校を選べばいいのか、職場環境や年収など気になることもあるでしょう。
カリスマトリマーに俺はなる!と叫んでグランドラインを目指すなんてわけにいきませんからね。
ペットショップで働くには何よりも覚悟と根性
考えてみたら偉そうなこと言う資格は僕にはありませんでした。
文字通り何の資格も持っていませんから・・・
工業高校を出て就職しましたが、2年ほどで実家の手伝いをしていたらいつの間にかこんな歳です。実家で親のすねをかじっているわけではありませんが、専門学校は出ていません。
しかし雇う側の立場として多くの専門学校の卒業生を見てきましたし、上司として同僚として働いてきました。
そんな僕からひと言言わせてもらえば
いったい何を学んできたのだろう???
という感想です。
もちろん全ての学校の生徒と接してきたわけではありませんが、学校は違えど技術や知識にそう大きな差は感じられませんでした。
トリマー以外でペットに関わる仕事がしたいというなら大学へ行って栄養学やバイオテクノロジーを学ぶか獣医学科へ進学するのが一番でしょう。専門学校での授業が役に立たないとは言いませんが、可能ならそうするべきです。
というのもこの業界は非常に離職率が高いです。将来の事を考えれば、大学レベルの知識や教養は身に着けておいて損は無いでしょう。選択の幅も広がります。
離職率が高いのには2つの理由がありますが、雇う側から見れば覚悟が足りないという見方になります。
トリマーを雇う時は必ず「なぜトリマーになったのか」と質問しますが、回答は
犬が好きだから
でした。
トリマー以外でもほとんどが同じ回答で、職場で子犬に触れ合えるのが楽しいらしく、家では犬が飼えないからという方もいました。
正直トリマーやペットショップの店員として働きたいという方たちは多くの飼い主と同様に、犬猫を動物としてではなく家族やパートナーとして考えがちです。これは良いことでもありますが、あくまで動物として考え扱う事が出来なければ職業にすることは難しいと僕は考えます。
でも述べた通り、犬や猫と向き合う覚悟はしっかりと持っていないと続けるのは困難です。しつけの失敗で責任を取る事になるのは飼い主ですが、それに巻き込まれないとも限りませんから。
ペットショップで働くことで生活して行けるのか
ペットショップで働いて生活していく事は人によっては逆に良いこともありますが、一般的な幸せを望むのならやめておいた方が賢明です。
ただ業界的にはスタッフの能力や向上心が乏しく、他の分野で働くよりは容易にステップアップしていける可能性が高いです。
特に男の子の存在は貴重ですからやる気と努力と要領次第では収入面でも十分な報酬を得られるかもしれません。
しかしほとんどのスタッフは月給20万円以下で10時間以上の長時間労働、休日も週に1度あればいいといった労働条件です。
犬や猫と長く過ごしたいのなら逆に良い環境になることもありますし、飼育している犬のトリミングをさせてもらえたり、ペットフードを支給してもらえたりと犬や猫にかかる費用を浮かせることができるのもメリットでしょう。
しかし子犬を扱うペットショップでは愛犬家から非難されるように、華々しい見た目とは裏腹に飼育環境や労働環境が劣悪な場合もあります。
きびしい現実をまざまざと見せつけられ耐えられなくなることもあるでしょう。勤務時間も長く、休日もろくに取れない。しかも薄給。生半可な覚悟ではそんな労働条件に辞めていく姿が目に浮かびます。
これはペット業界ばかりに言えることではないですが、趣味や娯楽の範囲に含まれるサービス業などではそうした過去な労働条件に対価が釣り合わないことが多いようです。
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ペット系専門学校の選び方
専門学校を卒業した生徒に、「どうしてその学校を選んだのか」と聞けばほとんどが本人の独断カ両親との話し合い、学校見学で気に入って、のいずれかで取得できる資格、授業内容や通える範囲かどうか、学費の問題という回答でしたが、そもそも専門学校は通過点であって、大切なのはその後の進路のはずです。
年齢も若く知識もないのに自己判断で学校を選ぶ事が不思議でなりません。両親に相談してみたところで業界で働いてないのなら同じことです。
目標となる人に話を聞くという事がもっとも正解に近い答えを得られる
と思うのですが、今までそうしてきた人は残念ながらいませんでした。
