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スウェーデンと日本の犬の繁殖問題の類似点と違いが興味深かった

勝手な考察

ペット屋の息子です。

以前に北欧のスウェーデンでは犬の避妊や去勢をするべきではないとの考えが一般的だと紹介したことがありますが、そのスウェーデンで日本とは全く違う問題から同じように犬のスタンダードに変化が起きているようです。とは言っても2013年に藤田りか子さんが書かれた「去勢を憂うスウェーデンの純血犬種の世界」の話ですから4年近く前の話です。
個人的にとても面白いと感じたので今日はその話をしていきたいと思います。

スウェーデンの犬事情

スウェーデンの犬事情は世界の国の中でもドイツに並び称される程、犬と愛犬家にとっての天国とも言える国ですが、犬に対しての考え方は去勢や避妊という点において全く違います。
ドイツでは避妊・去勢は飼い主の義務のように考えられていて、それこそ動物と見れば愛護の対象だそうです。そんな両極端なドイツとスウェーデンですが根底にある愛情は共通するものがあります。

ドイツを始めとする欧米の国では繁殖を制限する事で、不幸な犬や猫を増やさない事で犬種の純血性を保っていますが、スウェーデンでは純血種を飼育するとなれば、一般飼い主もその犬種の向上や育成に参加するべきと考えられるようです。この考えはとても共感が持てるもので、僕が目指す犬との共生の形のひとつでもあります。

しかしそのスウェーデンで以前よりも去勢をする飼い主が増えてきているという話でした。
一部の犬種の間だけの話なのかどうかは分かりませんが、その背景にあるのがショーブリーダーの選択繁殖であり、そのあおりを受けているのが一般飼い主というのです。

ショードッグも大型犬になると犬種の規定サイズのある無しに関わらず大きさも魅力の一つにあげられます。
ショーにおいて見栄えがするようにと考えるのはショーブリーダーでは当たり前の事でしょうが、ボディサイズを大きくするには男性ホルモンのテストステロンが必須なのは犬も人間も同様です。
体の大きな逞しいオスばかりを繁殖に用いれば身体のサイズも大きくなり、外見上は犬質の向上が認められるでしょう。しかしテストステロンの影響は良い事ばかりではありません。男性ホルモンの分泌が盛んになれば攻撃性が増すという、飼い主としては容認できないオスらしさも特典として手に入れる事になります。

いくら犬の意志や特性を尊重すると言っても犬の生活は人間あっての物ですから、こうした風潮が許されるはずはありません。犬の種としての尊厳を守るべく去勢や避妊を反対していながら、そうせざるを得ない犬を作り出すブリーダーの姿勢はかがな物でしょう。

かくしてスウェーデンのケネルクラブでは「去勢をしなければ行動を押さえられないような犬を作るな」という警告を込め、2017年から去勢をした犬をショーへ出陳する事を禁止したそうです。

日本の犬事情

国が変われば犬を取り巻く人の考えや事情も様変わりするものですが、これが日本になると人と犬の関係や繁殖は似て非なる物です。

日本における純血種のかかえる問題は、スウェーデン同様にブリーダーの手によるもので、迎え入れた飼い主がそのあおりを受けるという点では全く相違ありません。
もっともスウェーデンでも日本でも選択の自由はありますから、その犬を選んだのは飼い主ですので迎え入れた責任を取る必要があることも同様です。
しかしスウェーデンと比べると日本が動物後進国と言える理由が同じ問題の中に見えてきます。

寄生や法律の違いから犬や猫に対する考え方の違いは明らかで、飼育されている犬や猫のほとんどは幼齢期にペットショップで購入した個体でしょう。年間100万頭が新たに飼育されるとの話ですがその6~7割はペットショップから購入された犬のようです。

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の中で少し繁殖の話をしましたが、日本ではドッグショーでの見栄えの為ということでもなく、犬種の向上の為にという点でもなく、ただ一般飼い主が見てかわいいと思うかどうかに重点を置いて繁殖が行われているのが現状です。
ここで発言している僕もそんな業界に身を置く一人ではありますが。

