ペットショップチロルの息子です。
犬猫は嘔吐や下痢などの消化器疾患になることがかなり多いようですが
どうやらその原因は食生活にあるようです。
もしこれから犬や猫を飼う方がいれば知っておいてください。
犬選びの際に気を付ければ健康寿命が長くなる可能性や
病気の治療に費用を掛ける機会が減ると思います。
ドッグフードでは犬に有用な腸内細菌は育たない!
以前話した
でも指摘したことですが、現在犬猫を飼われている方のほぼ全てが
犬猫に調理した食事を与えていると思います。
ドッグフードもキャットフードも人間が製造したものですし
加熱加工している点では調理した食事と言えますから
動物にふさわしい食事ではありません。
加熱した食事やペットフードには腸内細菌となるバクテリアは存在していないのです。
胃や腸の細菌は草食動物の身体をマッチョに変える能力がある!
草食動物の消化管に住むバクテリアが驚異的な能力を持ち
どれほど動物にとって必要な存在であるかを
簡潔に説明するのは僕にはかなり難しいことですが
草のみを食べる動物の身体をあれほど頑強に巨大にすることが出来るのは
まぎれもなく消化管に住む目に見えないほど微細な細菌の恩恵です。
草食でも筋骨隆々のマッチョになれることは動物の身体が証明しています。
消化管内の微生物は消化が困難な食物繊維を栄養に変え
タンパク質まで作り出すことが可能なのです。
草食動物は肉食動物の進化系
草食と肉食。
食性が全く違っても身体の構成要素の差はなく
身体能力にもほとんど違いは感じられません。
むしろ草食動物の方が優れているように思える点もあります。
彼ら草食動物は肉食動物よりも巨大で寿命が長いのです。
動物の身体はタンパク質と水分の塊のようなものですから
肉食動物のように直接タンパク質を摂取するために動物を食べる方が
栄養効率は良いことは確かです。
そのため陸上動物はもともと肉食で
初期の哺乳類も葉っぱを食べる虫などを捕食するモグラのような
食虫類の動物と考えられています。
草食動物を食べる肉食動物の関係同様に
植物を栄養に出来ないから虫に食べてもらいそれを自分が食べるという
いわゆる食物連鎖が始まっていました。
しかしいつしか動物も
動かない豊富な資源である植物を食べられるように進化しました。
草食動物の誕生です。
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食物繊維を栄養に変える細菌の力は肉食動物にも必要
とはいえ草食動物でも食物繊維は消化することは容易なことではありません。
そのためには細菌という微生物の力が必要です。
草食動物、特に反芻胃を持つ牛やヤギ、羊や鹿などの胃腸には
おびただしい数の腸内細菌が生息しています。
食物繊維を栄養に変えるためには多くの細菌が必要ですから
その細菌たちの居住区である消化管は肉食動物のそれをはるかに凌駕します。
肉食動物が草食動物の胃や腸を食べるのは
少しでもその恩恵にあずかろうという気持ちの表れなのでしょうか。
そう考えてしまうほど消化管に住む細菌の働きは
動物の身体にさまざまな恵みを与えてくれます。
肉食動物が草食動物を捕食するのは肉食動物同士では
単にリスクや労力が割に合わないからかもしれません。
しかし実際草食動物を捕食する方が
肉食動物の健康を維持するためには理にかなっています。
腸内細菌がタンパク質を分解するとインドールやスカトール
ニトロソ アミンなどの悪性物質が増えてきます。
悪玉菌優勢の環境を作り出すのは胃腸内の細菌とタンパク質(肉)です。
漢字で書くと府+肉=腐というわけです。
こう見るとよくわかるでしょう。
だから悪玉菌優勢の環境を作り出さないよう
腸内細菌叢を健全に保つために草食動物の内臓を食べるのは
肉食動物に課せられた使命でもあるのです。
まったく食物連鎖というものはよくできています。
その関係性を無視して人が作り出した保存食で
動物の健康を維持しようというのは無理があるとしか思えません。
少なくとも有用な細菌摂取ができない
加熱した食事のデメリットを改善するための何かが必要です。
なぜ犬猫には下痢や嘔吐の消化器障害が多いのか
この問題は実のところかなり根深く
単に食事に有用なバクテリアを添加すれば良いという話ではありません。
哺乳動物である犬は母親の胎内にいる時には腸内細菌を持っていません。
出産後母親の排せつ物に触れることで始めて細菌叢を形成することが出来ます。
つまり母親やその母親、代々の犬たちがドッグフードで育っていれば
有用な腸内細菌を得るための食事をしていなかったのですから
産まれてくること犬にも同じ腸内細菌しか存在していないことになります。
自然とかけ離れた食生活を続けながら繁殖をすれば
アレルギー体質などを受け継いだり、発症しやすいのも頷けますね。
このことは各ペット保険会社の疾病ランキングの結果からも見て取れます。
消化器疾患で病院を受診する犬や猫はおそらくみなさんの想像以上の数でしょう。
犬では生後42日以降で腸内細菌叢の変化は見られないからです。
つまり飼い主側で犬の腸内細菌叢をより健康な状態へと改善することは
ほぼ不可能に近いと言えます。
体質改善や病気予防のために犬猫の食生活を考えましょう。
犬は元々捕食動物ですから生きてるものを食べることが最も理想的な食事です。
人間以外の動物に料理の習慣がないことがそれを物語っています。
ドッグフードは加熱加工した保存食ですから
野生に暮らす肉食動物のように有用な腸内細菌を得るための食事ではありませんし
加熱で失われている栄養も多いのです。
その欠点を補うことが出来れば病気のリスクは減り
寿命を延ばすことが可能になります。
先日話したように
1年中毎日同じフードを同じ量というのは良いことではありません。
季節や環境、体調に合わせて食事内容を変えるべきでしょう。
そうするとなれば必然的に犬をよく観察するようにもなりますし
犬にとっても飼い主にとっても良い結果が出ると思います。
出来る対策と言えばプロバイオティクスを続けることと
コスモスラクトのような乳酸菌生成エキスを与え続けることです。
(それでも犬には人間以上に効果が高いはずですが)
あとはアンチノールや鮪の油ですね。
それ以上をというのなら費用と時間をかけて栄養バランスを考えた
手作りご飯を与えて下さい。
最後に
フードが普及してからアレルギーや尿路疾患などが増えたのは
加熱による栄養損失とバクテリアの摂取の機会が減ったから
だと考えられますが、食事の栄養バランスの向上や
定期的な栄養摂取が約束されたこと
さらには動物医療の進歩で寿命自体は伸びています。
健康を奪って長寿を与える
自然とかけ離れた食生活を続けながら
繁殖というサイクルから抜け出せない愛玩動物という立場に押し込めた
人間の業なのでしょうか。
この反比例は犬猫などのペットには幸せなのでしょうか?
健康を損なっても寿命が延びたことを彼らはどう思っているのでしょう。
その答えは僕にはわかりませんが、犬猫を愛する全ての人が
知識を得て経験を積み
彼らを幸せにしたいと願い努力し続けることで応えるしかないのだと僕は思います。
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