ペット屋の息子です。
ニュートロのワイルドレシピが好評らしいですが、鹿肉の販売休止が決まったようです。
予想に反して一番売り上げが良いフードだったようですから、この機会にユーザーが離れていかないといいですね。まあ他にも良いフードはたくさんありますから完全に他人事ですけど。
とりあえず本日営業の方に詳しいお話を伺ったのでニュートロの鹿肉フードの販売休止のお知らせと鹿肉を原材料に使うことについて少しお話しようと思います。
ニュートロのドッグフードの鹿肉シリーズはもうすぐ手に入らなくなりますよ
ニュートロはアメリカに本社を構えるドッグフードメーカーですが、原材料となる鹿肉はニュージーランド産です。野生の鹿を使用しているわけではないようですから、それなりに安定供給が可能な気はしますが、残念ながら発売休止が決定しました。
と言っても問屋やメーカーの倉庫にはまだ多少の在庫が残っているうちは販売を続けるそうです。
販売数ペースから見るとおそらく9月あたりには底をつくのでは?と言っていましたのでニュートロの鹿肉シリーズを与えている方は注意してください。
下記に販売休止予定商品のラインアップを記載しておきますので、お忘れなきように。
ニュートロの販売休止ドッグフードの一覧
とりあえず原材料に鹿肉を使用している以下のフードは販売休止が決定しています。しかも現時点では再開の目途は立っていないとのことです。
詳しい情報が入り次第またこちらでお知らせいたします。
JANコード | 製品コード | 製品名 |
4562358787645 | ND391 | ニュートロナチュラルチョイス 鹿肉&玄米 超小型犬~l小型犬用 成犬 800g |
4562358787652 | ND392 | ニュートロナチュラルチョイス 鹿肉&玄米 超小型犬~l小型犬用 成犬 2kg |
4562358788635 | NW114 | ニュートロワイルドレシピ 鹿肉&玄米 超小型犬~l小型犬用 鹿肉 800g |
4562358788642 | NW115 | ニュートロワイルドレシピ 鹿肉&玄米 超小型犬~l小型犬用 鹿肉 2kg |
4562358788659 | NW116 | ニュートロワイルドレシピ 鹿肉&玄米 超小型犬~l小型犬用 鹿肉 4kg |
ュートロのドッグフードの鹿肉シリーズが販売休止になった理由
鹿肉というだけであれば他国でも入手は可能でしょうが、原材料の質にもこだわりがあるニュートロですので、価格と品質の問題からすれば他の鹿肉では安価ではあっても製品基準に満たないようです。
ちなみにニュージーランドでは鹿は高級肉らしいです。
ニュージーランドではシカは牛より高級食材
鹿肉の調達が難しくなった理由は鹿肉の栄養成分に注目が集まっていて、空前の鹿肉ブームとは言いませんが、世界的に鹿肉の需要が相当伸びているようです。
ニュートロさんとしてもそれ自体は喜ばしいことだと思いますが、原材料の調達に問題が出るようでは困るでしょうね。
加工技術が優れているというのもあるのかもしれませんが、ニュージーランドは気候風土も良く良質な肉質の鹿が育つのでしょう。以前に紹介したジーウィーピークもそうですが、アンチノールの原材料のモエギイガイもニュージーランド産です。
犬と暮らすにも素晴らしい国との評価も高いので産地としての注目も集まってきているのかもしれません。
原材料に鹿肉を使用したドッグフードは犬にどれほど効果的なのか?
鹿肉を原材料にしているから健康に良いとはけして言えません。
フードの話になればいつも言っていることですが、原材料自体を食べるのとはわけが違いますから、いくら鹿肉が低カロリー・低脂肪・高タンパクで鉄分も豊富と言っても、ドッグフードという原材料に含まれているだけで、最終的な製品のバランスをとるために他の原材料の品目が変わるとか、量が変わる程度の話です。
オススメフードランキングや通販などで、フードのおすすめのポイントに原材料がどうこうという話が良く出ますが、栄養成分として考えれば全く関係のない話です。
例えばアミノ酸スコアを考えれば鶏卵は唯一完全食と言えるほど優れた食べ物ですが、それが原材料に使われているプリンは健康に良いのでしょうか?
お菓子のプリンと総合栄養食のドッグフードを比べることはバカバカしいと自分でも思いますが、原材料でフードを評価することはそれと同じことです。
加工や加熱が影響を与えない食品は基本的にあり得ませんから、その点を考慮しないで食事を語ることはまったく意味がありません。
犬は鹿肉にアレルギーや炎症反応は起こしにくいけども・・・
鹿肉を主原料にしているという点で評価できるポイントは栄養成分ではなくアレルギー物質かどうかのみです。鹿肉が低カロリー・低脂肪・高タンパクで鉄分も豊富だとしてもそれが含まれたドッグフードがそうとは限りません。
鹿肉という食品のみで見ればオメガ脂肪酸のバランスは炎症を起こしにくい比率や量ですが、オメガ6の脂肪酸は比較的熱に強いもののオメガ3の脂肪酸は熱に弱いのです。加熱の影響でバランスは変化しますし、原材料がどうであれ最終的な成分が成分がどうかで決まりますから。
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犬に鹿肉を与えるなら生が一番効果的!その理由は脂肪酸にあり!