ここで働きたい、あなたの様になりたい。そう言われれば悪い気はしないでしょうからきちんと答えてくれるはずです。そうしたことから始めてみてはいかがでしょう。そしてデメリットやリスクをよく聞いて考えて参考にして下さい。
ペットショップに必要な資格とトリマーの資格のおすすめ
ペットショップのスタッフやトリマーとして就職するために資格が必要という事はありません。
しかし専門学校を卒業したのに何も資格がないとなればそれはそれで問題です。資格がある無しというより取得できなかった要因があると考えられるからです。やる気がない、学習能力に乏しいといったマイナスイメージを持たれるでしょう。
取得可能な資格は可能な限り取っておくべきですが、本人にその資格に値する能力が伴わなければ無意味です。
トリマーに関してもそれは同様ですが、トリミングの資格を取得するならJKCの公認校がおススメです。そうでなければいけないとは言いませんが、JKCのライセンス取得者が優遇されることは多々ある事です。もちろん技術やセンスがあっての物であることに変わりはありませんが、他のトリマーライセンスよりは取得が困難な資格と認識されています。
ペットショップで働く為には専門学校へ進学しないのがおススメ
皮肉な話ですが個人的には専門学校に進学するという選択以外が一番お勧めです。
訓練士や動物看護士などを目標にするなら専門学校への進学が最良の選択ですが、トリマーやスタッフとして就職を考えるのなら専門学校へ行く必要性を感じません。
ペット業界最大手の問屋業を営む会社が専門学校も経営していますが、先日その会社の方と話す機会がありました。
ちょうど別店舗でスタッフを募集していましたので、その学校の卒業生を紹介して欲しいとお願いしてみましたが、返答は僕と同様に
卒業生を雇うよりも、やる気のある子を雇って現場で育てた方が早い。
という意見でした。
問屋でありながら学校も経営し、フランチャイズで全国にペットショップを展開する会社の人間でさえそういうのです。
自社のショップで働く人員を育てる学校ではないのかと疑問に思いましたが、その質問にも
生徒はお客さんだから
といった回答です。
過去に就職先で卒業生の能力について意見があったり、離職率が多かったことも含め、学校側もカリキュラムを変更して現場の即戦力を育てようとしたことがありましたが、入学希望者が激減し、途中退学する生徒も増えた為に経営が危うくなりかけたという経緯があったようです。
こういう話を聞いてしまうと、やる気があって進学しても意味のあるものになるかどうか不安です。
もっとも世の中には数多くのペット専門学校がありますから、高い志とやる気に満ち溢れた生徒が日々切磋琢磨し汗をかきながら必死で修練している学校もあるのかもしれませんが。
個人的にはお金を払って好きなことを学ぶよりは、技術や知識を習得する為に無給でもいいから働きたいという方が経営者的にはありがたいものです。何もできない卒業生が来ても賃金は発生しますから、同じように育てなければいけないのなら賃金が安い方が良いに決まっています。
仮に途中で挫折するにしても入学金や授業料はそれなりに高額ですし、トリマーともなればそれ相応の道具を揃えなければなりませんからそれにも費用は掛かるでしょう。
まとめ
学校関係者に見られてしまうと恨まれそうな内容になりましたが、覚悟があればどこで学んでも良い結果になると思います。要は本人のやる気と努力です。
これは個人的な意見で偏見が含まれていますが、ペット業界に足を踏み入れる子は、働くという事をどこか甘く見ていたり、やりたいことが見つからず逃げの選択をして来ている子も少なくない気がします。
犬や猫に対する姿勢も飼い主と同じスタンスで、健康を維持管理する為の栄養学や行動学に目を向けず、必要な知識を得る事への学習意欲が抜けてしまっています。
しかし内側から見てもなかなかブラックな面は多いです。職場環境はけして良いものと言えず、十分な対価を得ることは難しいでしょう。
飼育環境から言っても家畜と違い犬や猫は今やもう家族としての扱いを受け、なんなら人間よりも愛されている場合もありますから、なかなか難しい職業です。
とにかく知識と経験はあってもあっても足りないくらいです。家族と言ってもやはり動物。人間ほど意思の疎通が出来ず間違った認識や分からないことがまだまだ多いのですから。
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