スウェーデンでの問題もブリーダーが利益を追求した結果なのかもしれませんが、飼い主の意向に沿った繁殖ではありません。
一方日本でティーカッププードルや豆柴などの交配が進められたのはより小さな個体を求める飼い主の希望に沿った繁殖でしょう。

同じような犬種の健全性の問題でも内容はまるで違います。ただどちらも飼いやすさという点からは逸脱しています。

スウェーデンではドッグショーの規約の改正等が純血種の育成に大きな影響がありますが、残念ながら日本では同じような対応をしても良い結果は得られないでしょう。ドッグショーと一般飼い主の間には大きな隔たりがあるからです。

ヨーロッパではドッグショーは一般の飼い主にとっても比較的身近な存在で、コンパニオンアニマル(ペット)の延長線上にある物です。自身の飼育する犬について深く知ろうとすれば必然的に良質なブリーダーとコンタクトを取ることや、ショーを通じて同一犬種の飼育者と交流を取る機会が設けられるからでしょう。

飼育する犬を育成する上で運動管理や栄養管理を正しいものにするためには、ドッグショーで活躍する犬の姿やハンドラー、ブリーダーから学ぶことは多くあります。より犬と正しく向き合おうとする姿がそこにはあります。[ad#co-1]

日本ではショードッグとペットは全くの別物

しかし日本におけるドッグショーと言えば、一部の愛犬家のみが参加するコアな世界になっています。門戸は狭いどころかむしろ入口は閉ざされていると言っても良いかもしれません。
ショーという世界や犬種の育成という点において一般飼い主が参加するということがほぼ皆無です。スウェーデン同様に犬を思い愛する愛犬家はいるでしょうがその数は少数で、人と犬を取り巻く環境は大きく違います。
その大きな差はやはり犬を迎え入れるのがペットショップや一般ブリーダーからだからでしょう。ショーで活躍する犬を精力的に育成しようとするブリーダーから犬を迎え入れるという意識はヨーロッパほど高くありません。犬にそれほどの存在価値を求めていないからなのです。

多くの飼い主が、性格や見た目のかわいらしさに心を奪われて家族に迎え入れたいと思うだけで、犬という存在であることを忘れがちです。擬人化している飼い主も多くいます。日本人にとって純血種を飼う事と雑種を飼う事に対しての差は全くと言っていいほどありません。

犬の特性に合わせた飼育をしようと出来る限りの努力をする。

そういった意識が低いうちは、しつけに悩み問題行動に振り回されることが続くように思います。
そして繁殖家の売りやすい犬を作るという意識も改善されないでしょう。

欧米や北欧を引き合いに動物愛護を訴える方は多くいますが、その為の努力が実を結ぶ日は遥か先の話のようです。

まとめ

スウェーデンと日本の環境を比べたところで無意味かもしれませんが、犬との向き合い方や考え方は学ぶことが多いというのは事実でしょう。犬を家族として扱うためには犬を知るところから始めなければなりません。
今回この記事を書いて僕自身も販売する立場としてそのことをもっと意識しなければと考えなおしました。

犬は使役の為に発展してきた種で純血種にはしっかりとその特性が残されていますから、それを知らずして犬を飼うことは無免許で車を運転するようなものかもしれません。いつか事故を起こすことになりかねない危険をはらんでいます。
犬は捕食動物で、獲物を追うための脚や仕留めるための牙も持っていますから。
自損事故ならまだ良いですが他人を巻き込む事故が起こる事が無いように、知識と経験はどれだけ積んでも余る事は無いでしょう。

純血種を飼うということはその犬の家族の事を学ぶ必要があるということです。

あなたはペットの家族の事をどれだけ知っていますか?

そのことを考えてみるだけでも付き合い方は変わるのかもしれません。
本日もお付き合い頂きありがとうございました。

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