ペット屋の息子です。
犬を飼っている方で食事にこだわっている方は多いのか少ないのかはわかりませんが、この話を読んで頂ければもしかしたらその割合を少し増やせるかもしれません。
今までも犬にとっての食事の重要性を、病気ごとの関係性や皮膚のトラブルを防ぐための提案など、性格やしつけへの影響など様々な観点から説いてきましたが、今日は
でも簡単に話した犬にとっての食事というものを人と比較してわかりやすく説明してみようと思います。
為になるかはわかりませんが、少し良い方向に考えが変わるかもしれません。
犬と人の食生活の違いとは
犬の多様性についても何度か話していますが、家畜化して人間と暮らすようになり受けた恩恵や被害などは実に興味深いものがあります。人と犬の関係はつながりが深くなり様々な形を持つようになりましたが、それでも両者の立場は変わることなく人は人、犬は犬です。これからもそれは変わらないでしょう。飼育や愛護の対象である犬はどこまで行ってもペットで動物です。
同じ生活、時間を共有する両者の食事はそれぞれに重要ですが、同じではありません。人には人の、犬には犬の正しい食生活というものがあります。
人間が生活範囲を広げて文明を発展させた恩恵を確かに犬は受けていますし、人間と同じように安全で快適な生活を得て種の繁栄を遂げました。犬の多様性は一つの進化でもあります。とは言え遺伝的な問題を抱え込むことにはなりましたし、繁殖をほぼ人間に委ねられている点で不幸と言えることもありますが。
人と犬の進化の差は外見上の差に表れている
そんな犬ですが、家畜化しペットになることで消化機能までをも変化させることが出来たとはいえ、やはり人との違いは明白です。動物の中でみても同一種においてこれだけの多様性を持ち合わせた動物はいません。犬種という差は同じ種とは思えないほどです。
対して文明と科学を携え地球の陸上の多くに居を構える人間ですが、その風貌に大きな差はありません。
隔離された土地で独自の発展を遂げた一部の人種は特異性を持ちえますし、数多くの国がありそれぞれの生活や文化の違いがあり、国民としての意識や誇りを持っていたとしても、ほんの僅かな外見上の違いと肌の色や言語が違う程度です。外見上での人種という差はほとんどありません。
おそらく世界中の多くの人が、世界中すべての国の人間に出会ったとしても、どこの国の人間かを言い当てる事は出来ないでしょう。
もちろん国によっては多数の人種が住んでいるので外見で判断できない場合もあるでしょうが。
犬の身体は気候や地域の環境に合わせて作られた
しかし犬ならばほとんどが外見のみでもはっきりとした違いを見て取れる種類ばかりです。
人間が外見上やその特性に大きな違いがみられないのは進化の変わりに科学や文明を発展させてきたからですが、犬はそうではありません。人間に付き合って同じように分布を広げていきましたが、その地域で生活する為、人間には過酷な労働を担うための進化を遂げる必要がありました。外見にはっきりとした違いが表れるほどに。
人間は自らを環境に合わせて変化させることを拒みました。その結果、文明や科学を糧に生きる事を容易にしました。しかし犬はそうした文化や科学を作り出す知恵はありません。むしろ犬は人間の生活の為に作られた動物です。家畜として人間の拒んだ進化を代わりに受け入れた存在とも言えるのです。
人の食事と犬の食事の違い
生活を共にするようになり種の繁栄を遂げた両者は、動物の中において同じ異質な存在でありながら全く異なった個性を手に入れました。
果たしてその両者が同様な食生活で健康を得ることが出来るでしょうか?
動物としての犬の食事はあらゆる環境下で生きるための栄養補給
人間も動物ですから食事から栄養を得て生きる事は同じですが、文明や科学の恩恵があるので、気候や環境に耐えうるための栄養摂取という意味あいは犬に比べれば少ないでしょう。それでも体調は食事によって変わります。人間ですら地域や文化の差で食生活は大きく違います。
太陽が眠ることを忘れるほどの北の地の果てでは、空気が凍りつくほどの極寒の中吹き付ける風は容赦なく体から熱を奪い去ります。人間が動物の毛皮を纏う必要がある寒さの中でも犬は自らの被毛のみで耐え忍ばねばなりません。
家畜とは言え動物である犬は、その使役目的ゆえに野生動物以上に身体を維持する為の食事が必要なのかもしれません。
犬の食事は犬種や飼育環境で変えるべき
現在の日本では室内犬がほとんどでペットとしての快適な生活を手に入れていますから、使役や気候に合わせての為の特性はほとんど必要がありません。むしろ仇となることの方が多いでしょう。しかし外見上の特徴もその特性によるものでその差が犬種としてのアイデンティティとも言えますからそれを維持する為には栄養管理は必須です。
北方原産の犬などは皮下脂肪や毛量が多く、骨量や筋肉量に富んでいる為、体重も重たい犬種ばかりです。それを維持しようとなれば人間よりも栄養管理はシビアになることは当然です。
このことだけでも栄養管理の重要さはお分かりいただけると思いますが、犬の為の栄養管理を考えれば犬種という多様性を無視できないということです。
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犬の食事はナンバー1ではなくオンリー1が必要
使役目的に合わせた特性や生息地域の気候に合わせて犬種として発展し、これほどまでに多様性に富んだ犬達を一つの種として考えるのは栄養学的には無理があるのではないでしょうか?
