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ドッグフードのデメリット!犬にとって理想の食事と言えない4つの理由

投稿日:2017年10月14日 更新日:

ペットショップチロルの息子です。

改めてドッグフードというものを考えてみましたが、犬にとって理想の食事というにはほど遠い代物ですね。

良いところももちろんありますが、今回はデメリットに注目してみようと思います。

これを知ればドッグフードの選び方や見方も変わってくるかもしれませんよ?

犬や猫などの捕食動物にとっての理想な食事とは?

野生動物の食事が最良とは言いませんが少なくとも人間が調理した加工食品であるドッグフードよりも優れていると言えます。

犬も猫も肉食もしくは肉食に近い雑食ですので草食動物を襲って食べることはとても健康的です。

獲物である草食動物も食性こそ違いますが身体の器官や構造に大きな差はありません。捕食者である彼らと同じように、食事から得た栄養で作られた骨と筋肉と内臓が毛の生えた皮に包まれているのです。

犬や猫にとってその身体全てがそのまま栄養になります。

内臓からはビタミン。肉はタンパク質や脂肪、骨からカルシウムなどのミネラル分を、そして血液や体液からも水分と栄養を。命が命を奪い繋がって行くのです。

捕食動物にとって獲物を食らいつくす事が最も栄養バランスの優れた食事です。ドッグフードはその栄養バランスを再現する為に様々な食材を集めて作られたいわば代替品なのです。

さて、そんな動物を食べるという食事に比べてしまえばドッグフードにはデメリットが多いという事はすでにご理解頂けているとは思いますが、いったいどんなデメリットあるのでしょうか?

1、ドッグフードではビタミンの栄養を摂取しにくい

現在の犬や猫が小動物を襲い食べる様な機会はほとんどないので目にする事はないでしょうが、彼らは内臓を好んで食べるはずです。特にレバーや心臓はビタミンの宝庫生きていくために必要なエネルギーのかたまりです。

鮮度抜群なのはもちろんですが加熱していない分ビタミンの栄養損失は皆無と言っていいでしょう。この辺りはドッグフードと大きく違います。

以前の投稿で「BLUE」のライフソースビッツについて話しましたが

ブルーバッファローのライフソースビッツを分析!これがBLUEのやり方か!

最新の栄養学や独創的なアイデアで、ビタミンなどの抗酸化作用に富んだ栄養素の損失をかなり抑えられている優れたフードですが、それでも生食で得る栄養成分には及びません。

通常の製造で作られるドッグフードでは加工、加熱の工程で栄養は失われているのです。原材料としてどれだけ含まれていても有効利用できるのかどうか。それに人工的に合成されたビタミンでは組成も変わりますから吸収率には差があるでしょう。

犬に野菜を与えるなら肉類を増やしバランスを取るべき

犬や猫が野菜を食べなくても生きて行けるのは獲物の身体から必要なビタミンやミネラルを摂取する事ができるからですが、飼い主の人間的感覚で自分の食事から考え栄養バランスを整えようとしてしまう事も問題なのかもしれません。

犬に野菜を与えるなら赤身肉だけでなくレバーやホルモンといった内臓肉を与える事です。それも加熱せずに。

といっても細菌感染などのリスクがあるので、愛犬や愛猫に与えるのは調理した食事になるでしょう。結局手作り食でもこのデメリットを解消するのは困難なのです。

ちなみに

草食動物を襲い内臓を食べる際に、吸収寸前の胃や腸の内容物を食べて栄養を摂取している

そんな風に言う方もいますが、目の前の肉を後回しにしてそんなものに食らいつくのは如何なものかと思います。一緒に食べるとしてもそれはごくわずか。青汁のような内容物で満腹感を味わうような動物を肉食動物とは呼べません。

ですからその節は真実ではないと僕は思います。

2、ドッグフードでは有用なバクテリアを摂取しにくい

内臓を好んで食べて摂取できるのは栄養だけではありません。

厳密に言えば獲物となる多くの草食動物も食物繊維であるセルロースやヘミセルロース、リグニンを分解する事ができません。

牛などの反芻胃を持つ草食動物は、尿素を唾液や反芻胃に分泌し、胃の中のバクテリアを使ってタンパク質を合成し、バクテリアごと消化吸収しているのです。
そんな素敵なバクテリアを胃を食べて奪ってしまうことは犬猫にとってはとても健康に良いことなのです。

もちろん犬や猫の胃と牛の胃では構造が違いますから草を食べて栄養に変えられるようになるわけではありません。ただ有用な善玉菌を摂取する機会に恵まれることは事実で、その細菌は食物繊維を餌に有益な代謝物を生産します。草食動物を食べる事で草食動物が得るバクテリアの恩恵を借り受けることは可能なのです。

最近になりドッグフードにもプロバイオティクスの強化されたフードが登場しました。しかしそれらもせいぜいが菌の代謝物や死菌が含まれている程度ですから腸内の細菌の餌になるのが関の山です。

確かに成犬や成猫では腸内細菌を増やすことはできませんから摂取したところで定着はしませんが、それでも健康効果には大きな違いが見られるでしょう。排泄されるとしても継続的に摂取した善玉菌は腸内を通過する間に仕事はしてくれるのですから。

犬と乳酸菌についての考察その1。生食と食糞は細菌摂取の為なのか?

