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犬や猫に去勢や避妊手術をする前に聞いてほしい話

しつけ
Closeup of a vet surgeon and assistant performing surgery on a pet dog

ペット屋の息子です。

今日は犬猫の避妊や去勢についてお話します。

去勢や避妊をするかしないかの相談はフードの悩みの次に多い案件です。

予防注射や定期健診で獣医師に勧められたり、自ら相談したりしますが、どうするべきなのか決められないでいる方も多いようです。

もうすでに飼い犬や飼い猫を避妊や去勢している方からは、動物病院で勧められたから手術をしたという返答がほとんどです。

犬猫の避妊や去勢については病院にペットショップ、ブリーダー、犬猫に関わるプロの意見も賛成派が多数を占めているようです。

猫のブリーダーの中には販売契約時に避妊や去勢をすることを条件に引き渡す方法を取る方も少なくありません。

また、避妊去勢に反対する獣医師にはあったことがありませんので、避妊や去勢はすることが一般的になっています。

そこで今日は避妊や去勢手術に対する考えを、メリットやデメリットとは違った面から考えてみたいと思います。

犬の去勢はかわいそう!が実に興味深い

犬猫の去勢や避妊手術の話になると、特に犬のオスを去勢手術することに抵抗のある方が多くいるのですが、これは思い切り感情的な問題のようです。
これが猫になるとそう言った感情論は極端に減り、抵抗なく手術に踏み切ってしまう飼い主がほとんどです。
やはり犬の方が関係性が深く、性格的な違いからより愛情をかけてしまうようです。

感情的な話になれば、もし自分がそうされたらと思うとゾッとします。
自分にとってそうすることがどれだけ必要なことなのかを納得した上で、自分で下した判断なら別ですが、犬猫にいくら理解を求めても同意は得られません。
しかし相手は飼育下にある動物です。飼い主が必要だからと下した判断であれば受け入れなければならない存在です。
去勢や避妊手術を行わない理由がかわいそうだからというのは、動物に対しての正しい考え方だとは思えません。

しかし面白いのは、去勢や避妊手術を行う理由もまた同様に、かわいそうという感情から決断した方もいます。
前立腺肥大や睾丸腫瘍、子宮筋腫や子宮蓄膿症などの病気に苦しむことを考えたら、健康で体力のあるうちに病気の予防をしたいと思う気持ちもわかります。

しかしそれぞれにメリット、デメリットがありますので決断は難しいでしょう。

犬の去勢や避妊の影響でおとなしくなることを願うのは飼い主としてどうなのか

犬を去勢や避妊することで性格がおとなしくなったり、縄張り意識や攻撃性がなくなることは確かにありますが、期待する人ほど裏切られる結果になると思います。
避妊や去勢手術の結果が性格に影響を及ぼしても、飼い主との主従関係の改善につながらないでしょう。飼い主がリーダーシップを示さなければ意味が無いからです。

そもそもしつけができないから去勢をして関係の改善を望むのは、飼い主として問題があります。
また、問題行動をしつけではなく手術で改善しようという考えで行った場合には、後悔する結果になるかもしれません。

去勢でも避妊でも、手術をすることでホルモンバランスの変化や肥満細胞の肥大化が起こり、生殖活動のエネルギー消費量が減る為、肥満になりやすくなるからです。
しつけでコントロールできない飼い主は散歩にも苦労をしていることが多く、犬の要求にも答えてしまう方ばかりです。
結果として手術後に健康を損ない、病気のリスクが増大してしまう事になります。

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犬の去勢・避妊をするべきかどうかの前に

犬や猫が自ら進んで去勢をすることはありません。動物は種の繁栄の為にオスとメスとに分かれているのですから、それを活かすことが最も自然なことだと僕は考えます。
手術を行えば性別が失われるのと同じですから、外見上の差はあってもオスやメスの差はなくなります。

販売する立場から思う事は、去勢や避妊の考え方をみても飼う上での覚悟が足りないと感じます。

当店では、犬を飼おうと訪れる方の多くがメスを欲しがりますが、そのことにどんな理由があるのか聞いてみると、大人しい、飼いやすい、マーキングをしないからだそうです。
そしてそういった考えの方の大半が当たり前のように避妊をさせる前提でいます。