以前からライフステージ別や様々な体調の変化に合わせたフードが販売されていましたが、近年では犬種別のフードが販売されるようになりました。しかしすべての犬種に対応しているわけではありません。フードメーカーもビジネスですから飼育頭数が少ない犬の為にフードを開発研究して作ることは出来ません。結果、真にそれらを必要とする犬種の為のドッグフードは販売されることはありません。
それに犬種別のフードを与えるにしても、犬自身が本来の特性を必要とする使役の為の飼育をされておらず、多くの犬の原産国であるヨーロッパと日本では気候が大きく変わります。
優れたドッグフードは飼育環境によって栄養過多になることも
動物先進国のナチュラルフードは優れたフードではありますが犬種の特性を考えて作られていますので、気候が違う日本での室内飼育となれば逆に扱いづらいこともあるでしょう。
これは個人的な考察で正しいかわかりませんが「犬種の特性に合わせた運動を行い、それに見合った食事を与える」そういったコンセプトで作られているフードであるなら日本の犬には栄養過多になりやすいかもしれません。
ロイヤルカナンなどは日本向けの製品もラインアップに含まれていますので、犬の肥満問題が深刻化したのとは関係が無いかもしれませんが、フードのコンセプトを理解したり与えてみての変化を確認することが大切です。
理想的な犬の食事は変化に合わせることが大切
とにもかくにも犬という動物を考えればフードのみで必要な栄養を補完することが出来るかはやはり難しいように感じます。
とは言え犬にとって必要な総合栄養食を手作りする事もまた難しいでしょう。
で話したように手作り食では必須ミネラルが不足する恐れがあります。犬の栄養学を理解しないで犬めしを作るのは困難な作業でしょう。サプリメントで補うかフードのトッピングとして工夫するのも選択肢の一つとして考えてみても良いかもしれません。
犬種や性格、飼育環境などを考慮し、その犬の為の食事が必要なのです。
加齢による変化も考慮しなければなりません。常に変化する犬の身体を考えれば最良の食事はその時々で変わります。
ドッグフードブランドのコンセプト
様々なドッグフードブランドがありますが、最近はヨーロッパやアメリカなどのナチュラルフードが日本でも人気です。しかし僕個人は今の流行りには乗っかれません。
ここまでの話でお分かりいただいたと思いますが、僕自身は犬の祖先はオオカミだから、元々肉食だから。そう言ったフードブランドとは全く異なった思想を持っています。
本来のあるべき姿は狼のような捕食動物だから動物らしく生きさせよう
そういった愛情自体は理解できますが、それを言ったら
ここまで犬という種をもてあそんでおいて何をいまさら・・・
そう言いたくなりませんか?
犬種という成り立ちは動物としては異例です。生物の進化としては人間の手が入りすぎていますから。その結果良い事もありましたが犬種として遺伝の問題を抱える事になりました。もう犬は狼と同じと考えることは出来ないでしょう。
犬という動物にとっての良質なフード
そう自信を持って製造販売をしているフードブランドの言う犬とはいったいどんな動物なのか。僕にはその姿が想像できないのです。
まとめ
よくわからないまとまりのない文章になってしまいました・・・その上フードメーカーにケンカを売るような発言をしてしまいました。まあ今更ですし逃げも隠れもしませんけど。
とにかく犬は犬種ごとに独立した種であると考えその特性を考慮した栄養管理を考える必要があると思います。後は飼育環境や性格などさまざまな要因から結果を確認し微調整する。それを続けることで健康寿命が伸ばせるのではないでしょうか。
人間に付き合って姿形をこれほどまで変えられてしまった犬からすれば、種の歴史自体がもう主従関係で最後まで飼育されるしかないのです。
人類が滅ぶまで犬という種は付き従ってくれると信じ愛情をかけてお世話をしましょう。それが人間の務めです。
本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。