ペット屋の息子です。
先日に引き続き犬の噛むについての話です。
ではどんな犬種が噛むという問題行動を起こすかを知ることができたと思いますが、日本同様ダックスやチワワにずいぶんと手を焼いているようです。
上位10犬種の中でも一般家庭で飼育される小型犬のこの2犬種がランクインしているのはなぜでしょう。そしてこの2犬種がなぜこうした行動を起こしやすいのか。
この2種はけして扱いにくい犬種であるとは思えませんが、飼い主たちが行動の原因を知らない事や犬種に対する誤解をしていることが問題になるようです。今日はその点についての話をしていきたいと思います。
ダックスやチワワの噛むを治すためにしつけの方法をデータから学ぶ
上位10犬種の中でみればチワワとダックスはグラフの結果からみても、噛むという行動に発展する原因が他の犬種と同様の理由ではないようです。ジャックラッセルも同じ小型犬ですが、そこはさすがにテリア種です。体のサイズはともかく性格が違いすぎます。
注目すべきはやはりその攻撃対象が圧倒的に人であるということです。そのデータの結果から飼育環境と性格がこの2種の攻撃性を育てると考えられます。
Serpell博士の言うように繁殖で攻撃性が淘汰されなかった点は大いに考えられます。おそらくダックスの短足やチワワの容姿がかわいいと考えるのも世界共通でしょう。人の心に訴えかけるものがあるのです。
噛む力はあごの大きさに比例しますから、重大な事故には繋がりにくいと判断したのも頷けます。
しかしそれだけが原因ではありません。
犬種本来の性格が攻撃性と合わさって噛むという行為に発展するのではないでしょうか?
ダックスとチワワが人を噛むようになる4つの理由
ダックスとチワワに共通する噛むという行動を起こさせる理由を挙げてみましたが、他の小型犬でも同じようなことで噛むという問題行動は起こる可能性があります。しかし両者の犬種の成り立ちや繁殖の問題がより噛むという行動を起こしやすくしているようです。
ダックスやチワワが人を噛むようになる理由1、目線の高さ
チワワは純粋な愛玩犬として作出された犬で使役犬ではないのです。小さくてかわいらしい容姿が特徴の犬ですが、チワワ自身も小さいという自覚は持ち合わせているようです。犬は自身の大きさや他者の大きさを意識していることは多くの専門家も認めています。
先日のSerpell博士の「体の大きな他者に存在を脅かされていると感じ防衛的な意味で攻撃に移る」という意見や、訓練で示す指符には犬の目からみて自分より上位の大きな犬の顔に見せるという意味もあることからもそうです。
ダックスも短足ですから目線も低く自身が小さいという自覚を持っているのかもしれません。サイズの差があっても目線の高さは近いでしょう。
目線が低いということは何も、自分の小ささを実感させられる他者の脅威ばかりが神経質な性格を作るのではありません。人と暮らす犬であれば地面との距離が近いことも問題となります。
犬の目線になって考えてみましょう。
散歩で共に歩けば人の足が間近にあり、車や自転車のタイヤが近く音にも驚く瞬間もしばしば。ゴムの焼ける匂いや地面から立ち昇る様々な刺激臭。地面の熱の影響を受けやすいのは体のサイズが小さい犬の方が当然早く影響も大きいのはもちろんです。
道脇の草むらも自分の背を覆うほどの森です。視界が悪く緊張感は高まるばかり。
こうして考えれば散歩が嫌いな犬の気持ちが少しわかる気がしませんか?