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3、ドライのドッグフードでは食事からとれる水分量が少なすぎる

加熱加工処理した保存食というのがドッグフードですのでこればかりは仕方がない欠点と言えますが、ふやかしたりウェットフードに変更することでその欠点を補う事ができます。

ただふやかす事でもウェットフードに変更する事でもデメリットが増えます。

ドライフードをふやかす事で増える3つのデメリット

ドライというメリットがなくなるわけですから良いことではありませんね。とりあえず3つのデメリットをご紹介しましょう。

1、フードをふやかす時間と手間が増える

1つ目は手間と時間が増えるという事です。

些細なことなので気にするほどの事でもありませんが、袋からさっと取り出しぱっとあげられるというドライフードのメリットは無くなるわけです。

2、ふやかしたフードは傷みやすい

2つ目は保存性が失われるという点です。

これは季節によってはなかなか厳しいものがあります。その場ですぐ食べてくれる犬であればいいのですが、食事に好き嫌いがあったり時間が掛かる犬では夏場の賞味期限は圧倒的に短くなります。ふやかしてしまうと食べ残しは確実に無駄になりますから。

と言っても夏は湿気が多いので、ドライフードでも食べ残しは早く処理しないと付着した唾液が雑菌の繁殖を促しますね多分。ふやかしよりは大分ましですが。

3、ふやかしたフードばかり食べていると歯が汚れやすい

やはりドライフードを与えるよりも歯が汚れやすくなります。

特にペットボトルの先端に装着する給水ボトルなどでペロペロと水をなめている犬では口の中の汚れが洗い流されることはほとんどないのでデンタルケアに気を使う必要があります。

野生動物では噛み切りにくい弾力のある肉や内臓、腱などを食べる事で食事自体が歯磨きになるので口腔内の疾患が少ないのでしょう。

4、添加物を摂取する機会が増える

添加物は与えないで済めばそれに越したことはありません。特に危険性もないのでデメリットに挙げる事も無いのかもしれませんが、健康を崩している犬には影響がないと言い切れないとも思いますので一応。

BHAや没食子酸プロピルに危険性はないと話しましたが

ドッグフードの添加物、BHAや没食子酸プロピルは本当に危険なの?

だからと言って摂取することにメリットはありません。あくまでもドッグフードの安全性を守るという意味で必要だからと容認しているだけの話です。

ドッグフードは犬の為に作られた食事だから犬には理想的と言えない

と表現してしまうと何だか哲学的ですが、そもそも動物は食事の為に進化してきた生物です。

キリンは木の枝の上の葉っぱを食べるように首を伸ばし、牛は草を食べ消化吸収できるように胃の数を増やし、犬は穀物が食べられるように狼から進化したのです。

生き物を食べる工夫=生きる為の工夫

そうした進化の過程から考えれば動物の身体に合わせて人工的に食事を再現することはとても不自然なことでしょう。そう考えればドッグフードがいくら進化しても理想的な食事にはならないような気もします。この先の犬の進化を待たない限りは。

まとめ

日本ではたかだか60年、世界でも100年弱の歴史しかないドッグフードが何十万年も前から進化を繰り返しながら続く生命のリレーの食物連鎖に取って代わるなんてことが出来るわけがないのですが、それでも人間の科学の力は驚くほどの進化を遂げて栄養成分の再現はかなりのところまで来ている気がします。それでもその差がなくなることはありえないでしょうが。

デメリットがあっても安全な縄張りと定期的な栄養摂取ができ、異常があれば治療が受けられる環境が犬や猫のペットの寿命を延ばすことが出来ました。

ただその分病気になる機会が増えたことも事実です。飼い主の元で命を失った犬は命の糧になることは無くなりましたが、それは動物にとって幸せなことなのか不幸なことなのかどちらなのでしょう?

少なくとも自然なことではないという事だけは事実です。

本日も最後までお付き合い頂きありがとうございました。

-フード, 勝手な考察, 栄養学, 犬の話, 猫の話

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