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犬の噛むはしつけで治る?(4)攻撃性は毛色を決める遺伝子にあった

勝手な考察

ペット屋の息子です。

犬の噛むについて

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第4弾の本日は遺伝形質による攻撃性の話です。

近年の研究で「攻撃性」「恐怖心」を高めているとされる遺伝子の存在が確認されました。

犬の性格を形成する要因はしつけや飼育環境のみではありません。
性格や気質が遺伝することを知っているのにも関わらずそれを軽視するのは何も繁殖者だけではありません。多くの人は犬の攻撃性を甘く見ています。

犬を飼うとなれば子犬から飼いたいと思うでしょうが、生後間もない犬の愛くるしい容姿やしぐさに心を奪われ、噛むや吠えるなどの問題行動を起こすようになる素質が隠れているとは考えもしないでしょう。

 犬の攻撃性は遺伝する?毛色と性格の関係

「カエルの子はカエル」ということわざがあるように、犬種の確立と血統管理は遺伝なくして語ることはできず、何百年も前から行われてきた選択繁殖は、目に見えない遺伝子の働きを判断する事に他なりません。
全てを完全に理解することはできませんが、近年の研究ではその裏付けが少しづつなされてきています。

2倍体生物である犬の遺伝子は39対78本あり、そのうち13の遺伝子の働きが犬の体色に関わっていることが解明されています。

犬の毛色が変わる?薄くなった毛色を取り戻す方法について考えた
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そして犬種として確立するまでに様々な交配が行われ、その使役目的に合わせた性格の犬が作られてきたことも事実ですから、犬の体色同様に性格に影響を及ぼす遺伝子が存在することも事実です。
毛色は遺伝子で決まりますが、性格はそれに飼育環境などの要因が加わりますのでもう少し複雑になり、攻撃性は毛色との関連性がみられます。

犬の攻撃性は遺伝する!危険な犬の特徴とは?

1996年のケンブリッジ大学の研究ではイングリッシュコッカーを対象に攻撃行動の調査が行われましたが、毛色の違いで攻撃性に差があることが明らかになりました。

パーティーカラー(斑色)よりもソリッドカラー(単色)の方が攻撃行動が多くみられ、その個体群の中では黒よりも赤茶色の方が攻撃性が高いとの結果が報告されています。

またコーネル大学では2001年にラブラドールの攻撃性と毛色の関連性の報告が上げられています。
同大学の付属動物病院の行動治療科に訪れたラブラドールの攻撃行動と毛色の関連性を解析したところ、イエローのラブラドールに比べチョコレート色のラブラドールの方が攻撃行動が問題になる割合が低い傾向にあるとの見解が示されています。

犬は体の色が薄いほど性格が穏やかでおとなしい

結果から見れば毛色と攻撃性は関連性があると考えられ、さらには色素沈着を抑制する遺伝子とともに伝えられる可能性が考えられます。
研究結果では明らかにされてはいませんが、個人的にはおそらく事実だろうと思います。

20年もペットショップにいると多くの犬を販売する機会がありましたが、とりわけダックスフントは相当な数の犬を扱い育成してきました。たしかにクリーム(現イエロー)の個体などはレッドに比べると性格的におとなしく、問題となる攻撃性を示す個体はほとんど見たことがありません。

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 犬の噛むを引き起こす攻撃性遺伝子の正体とは?

シリーズの1回目で行ったアンケートの3項目

  • 愛犬が他人を噛んだことがあるか?
  • 愛犬が飼い主または家族を噛んだことがあるか?
  • 愛犬が他の犬を噛んだことがあるか?

の行動と関連がある遺伝子が存在するようです。

第15染色体上「IGF1」と第10染色体上「HMGA2」の遺伝子は体のサイズを小さくすることのみならず、飼い主への攻撃性や対立関係にある犬への攻撃、分離不安、接触過敏性などの行動特性にも関りがあるとの結果が報告されています。

そして18番染色体上「GNST3」から「CD36」の間の遺伝子座と、X 染色体上「IGSF1」近くに存在する遺伝子座が、見知らぬ犬と見知らぬ人への攻撃性、接触過敏性、非社会的恐怖と関連性があると示されています。

性格は遺伝のみで決定されるものではありませんから、毛色に関わる遺伝子のようにその働きが解明されるにはもう少し時間がかかりそうですが、「GNST3」「CD36」「情動反応の処理や記憶」に関わる扁桃体で多く発現し「IGSF1」は「ストレス内分泌反応(HPA軸)」に関わる下垂体や視床下部でみられます。

この研究結果が人の行動障害や攻撃性、不安障害のメカニズムの解明につながる可能性もあると考えられています。

トイプードルのレッドの攻撃的性格は遺伝的に正しい

トイプードルの毛色の性格の違いを記載したサイトもいくつかありますが、レッドは気性が荒いと書かれていることが多いです。

遺伝的に見ればユーメラニン(黒~茶褐色)よりもフェオメラニン(赤褐色~黄色)の犬が攻撃性が高い傾向にあるようですが、ケンブリッジ大学の研究結果からレッドはブラックよりも攻撃性が高い性格になると言えます。

体の色が薄い犬が攻撃性が薄いと言っても、どの遺伝子との関わり合いがあるのかまでは分かりませんので、コーネル大学のラブラドールの研究結果だけでは他の犬の体色の薄さが攻撃性が低いと言い切れません。他のサイトで遺伝的要因を解説していないのはそのあたりが特定できていないからなのかもしれません。

まとめ

犬種の差だけでなく毛色の差も理解できれば、噛むという問題行動をしつけで抑制することはかなり容易になるはずです。

しかし遺伝の話になると毛色だけでも理解するのに頭を使うというのに性格的なことまで影響するとなるとパニックになりますね。ただしっかりと理解ができれば、毛色の掛け合わせでどの色がどのくらいの確率で発現するかだけでなくどんな性格の犬になるかまで予測できるかもしれません。
ただ飼い主にそこまで求めるのは無理でしょうから、頭の良い優秀なブリーダーから犬を迎え入れしっかりとしつけを行うことが重要です。そして健康管理も。

次回は病気と噛むの関係性についての話をしましょう。

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