メスを飼うのであれば出産をさせられるという事は大きなメリットでもあります。自然界の命の営みを体験できる事は有意義な勉強の機会でもあり、お互いの為にも貴重な経験になるでしょう。
そういったことを全く考えず最初から切り捨てている事にまず残念な気持ちになりますが、さらにショックなのはオスを去勢して飼うというという事の方がメリットが大きいという提案に全く耳を貸さないことです。

もちろんオスを去勢して買う事がベストだと思ってはいません。しないで済むように飼い主としてやるべきことは多くあると思います。努力をしつくしても問題が改善せず、様々な情報を得て学習し、家族で話し合い、どうしても必要性があると感じるのなら、手術をするべきかもしれません。

犬の去勢を海外の状況から考えてみる

僕が思う犬の去勢についての考えはやはり少数派の意見で、海外でも避妊去勢手術が大いに奨励されています。
イギリスでは去勢や避妊手術の費用が見直され、繁殖を望まない姿勢が見られます。
アメリカ等ではブリーダーから犬を譲り受けるのが一般的ですが、譲渡の際に子犬を去勢をしてから引き渡すことはけして珍しいことではありません。
ところが北欧スウェーデンでは、僕が考えるように、犬猫に対する性の保護意識が高いようです。

飼い犬に避妊・去勢をすることは、義務を果たさないダメな飼い主を宣言しているようなものというのがスウェーデンの愛犬家達の意見のようです。

オスやメスという性別も含めて犬なのです。そういったことをありのままに受け入れるのが犬に対する愛情と尊敬の示し方なんだと思います。
人間の都合や価値観を押し付けて、手術によって犬の本能を排除し従わせることは飼い主としての堕落ととらえられる風習なんでしょう。

こうした考え方は僕にとって賛同できる意見ではありますが、実現できる環境があればこそでしょう。残念ながら日本ではこうした考えが一般的になる事は無いのかもしれません。
しかしこうした意識を持って犬や猫に対して真摯に向き合い努力することは必要なことだと思います。

まとめ

ドッグランに来る犬は去勢・避妊は済んでいて、そうしたことがマナーの様になっているとある飼い主の方に聞いたことがあります。

しかし去勢や避妊はメリットもデメリットもある事です。関係性や環境、個体の特性など、様々なことでその結果が良い物か悪い物か大きく変わる事でしょう。人の意見に振り回されることなく、しっかりと犬猫に向き合って最善な選択なのかどうか考えてみて下さい。

手術を行ってしまえば元に戻すことはできません。許す限りの時間の中で犬や猫に対して努力をし、考え抜いてみてからでも遅くは無いでしょう。
そうした時間がすでに犬猫に対する愛情だと思います。そうして出した答えならきっと後悔する事は無いと思います。
犬や猫を飼う前にそこまでの考えと覚悟を持って臨んで頂ければ幸いです。

コメント

  1. 脇坂 まどか より:

    はじめまして。去勢手術について調べていたところ 拝見させて頂き コメントをさせて頂きました。 5年前から パピヨン(雄・雌)2匹飼っています。当時は赤ちゃんが産まれたら良いな。と思い 雄と雌を迎えました。ですが、雄の子が迎えて間も無く 調子が悪くなり、直ぐ病院へ行きましたが半年以上原因がわからず、病的検査以外の実費の検査をし、やっと原因が判明し 繁殖場で貰ったと思われる ネズミの寄生虫が居たそうです。原因が解った時には病院の投薬で身体はボロボロになり 免疫不全を起こし 以後それの回復に何年もかかり 雌の子も足が細く関節が弱く体に負担がかかるので、子供を望める状態ではなく だからといって 直ぐに去勢手術が出来る状態でもありませんでした。今は 元気に過ごしてくれています。去勢手術は悩んでいます。
    赤ちゃんは望まはいので、ゲージの外ではマナーベルトとパンツをしています。
    雌は特に手術をしないと病気のリスクがあると言われていますが、人間も病気のリスクはあるけれど、病気でも無いのに子宮は取りません。で、私が素人の考えですが思った事は
    、絶対病気になる訳じゃないんだから、病気になりにくい身体づくりをすれば良いと思いました。食事は生の馬肉(内臓含む)にし、適度な運動と定期的に健康診断(わんちゃんドック) でした。ですが、病気の発症率が高くなる年齢にさしかかり 病気になったらどうしよう…自分の考えに自信が持てません。何かアドバイス頂けると嬉しいです。
    長文になり申し訳ありません。

    • 牧田 亮介 より:

