ペット屋の息子です。
ドッグフード選びに頭を悩ませている方は非常に多いようで、週末になるとフードの原材料表示や説明文などを熱心に読んでる方を見かけることがあります。
散々このブログでもフードの評価は結果で決まると話してはいますが、いったいどれほどの人が納得しているかわかりません。
本日は原材料の中でも酸化を防止する為の添加物の安全性に迫りたいと思います。
ドッグフードの酸化防止に使われるBHAや没食子酸プロピルの真実とは?
多くの方は
- 主原料が肉でなければ良いフードじゃない
- 国産のフードは信用できない
- 添加物が入っているフードは粗悪品
とお考えのことでしょう。
しかしこれも先日の
同様に固定概念や先入観からと言えなくもありません。
人間の心理からしても不都合な真実からは目を背けたくなりますし、一度持ってしまったイメージを簡単には変えられません。
時と場合によっては正しい答えではないものを選択してしまうこともあります。もっとも世の中の多くのことは白黒つけられないことの方が多いものですが・・・
しかしドッグフードやキャットフードに使われている食品添加物は本当に危険なものなのでしょうか?
ドッグフードの添加物の酸化防止剤は安全性を守るための物ではないのか?
ドッグフードの原材料に関しては過去の投稿でも詳しく解説していますが
添加物に関しても誤解があるように思えてならないので一言だけ言わせて頂こうかと思います。
そもそも食品添加物の酸化防止剤は食品の安全性を維持するために開発されたものですから、これほどまでに危険と騒ぎ立てるのが不思議でなりません。どこぞのサイトのどんな情報を鵜呑みにしているのかわかりませんが、食品に利用される酸化防止剤の安全性はしかるべき専門機関でその為の学習をしてきた方々が仕事として行い、自らの立場を明確にしたうえで安全に対して責任を負っている物ですから、インターネット上の匿名希望の誰かが危険極まりないと発言したことの方が正しいと信じてしまうことに違和感を感じます。
もっとも僕も素人ですから立場はどこかの誰かと同じですし、意見が反対なだけの同じ穴の狢でしかありませんが。
ロイヤルカナンの没食子酸プロピルとBHAの安全性の検証
ドッグフードから健康を考える「犬ごはん」というサイトにロイヤルカナンでおなじみの「没食子酸プロピル」と「BHA」に対しての記載があったので抜粋させて頂きました。
没食子酸プロピル
人間でも200~300gの摂取で致死量となり、発がん性も認められる危険な薬品。
その危険性はブチルヒドロキシアニソール(BHA)やジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の2倍以上ともいわれています。
ということですが、この危険な薬品の致死量がいかほどのものなのか身近な食材に置き換えて考えてみましょう。日本食中毒情報センターが食塩の致死量について発表した資料がありましたのでそれを利用させてもらいました。
BHAや没食子酸プロピルを塩の致死量と比較してみよう
毒性. 塩化ナトリウムとして. ヒト推定致死量 0.5~5g/kg
中毒症状発現量 量 0.5~1g/kg
ということですが比べてみていかがでしょう?
分かりやすく同じように「没食子酸プロピル」を体重1㎏あたりの数値に変更してみましょうか。
日本人の成人男性の体重は66㎏とのことですのでわかりやすく70㎏にして計算します。
没食子酸プロピルは200g~300gの摂取では致死量ということですから300g摂取する前に200gで死亡することもあると考えて、200gを体重の70㎏で割ると2.85g/㎏となります。
これを食塩と比較すると食塩は0.5g~5g/㎏から致死量となりますので、「没食子酸プロピル」の毒性は食塩の5.7倍~0.57倍となります。そして「BHA」の2倍以上との記載がありますので「BHA」は食塩の2.85倍~0.285倍ということになります。
ドッグフードの添加物BHAの発癌性を思い知れ!
