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犬にシャンプーが必要な3つの理由と皮膚や被毛の人間との違いを解説

トリミング
oritslama / Pixabay

ペットショップチロルの息子です。

グルーミングを家で行うことはなかなか難しいことですが、犬の状態を少しでも理解するためには必要なことでもありますし、飼い主にとっても犬にとっても良い経験になることは間違いないでしょう。

ご自身で犬のグルーミングを行うにあたってどんなシャンプーを選べばいいかをお話ししようと思いましたが、まずは犬にシャンプーが必要な3つの理由と犬と人間の皮膚や被毛の違いを考えてみましよう。

 犬にシャンプーが必要な3つの理由とその目的

というかそもそも犬にシャンプーが必要なのかと言われればハッキリ必要ですとは言いにくいものがあります。人間のように入浴という習慣はないわけですし、被毛に覆われているのは汚れや寒さから身を守るためでもあります。

人間とは身体の機能が違いますから体表にかく汗も人間とは少し違います。その点の違いから、人の汗を餌にして増殖するような菌は済んでいませんので人間のような汗臭さを発することはありません。しかし食生活や飼育環境、習慣などは他の動物との違いがあります。個人的に犬をシャンプーする方が良いという理由があります。

というわけでまずはその3つと目的についてを解説していきましょう。

1.犬の皮膚や被毛を清潔に保つことで健康を守る

現在の家庭犬の多くは室内で飼われています。犬が不衛生な状態でいることは犬自身が気にしなくても飼い主にとって問題になることもあります。犬は毛で覆われていますから被毛が汚れていても皮膚はそれほど不衛生な状態ではないこともあるでしょう。しかし人間は犬のように体表を覆うほどの毛はありませんし衛生面での意識も違います。

人によってはストレスになることもあるでしょうし、悪臭の原因にもなりますから飼い主のためにも定期的にシャンプーをする方が良いでしょう。それに犬の被毛には皮脂のコーティングがされていますから、皮膚や被毛自体は傷ついたり汚れたりしにくいでしょうが表面には無数の汚れや菌がは事実です。タバコのにおいや排気ガスのにおいなどもついてしまいます。

そんな状態で過ごしていれば気候の変化や他の理由で体調を崩しているときなどはより健康を損なう可能性があります。犬は猫のように自らの身体をなめて毛づくろいするような習慣もありませんから、体を清潔に保つためには飼い主がケアをしてあげる必要があります。

2.犬の皮膚や被毛に潜む外部寄生虫のノミダニ対策

意外かもしれませんが冬にもノミダニの被害が増えています。

犬は被毛で覆われていますし人よりも若干体温が高いからでしょう。ノミダニにとってみれば、屋外で寒さを耐え忍ぶよりも犬の被毛にくるまってヌクヌクと越冬しようというのは当然の心理かもしれません。

夏の方が気温も高く活動的ですし犬の被毛も薄くなっていたり湿気で肌が弱っている上に、ストレスや食欲減退などで皮膚トラブルが増えやすくなっている夏の方が被害は甚大ですが冬の方が人の被害は大きいような気がします。

人にも寄生しますしノミやダニはアレルギーの原因になりますからシャンプーして予防や駆除に努めましょう。

3.犬の食事内容の変化から皮膚の健康維持に必要

知っている方や何となく気付いている方もいると思いますが、アトピーやアレルギーは野生動物に無い現代病と言われる症状ですが、その原因は飼育環境や食生活の変化からです。ドッグフードでは犬の健康を完璧に維持することは難しいのです。

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脂溶性のビタミンもですが、アレルギー症状などの改善に重要視されるオメガ3脂肪酸なども過熱に弱く、ドッグフードから摂取することは難しいでしょう。健全な皮膚の状態を保つには栄養管理だけでは不可能です。

できるだけ適切な栄養管理を行い皮膚や被毛の健康維持を心がけながら、外部からの様々な刺激を予防軽減するケアをシャンプーなどのグルーミングで補うことで健康を守っていくことが必要です。