目線が低い犬の性格が臆病になるのは十分に考えられることです。
[ad#co-1]ダックスやチワワが人を噛むようになる理由2、犬種の性格
チワワが世界最小種なのは周知の事実ですが、固定化までにサイズの小さな犬を交配させてきたのならば、常に他者の存在におびえる性格が遺伝するのも十分に考えられます。そういった性格と淘汰されなかった攻撃性が合わさり噛みやすい性格になったと考えられます。
ダックスの場合にはまた違った理由が考えられます。
元々使役犬のダックスは愛玩犬としての扱いに慣れていません。仕事をこなす意欲が解消できずストレスをため込むことも考えられます。彼らはアナグマや巣穴のキツネなどを駆り出す天才で、テリア種よりもはるかに優れていると言われています。警戒心や好奇心が強くその体型は狩猟の為に特化しています。
そんな彼らを愛玩犬として飼育するのにはその特性を生かした運動や遊びが必要です。そうでなければ猟の為に特化した性格と体をもてあます職を奪われた失業者になるでしょう。そんな彼らのストレスは攻撃性に拍車をかけるのかもしれませんね。
ダックスやチワワが人を噛むようになる理由3、飼い主の扱い方
繁殖の問題同様に飼い主の扱いが犬の意識を変えてしまいます。
犬を迎え入れ家族として扱うのは教育が済んでからというのは犬に共通することですが、小さい体にかわいらしい容姿の犬に油断や甘えが生じてしまうのは、犬がペットという存在になってしまったからという他なりません。生活の為の糧を得るパートナーではこうした失敗は考えられないはずです。
なんでも許す事は我慢をしなくてもいいという教育でもありますから、犬の甘噛みをエスカレートさせる可能性もありますし、自分に制限を与える人間を、噛むという行動で拒絶できると覚えさせてしまうきっかけを与えることになりかねません。
こうした行動が起きてからそれを正そうとしても簡単ではありません。
以前にも
で話したように「犬の要求に飼い主が応える」という姿勢がすでに主従関係を逆転させています。犬が起こした問題に対処するのでは犬の命令に従っているのと同じです。
犬も動物です。動く物ですから動かすという指示を受ける生き物と考えて飼い主から指示を与える癖をつけましょう。
理由1の目線の高さで性格が変わるという話は
- 飼い主が犬を抱くという行為を良く行うか
- 抱いているときの犬の行動はどうか
でもわかるはずです。
視界が広く相手を見下ろすことができる立場にいる時は人間に抱かれている安心感もあるでしょうが噛むという行為がエスカレートすることがあります。見下ろされるのは気分のいいものではないというのは動物に共通するのかもしれません。抱くという行為を頻繁に行うことは犬にとって良いこととは言えないようです。
ダックスやチワワが人を噛むようになる理由4、飼育環境
チワワやダックスが自由を与えられて果たして喜ぶのでしょうか?
個人的にはかわいそうな気がしてなりません。前述の通りなら彼らには広い縄張りは必要ではありません。
目線が低い彼らに留守番という任務を与えるのはストレスになりかねません。
戸締りをして安心するのは人間だけで、犬にはセコムなども安心の対象ではありえませんから、些細な物音や人影は相当なストレスでしょう。
特に人がいるときにべったりと甘えているような性格では留守番は恐怖の時間でしかないはずです。少しづつストレスをため込み、頼れるのは自分だけと思い込み、いつの間にか脅威を排除するための攻撃行動が育っていくのでしょう。
飼い主を留守番という罰を与える人間と見ても不思議ではありません。
まとめ
繁殖の問題は飼い主ではどうにもすることができません。回避できるとしたら優秀なブリーダーから犬を迎え入れるか、きちんと教育された犬を飼うかでしょう。
ダックスフントは専門ではありませんが、当店でも繁殖は行っています。遺伝的問題が起こらないような配慮はしているつもりですし、犬同士の交流や人との触れ合いも極力気を付けて育てています。
しかし問題行動を起こす犬の性格は繁殖者が作るとはいえ、それを育ててしまうのは飼い主です。小さくとも犬を犬らしく扱うことは忘れないようにしましょう。
そう言えば少し前にチワックスというMIX犬を良く見かけましたが最近はあまり話を聞きませんね。やはり吠える噛むが問題になったのでしょうか?
本日もお付き合い頂きありがとうございました。
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