とまあ摂取して危険な値として致死量を挙げてみましたが、問題となるのは発がん性だろ!という方の為にまた身近な食べ物と比べてみるとしましょう。
まずは問題となるBHAと没食子酸プロキルですが日本医薬品添加剤協会のサイトからデータをお借りしましょう。
反復投与毒性
イヌ
1群7匹のイヌに没食子酸プロピル含有食を与えた14ヶ月間反復投与試験において、0.01%混餌群に毒性は認められなかった1) (Orten et al., 1948)。癌原性
1群雌雄各50匹のF344系ラットに没食子酸プロピル0、0.6又は1.2%含有食を与え、103週間の癌原性試験を実施した。雄の被験物質投与群に肝細胞空胞化の発現率上昇が認められた。雌雄の被験物質投与群に体重増加抑制が見られたが、生存率及び摂餌量に対照群との間に差はなかった。雄の低用量群に包皮腺腫、膵島細胞腫及び褐色細胞腫の有意な発生率上昇が認められたが、被験物質投与と関連のない変化と判断され、没食子酸プロピルの癌原性は陰性と結論された1) (Abdo et al., 1983), 3) (Abdo et al., 1986)。
という実験データがあります。犬では14ヵ月間のデータですが0.01%で毒性は認められなかったそうです。
そして癌原生はラットでは陰性と断定されています。
ラットと犬では身体機能に差があるので参考になりませんが、ロイヤルカナンのBHAを危険と判断する方々は、ラットの実験データで発癌性が認められたからドッグフードに使用するのはとんでもないとおっしゃるので一応転載させて頂きました。
毒を毒とするか薬を薬とするかは用法と用量
危険や安全なんてものはあらゆる物に存在し、良い面も悪い面も持ち合わせています。
毒性がないものなんてありません。水にも致死量があり、酸素にも危険な濃度があります。たとえば水なら約10リットル飲めば水中毒になって最悪死にます。だから全ての飲み物に致死量が存在するといえるでしょうね。
そもそも毒と薬は同じと言っていいものです。致死量ももちろんですが副作用がありますから、症状に合わせての用法・用量が守られるかどうかです。
猛毒として有名な毒物トリカブトは用法容量を守って少量で使えば心臓病に有効な強壮薬になります。アコニチンという強い毒性成分を含んでいますが解熱剤や鎮静剤としても有効利用されています。
発癌性のあるとされる「BHA」も用量と使い方で既知の発がん物質による発がんを抑制するという、抗がん作用も報告されているそうです。
厳密にいえばBHA自体が癌を発生させるのではなく発癌を促進する作用があるという話ですが、食品と比較するとフキノトウの半分程度の発がん性らしいです。
BHAや没食子酸プロピルよりもフードの酸化の方が問題
ドッグフードのBHAや没食子酸プロピルは栄養成分ではありません。その目的は酸化の防止です。ドッグフードに酸化が起これば栄養成分を損なったり、毒性が生まれます。
安全性を考えれば酸化したフードを与える方が危険です。
ドッグフードの賞味期限は未開封な状態での話ですし、開封後はどんどんその栄養価は失われていきます。
さらに言えば風味を損なう事で嗜好性にも影響が出ます。
BHAや没食子酸プロピルはそういったっことを防ぐ為に使用されているのですから、使われているいないで判断するよりも、そうしたリスクと比較してみるのもひとつです。
ドッグフードの添加物うんぬんよりフードのマッチングと与え方
人間で言えば長所と短所と言い換えられます。
頑固で融通が利かない性格は信念を持っていてブレないとも言い換えられますし、まじめで几帳面とも言えます。せっかちは時間を無駄にしないと思われることもあるでしょうし、粘りづよいと言えば聞こえはいいが諦めが悪いや往生際が悪いと言われれば腹も立つという物です。
こうした話をした上であれば「ドッグフードの良し悪しは結果で決まる」といういつも言っている言葉がより真実味を帯びてくるかもしれません。自分がどう思うかよりも与えてみた犬の体調で判断するのが正しいことだと思います。
添加物を悪いものだという考えが曲げられない人もいるのでしょうが、正直僕も現段階では否定するべきではないというだけで、添加物が良いものだから積極的に摂取しようと言っているわけではありません。もっと進んだ科学技術で酸化防止剤を必要とせずに安全かつ品質が保てるならそれに越したことはありませんから。
フードランキングサイトの評価をどう判断するかを考えよう
多くの専門家や研究者の信念や情熱などが形となって世に送り出されたフードや、商業的な利益のみを考えられたフードなどが一緒くたにされ素人同然の方に原材料のみで良いだ悪いだと判断されて、それを多くの方が信じてしまう現状には釈然としないものがありますが、結局のところ真実は都合の良い解釈でしかないというのが現状です。
栄養学の資格があるとか飼養管理士資格などがあって堂々と素性を明らかにして語って頂ければ今よりも好感は持てますけどね。
特に現代は知りたいことはインターネットですぐに検索できてしまいますし、こうして僕が世界中に向けて発言する自由と同様に、全ての人が「これってこうなんです」と断定できてしまうのですから、真実なんてあなたがその情報を信じるかどうかということに尽きるのです。
誰の言葉を信じるかはあなたの判断ですが、その判断が自分の為ではなくペットの為になる判断かどうかを考えてのことであれば、僕はどんな決断でも正解だと思います。
まとめ
一言だけと言いながら結構熱く語ってしまいました・・・
添加物一つを相手に危険だ安全だと騒ぎ立てるのはという人もいるでしょう。ただこうしたことを真剣に考える事はやはり愛情なのだとも思います。しかし残念ながらそれを利用して真実ではないことが真実かのように扱われていることもあるのではないでしょうか。そういった事は犬や猫のことばかりではなく全てのことに言えますが。
ロイヤルカナンがなぜBHAや没食子酸プロピルを使用するかを僕なりに考えてみたので良かったら
もお読みいただければ幸いです。
今回は添加物の危険性について話しましたが、物事には表もあれば裏もあるという話でもあります。言葉は人を救いますが人を殺すこともあるのです。
情報は正しく扱いたいと思いますが、けして鵜呑みにしないように正しい知識を身に着ける努力をして下さい。
本日もお付き合い頂きありがとうございます。
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