犬をシャンプーするのなら皮膚や被毛の構造や成分を考えてみよう

犬をシャンプーするのならまずは犬の皮膚や被毛の構造や成分を知っておきましょう。

人間は二足歩行になり暑さへの耐性や長距離を走ることができるように、動物の中で唯一発汗機能を有している稀有な動物です。人間と犬の違いを知ることでシャンプーや皮膚・被毛の健康維持をする上で栄養管理の重要さがわかると思います。

犬の皮膚と人間の皮膚と違いがあるのか?

皮膚の構造や被毛の構造は基本的には全く同じです。ただ違いがないわけではありません。

皮膚の構造は人間と同じように、真皮の上に表皮と呼ばれる基底層、有棘層、顆粒層、角質層が4つに分かれています。人間との違いはこの真皮がかなり薄いということです。比較すると25%ほどの厚さしかありません。

4つの層が絶えず作り変えられる点も同じで、基底層が有棘層に、有棘層が顆粒層にと下から上へと押し上げられ角質層を形成する「ターンオーバー」と呼ばれるサイクルで表皮の健康が維持されています。人間では約28日、犬では21日程度の周期で行われています。

基底層で表皮の基になる細胞が生み出され、有棘層が皮膚の強さと柔軟性を作り、顆粒層で角質化した表皮の基が作られ、そして表面の角質層が角質化したケラチンで覆われていきます。

被毛の形成も人間同様に行われます。「ケラチン」と呼ばれるタンパク質でその構成要素は20種類ほどのアミノ酸です。毛乳頭に運ばれたアミノ酸が真皮細胞を作り毛包が産まれます。そこで毛母細胞が分裂し増殖を行いながら被毛を形成していきます。

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犬の皮膚構造

基底層

基底層は基底膜に乗っかるように横一列に繋がった細胞からなる層で、横哺乳類の表皮を形成する4つの層で唯一細胞分裂が確認されている層です。
基底層の働きは細胞の供給ですから傷や火傷などで広範囲にダメージを負い幹細胞などが破壊されれば皮膚の再生が行われなくなります。

基底膜に繋がった基底細胞が分裂し縦に押し上げられて有棘層から顆粒層、そして角質層になり最後はフケになってその一生を終えます。

基底層は細胞分裂をし表皮を作りだすことができますが、その下の真皮はダメージを受けると完全に再生することがありません。基底層はケラチン繊維で横に繋がって真皮を守る役目も担っているのです。

有棘層

表皮を構成する4つの層の中で最も厚い層が有棘層です。
有棘層の細胞同士は非常に強く結合していて棘の様に見えるのが特徴で、棘状の突起には細胞同士を強く結びつけるフィラメントの束が挿入されています。結合の強い細胞が寄り集まって皮膚の柔軟性と強度を作っています。

有棘細胞内では角化や保湿に必要な角質細胞間脂質を作る層板顆粒が生み出されます。この顆粒は遺物の侵入を防ぎ、保湿の為に水分を透過させないバリアとなる膜を作る働きがあります。

顆粒層

角質層に至る角化の段階で重要な細胞の変化が起こるのがこの顆粒層です。生み出された細胞がアポトーシスというプログラムされた死を迎え角質化した表皮の形成へと変化する層です。

この層を隔てて活発に代謝が行われる層と死んだ細胞で形成される角質層に分かれています。アポトーシスが起こることで細胞内は全てケラチンで満たされます。死んだ細胞が化石のように構造体へと変化して角質化した皮膚を作り出します。

角質層

目に見える皮膚表面を形成している層です。細胞学的には酵素によって自己消化を起こした死んだ細胞の層で50%以上が水分でできています。
構造的にはレンガとセメントの壁のように細胞と細胞間脂質で作られていて角質細胞はレンガ、細胞間脂質はセメントに例えられます。皮膚が水分を通さないのはこの角質層の構造のおかげです。同等の厚さのプラスチックと同じ程度の非透過性を持っています。

水分を透過させない働きは外部からの侵入を防ぐだけでなく保湿の為の働きでもあります。角質層がなければ水分の蒸発で24時間で死に至ると言われています。また紫外線から皮膚組織を守るバリアの役目を果たしています。

犬の皮膚は人の皮膚よりもデリケート!