犬に鹿肉を与えるなら生で与えるのが最も効果的です。正直鹿肉よりも青魚の方が効果は高いようにも思えますが、コスト的に比べたらあまり変わらないかもしれません。
以前にも脂肪酸の話をさせて頂きましたが、鹿肉は陸上の動物にしては珍しく肉にオメガ3を含んでいるということです。オメガ3の健康効果は以下のアンチノールの記事をご覧下さい。
陸上生物になぜ脂肪酸が含まれているのかはちょっと疑問ですが、鹿肉を原材料に食事を与えれば、健康維持に必要な量は摂取できるようです。
ただドッグフードの製造過程では加熱によって成分が減少しているはずですから、可能な限り生で与えるべきでしょう。
犬に鹿肉を与えるなら副産物ごとミンチにしたものがおすすめ!
特定の部位のみを与えるよりは内臓等も一緒に摂取した方が効果的です。
牛同様に偶蹄目の動物で4つの胃袋を持つ鹿は、犬に有用なバクテリアを多く含み、ビタミンや必須脂肪酸に必須アミノ酸なども摂取できる優れものです。
生で主食として与えるのであれば鹿肉の持つ低カロリー・低脂肪・高タンパクで鉄分も豊富という特徴は活かされるでしょう。手作り食の主原料としては利用しやすい食材です。
犬に鹿肉を与えると下痢を起こしやすい?
このところ生食を始める方も多いようですが、鹿肉を与えて下痢をしたなどの話がいくつか確認できます。しかし鹿肉に下痢を起こす作用があるわけではありません。
フードの切り替え時などもそうですが、食生活の急激な変化は胃腸のストレスになりえます。多くは浸透圧性の下痢で、ドライフードから急に生の鹿肉を与えれば消化吸収率に大きな違いがでます。
つまり鹿肉を与えたから下痢をするというよりは、食べなれていない物を食べたから下痢をするということになります。
犬の食物が腸内フローラの餌!急な変更は下痢の原因になる
腸内フローラは加齢や品種により違いがみられますが食事の内容でも大きく変化します。
ドッグフードなどで形成された腸内細菌は人間ほどの種類や数には及びません。もちろん腸管の長さに違いがあるというのも大きな要因です。
食事の内容が変われば腸内の細菌の食生活も変わりますから、腸での消化・吸収力が落ちることは当然の結果です。未消化の食べ物が腸の中に残れば腸管内の浸透圧が上がることになります。消化されない水分が便とともに排出されることになりますので、便が正常に形成されずに下痢になるのです。
ちなみに野生の鹿を与えることは下痢以外にも危険がありますのでお勧めできません。
犬に鹿肉を与えると肝炎になるリスクがある?
と言っても野生の鹿での話です。ドッグフードの原材料となる鹿に関してはまず心配ありません。
野生の鹿が自然から栄養を摂取することは農薬や添加物を心配する方から見れば安全で健康に思えるかもしれません。しかし添加物や農薬は自然にある毒物や有害な細菌から身を守るために使われるための物でもあるのです。
野生に自生する鹿自体は免疫抗体を持っていたとしても、菌やウイルスが体内に留まっていることは十分考えられます。
事実、人が野生の鹿を生で食して食中毒を起こしたり、E型肝炎を発症したケースが過去にいくつかあります。
野生の鹿肉を食べて発症した人獣共通感染症事例
表日本におけるジビエが原因で発生した人獣共通感染症事例
年 | 場所 | 原因食品 | 感染症 | 患者数 |
平成 12 | 大分県 | シカ肉の琉球 | サルモネラ症 | 9 人(0 人) |
平成 13 | 大分県 | シカ肉の刺身 | 腸管出血性大腸菌(ベロ毒素 産生)感染症 | 3 人(0 人) |
平成 15 | 兵庫県 | 冷凍生シカ肉 | E型肝炎 | 4 人(0 人) |
平成 21 | 茨城県 | シカの生肉 | 腸管出血性大腸菌(ベロ毒素 産生)感染症 | 1 人(0 人) |
平成 21 | 神奈川県 | 野生シカ肉 | 不明 | 5 人(0 人) |
生食には危険がつきものです。加熱調理は食生活を安全にするために人類が得た知恵なのです。
まとめ
ニュージーランドでは不足しがちな鹿ですが、日本では生息数が増えて被害も拡大していますから、何とも皮肉な話です。
安全面で問題がなければ犬にとって鹿肉は素晴らしい栄養源です。陸上動物において、不飽和脂肪酸とアラキドン酸、異性化リノール酸などが同時に摂取できる貴重なタンパク源ですから、手作りフードなどを与えるのなら積極的に利用したい食品です。
E型肝炎も犬での発症事例は聞いたことはありませんが、サルモネラ菌や寄生虫がかなり高い確率で感染するでしょう。野生の鹿には手を出さない方が賢明です。与えるのなら加熱して下さいね。
本日もお付き合い頂きありがとうございました。