      脇坂様
      コメント頂きありがとうございます。
      ネズミの寄生虫というとエキノコックスですか?症状が出ないので診断がつきにくいですからなんとも災難でしたね。日常生活を送れるほど回復したなら何よりです。

      雌の健康を考えれば子供は望めないとのことですが、現在の健康状態で手術は可能なのでしょうか?その点で回答は変わりますが、悩んでいるとのことですのでどちらも選択できる状況としてお話します。

      避妊や虚勢は正直どちらにもメリット・デメリットがありますのでこうしましょうと断言できません。どちらを選んだとしても脇坂様には同じだと思います。
      結局だれかにその決断をするために背中を押して欲しいだけなのでしょう。その大役は僕には荷が重すぎます。なので提案だけさせて頂きます。

      手術する・しないをどちらも同じ期間だけ考えてみましょう。
      1ヶ月でも3ヶ月でも半年でも期間はお好きに決めて頂き、手術する前提でとことん期日まで情報を集め、あらゆる専門家に話を聞き、手術を任せられる経験実績のある信頼できる先生を探しましょう。ここまで準備し犬の為にできることはしたんだからあとはどうなっても後悔しない!そう思えれば正解にたどり着いたのと同じです。

      次に同じ期間手術しない前提で、犬のQOLを考えてどれだけのケアが必要でどう管理すれば健康で生涯を過ごせるか。その為にどれだけの時間と費用をかけられるか。同様に納得できる答えに期日までにどれだけ近づけるかです。
      それだけすればどちらを選んでも今よりも気持ちは楽になるでしょうし後悔はしないで済むかもしれません。

      避妊虚勢はあらゆるシチュエーションで結果は変わりますし、全く同じ犬や猫で結果の違いを比べられませんからどちらも正しく、そして不正解なのです。

      ずるい答えですみません。でも個人的には脇坂様の答えと同じです。というかそもそも病気のリスクは生きてれば必ずあることなので避ける方法を考える事はナンセンスです。
      飼い主の仕事は

      飼い犬が健康でいられるための最大限の努力をし、問題が起きたら全力で対処する

      それだけです。
      僕には最初から避妊虚勢手術という考え自体がありません。治療すら人間のエゴとも言えなくもないですから。

      手術で防げる可能性があるという情報を持ってしまったのがある意味悩みの原因ともいえるのかもしれません。この先科学が進んだら全て人工臓器に変えてしまえば病気のリスクは0にできるなんて話になりそうですね。

      結局どこからどこまでがという線引きは各々の飼い主で違います。あなたが今できることをただするだけです。
      それは犬の為ではなくあなたが納得する為にです。

      犬はもうあなたに出逢い飼われただけで幸せでしょうから。どんな最期を迎えようともきっと変わらないと思います。

      ただ厳しい言い方をすれば犬に依存し過ぎているのでしょう。飼い犬の方はどうかわかりませんが、お互いがお互いを失ったら成立しない生き方は僕からしたら不幸です。

      最後に出逢いと共に生きた時間を感謝できるようにしてあげたいですね。涙で顔をくしゃくしゃにしながらでも。
      とにかく後悔しないように愛犬との今を生き逃さないで下さい。
      僕に言えるのはそのくらいです。

      どうか幸せなワンダフルライフを。

  2. 北野 栄 より:

    保護犬の里親です。
    引き取りの時の条件に避妊手術がありサインしました。
    でもいろいろ調べたり、なるべく自然に即した育て方をしたいとかんがえるようになり手術しませんでした。
    4年半たった今、突然保護団体の方から手術をするようきつく言われました。
    子宮も含めて私の愛犬は素晴らしいのです。
    性格も1mmも変わって欲しくありません。
    手術せずに済む方法はないでしょうか?
    大阪府在住67才女性

    • 牧田 亮介 より:

      北野様

      コメントありがとうございます。

      引き取りの条件に避妊手術があるのは良く聞きますが、同意の上でという条件でサインしたのであればしないわけにはいかないでしょうね・・・
      お話の内容からすると法律的な事案ですから僕にはどうすることもできません。

      とはいえ北野様のお気持ちもよくわかります。
      とにかく保護団体の方と話し合ってみるしかないと思います。
      保護団体の方が避妊をすすめるのは子供を増やさないように避妊を勧めているのでしょうから、話し合いの余地はあるかもしれませんよ。

      ちなみにインプラントを埋め込むという方法もありますが、そちらの方がリスクは高いのでおすすめできません。
      残念ながら現時点では避妊となると手術という選択がベストなのです。

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