人と犬の皮膚に構造上の違いはありません。

ただ犬では角質層の厚さが人間よりも薄く、人間が10~15層ほどの厚さがあるのに対し犬では2~3層程度です。
角質層の厚さが1/5程度の厚さしかないため、表皮自体の厚さも1/2~1/3の0.25~0.05mmほどしかありません。

サ〇ンラップやクレ〇ップなどの厚さが0.02mmですからいかに薄いかがよくわかりますね。

犬の被毛の構造や成分は人間と違いがあるのか?

毛の構造もほぼ変わらず以下の3層で構築されています。違いと言えば人間では1つの毛包に1本か多くても数本しか生えない毛が犬では多数生えています。

  • 毛表皮(キューティクル)
  • 皮質(コルテックス)
  • 髄質(メデュラ)

ただ皮膚と同じように人間とは若干の違いはあります。

犬の毛は人間の髪の毛よりも大分細くできています。太さを比べると約半分ほどです。

犬の被毛構造

毛表皮(キューティクル)
毛の表面を覆うキューティクルは魚のうろこと同じように重なり合っていて、人間では5~10層程度ですが、犬では2~3層で成り立っています。

皮質であるコルテックスのタンパク質成分や水分が失われないように保護の役割を果たしますが、人間同様の構造・成分ですので層の薄い分だけ犬の毛はダメージを受けやすくなっています。

コルテックス(皮質)
コルテックスはコルテックス細胞と呼ばれる細胞が集まって形成されていますが、1つ1つは「マクロフィプリル」「間充物質」少量のメラニン細胞で成り立っています。細胞同士は縦に繋がっていてそれが束になっている状態です。枝毛のように縦に避けやすいのはそのためです。

コルテックス細胞のタンパク質成分や脂質、水分量が毛の強さやしなやかさを作り出していますが、犬の被毛では30~50%しかありません。人間の髪の毛では80~90%を占めることから考えれば、犬の毛の方がデリケートなのは当然です。

メデュラ(毛髄質)
毛の中心にはメデュラと呼ばれる立方体のような構造の多孔質細胞が縦に並んでいます。主な成分はタンパク質と脂質ですが角化していないため非常に柔らかい部分です。人間でも犬でも細い毛には存在しませんのでアンダーコートと呼ばれる細くやわらかな毛にはメデュラがありません。

被毛の構造の中でこのメデュラだけは唯一人間よりも占める割合が多く、犬で約10%、犬では30%と3倍以上の差があります。

主な役割は保温効果で、多孔質構造の細胞内に空気を蓄えることで寒さや暑さの影響を軽減する役目を果たしています。寒冷地に住む動物の毛の50%以上を占めることから考えても寒さを防ぐために必要なことがわかります。

まとめ

犬の皮膚や被毛の基本構造が人間と同じでその違いは構成要素の割合でしかありません。ただ皮膚も被毛も表面の保護層が薄いことは事実ということがご理解いただけたと思います。

汗腺の違いもありますので人間ほど頻繁に入浴を必要としませんが、人間の手で交配を繰り返してきた歴史と飼育環境が室内に移ったことでグルーミングは必要不可欠になってきました。
ほとんどの犬種がヨーロッパ原産なので、日本の気候や季節の変化が負担になることも多いようです

栄養管理や飼育環境に体調、様々な要因でシャンプーの頻度や適切なタイミングは変わってきますが、スキンケアという点で考えれば皮膚のターンオーバーから3週間が適切なのかもしれませんね。

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