ペット屋の息子です。
近年の猫ブームに疑問を感じていました。何がきっかけで猫に注目が集まったのかわかりませんが、ここ2、3年にかけて人急激に飼育頭数を伸ばしています。2016年にはとうとう犬の飼育頭数を追い抜いてしまいました。
猫の魅力である、しなやかな体に気まぐれな性格、つかず離れずの絶妙な距離感で、時折見せる愛くるしさは今も昔も変わっていません。もともと猫は魅力的な動物ですから、急に来た猫ブームをきっかけに、多くの方が猫を求めるようになったのは嬉しい限りですが、今まで犬派で猫を飼う事に否定的だった人まで手のひらを返したようにかわいがる姿を見ると、今頃になって猫様の魅力に気付いたか!と毒づきたくなりますね。
今日はそんな猫の魅力とライオンとの違いについてお話したいと思います。
猫の魅力は野性味あふれるしなやかさ
犬の魅力が多彩なバリエーションと従順さにあるとすれば、猫の魅力は全く逆です。猫は人間社会に住む野生動物と言っても過言ではありません。体の構造も性格も、野生のネコ科の猛獣とほとんど同じです。
犬と狼もそう変わりませんが
で話したようにオオカミと犬とでは食性が違います。しかし猫はライオンやトラ同様に肉食のままです。
では猫と大型のネコ科の猛獣たちはどのような点に違いがあるのでしょう?
ネコ科の代表動物はトラかライオンですが、ここではライオンと比較していきます。
猫とライオンの違いその1頭蓋骨の形
ライオンとの大きな違いは頭蓋骨の形です。
ライオンの頭蓋骨の方が細長い形状をしているのに対し、猫の頭蓋骨は丸形です。ライオンの方が鼻筋が通っていて後頭部も後ろに張り出し頬骨弓も幅広くなっています。
この差は獲物のサイズの違いによるものでしょう。猫の捕食の対象が小型の鳥や小さなげっ歯類であるのに対し、野生の猛獣の獲物は、自分とそう変わらないサイズか自分よりも大きな獲物を狩ることがあります。
そういったことから大きな口を開けてしっかりと噛みつけるように顎の骨と首周りの筋肉が発達しています。頬骨弓が広く、後頭部が張り出しているのはそうした理由からです。獲物をしとめた後は引きずって運ぶ必要があるからです。
猫とライオンの違いその2吠えるかどうか
ライオンは吠えることができますが猫は出来ません。
虎とライオンにも差があるようですが、これは生息地域の差によるものとの研究結果が出ています。
低音は波長が短い為、エネルギー損失が少ないので遠くまで届きます。(距離が2倍になるとエネルギー損失は4倍になる)
サバンナなどの広大な土地に生息しているライオンは低音で吠え、山岳地帯などの遮蔽物が多い地域のネコ科の動物は高音で鳴くようです。
他にも牙に違いがあると言われていますが、素材や構造には違いがありません。頭蓋骨や顎から比較してみても体のサイズが違うので、大きさに違いがあるのは当然のような気がします。
その他は体のサイズの違いだけと言えますので、猫を飼うことはライオンやトラを飼う事とほぼ同じと言えます。
あのネコ科特有の特徴ある歩き方も
で触れていますが、肩甲骨の位置の違いによるもので、そうしたしなやかさが見て取れるのも猫の魅力です。
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猫の魅力は毛色のカラーバリエーション
猫は種類ごとに大きな違いはありませんが、その種類ごとの色のバリエーションは犬とは比べ物になりません。
例えばアメリカンショートヘアなどは、一般的に白と黒のイメージが強いと思いますが、公認色だけでも60色あります。白黒柄のシルバータビーにも2種類のカラーバリエーションがあります。
そして猫の王様と呼ばれるペルシャに至っては、なんと100色以上とも言われています。どこぞの色鉛筆かと突っ込みたくなりますね。覚えられないのはもちろんですが、見た目の違いも判らないでしょう。
同じ猫でもカラーの違いがここまで楽しめるのは犬にはない魅力です。
猫の魅力はミステリアスな瞳の色
色と言えば特徴的なのが瞳の色ですが、瞳の色と毛色には密接な関わりがあり、この毛色ならこの瞳の色と固定のパターンがほぼ決まっているようです。組み合わせは幾つかありますが瞳の色で最も人気が高いのはイエローと言われています。
また気まぐれな猫の性格と相まってオッドアイと呼ばれる左右で違う目の色も人気です。犬ではハスキーやコーギーなどに時折見られることがあります。
ミステリアスな瞳ですべてを見透かすようなまなざしでじっと見つめてくることがありますが、視力は0.2程度しかないようです。しかし動体視力は人間の4倍程度、視野は250~270度と大変広く、狩りや外敵の接近などに気付く為の機能はしっかりと受け継がれています。
まとめ
猫はペットとしての地位を確立しながらも、野生の血を色濃く残し、近年人気のベンガルなどは外見的にもそうした特徴が見て取れます。
猫は都会で暮らす小さな猛獣です。その為犬とは違った魅力を持ちますが、その身に宿す野生を侮ってはいけません。飼い主の管理下を離れれば、鳥やネズミを捕食する本能がしっかりと残されています。
しつけの面や食性も犬と違います。猫は手が掛からない分注意も必要です。けして彼らを手なずけたと慢心してはいけません。猫なで声をあげすり寄ってくる彼らは猫を被っているだけかもしれません。