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優秀なトリマーとは?挫折しそうなトリマーや新人の為の話

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ペット屋の息子です。

とうとううちの店にも新人のトリマーしかも男の子が増えました。
熱海の専門学校を卒業しペット業界に身を投じたものの、一度挫折し1年ほどブランクがあるのでまだまだトリマーと呼べるほどの腕はありませんが、技術は身につくものですからしっかり育てて行きたいと思います。

というわけで今回はそんなトリマーになったばかりで道に迷いそうな方や、トリマーの仕事に挫折しそうな方の為になるような話をします。
僕はトリマーじゃありませんし理想とするトリマーはそれぞれ違うと思いますが、ペットショップで働くならいろんなスキルがあってしかるべきと思いますのでしばしお付き合い下さい。

トリマーには「犬が好き」という理由でなってはいけない

以前

ペットショップやトリマーとして働きたい人の専門学校や資格の話

でも話しましたが、この業界はとにかく離職率が多いと思いようです。
他の業界を知らないので何とも言えませんが、トリマーという職業はどこかなめられているような気もします。

犬とのふれあいが可能な職場で楽しく働けるというイメージがあるのか、トリマーを目指す為に専門学校に就職する方の多くはやはり考えが甘いと言わざるを得ない部分が多々あります。
資格の取得もそれほど難しくは無いし、なんなら資格が無くても付ける職業ですから。

よく比較にあげられる職業が美容師ですが、こちらの業界の方は資格も国家資格で、一人前と呼ばれる立場になる為には相当な下積みが必要です。時々美容院の前を夜通りかかると明かりがついていて、カットの練習をしている美容師の方を見る事がありますが、正直トリマーでそこまでする方は今まで見かける事はありませんでした。

将来の明確なビジョンを持っている人が少ない、目標や向上心が無い。

多くのトリマーと接してもほとんどの方からそういう印象を受ける事があります。しかし逆に言えばそういった意識で働いている人の多い業界ですから努力すれば結果は得られやすいとも言えます。
僕が思うに一人前のトリマーになる為にはそう難しくないと思うのですが、おそらく犬が好きという気持ちだけでこの職業を選んでしまうと数年後には続けていく事が困難になるでしょう。

優秀なトリマーとは?

優秀なトリマーとは?

そう問いかけたとしても明確な答えを持っている人は少ないでしょう。
多くのトリマーはより早く美しく仕上げる事を考えているでしょうから、理想とするところは似ているかもしれません。しかし技術を突き詰めても限界はあります。仕上がりの美しさは誰の基準かでも変わりますし、時間にしても何かをするという事にかかる時間を0にすることはできません。1分1秒を限界まで突き詰めてもそれはただの自己満足です。

それでもプードルのシャンプーカットを60分で完璧に仕上げられれば間違いなく一流です。そんなトリマーならぜひ雇いたいと思います。
しかしペットショップで働く多くのトリマーがそうなれるかと言えば難しいものがあります。
経験を積めば確実に成長はするでしょう。時間的な問題だけを考えれば、単純に毎日同じ犬をシャンプーカットするとして1回ごとに2秒縮めれば1年後には730秒縮めることが出来ます。時間にすれば12分です。
仕上がりに120分掛かっていた犬が1年後には107分。3年後には83分。5年後は60分という計算になります。もちろん机上の空論ですが1回に2秒短縮すると考えればできそうな気がしませんか?5年後には誰でも1流になれる可能性が出てきました。
しかしそうはうまくいきません。
技術やセンスには差がありますし、トリマーとして働いていればわかると思いますが、同じ犬種や性別、またサイズが同じだとしても犬のトリミングにかかる時間は大きく変わります。
早く美しく仕上げるためには犬のコンディションが大きく関わってきます。

そこで優秀なトリマーとは?

を視点を変えて考えてみるのはいかがでしょう?

トリミングは健康管理も重要です

以前の

マツコの知らない世界を見てトリマーと飼い主の考え方に物申す

カリスマトリマーの在り方について話しましたが、犬の皮膚や被毛の健康維持についての提案やアドバイスができ飼い主に実践して頂くことが出来れば時間短縮の道も開けます。

シャンプーの製品の質や洗い方の技術やドライングの方法など様々な要素ももちろん関わりますが、やはり皮膚や被毛の健康状態は時間短縮や美しさには欠かせません。
もちろん犬の皮膚や被毛の状態が完璧な状態でいるのならトリミングの技術を磨くほかありませんが、全ての顧客の飼い犬がベストなコンディションを保っているとは考えにくいでしょう。

健全な犬の状態を維持する為には犬に合った環境を整える必要がありますので栄養管理や運動管理はもちろん、犬種に対しての知識も必要です。基本情報のみならず、正しい栄養学の知識などを身に着け、多くの犬とのふれあいの経験が一流の道を作るのです。

犬の健康状態の判断ができて改善の為のアドバイスが出来るようになることも大切な仕事です。皮膚や被毛の状態は栄養管理でも大きく変わりますし、日頃家庭で出来るケアなどの提案も併せて行う事で、トリミングの結果をより良いものにできるでしょう。
犬が健康であれば皮膚や被毛の状態も良くなるはずです。毛玉や絡みなども出来にくくなります。

 優秀なトリマーになる為に必要な知識

優秀なトリマーというものをトリマーの視点で考えず、顧客や経営者としての立場から考えてみればその答えは少し違ったものになります。

そもそもトリミングの技術はあればあるだけ良いとは思いますが、飼い主にとっては望むカットが再現できていることが最優先ですから、人によっては「とにかく短くさっぱりしてくれればいい」という程度に考えています。
それに経営者側からすればお客の要望とは関係ないところにこだわりを発揮されたりして時間をかけられても何の得にもならないどころかむしろマイナスです。
限られた時間の中で最大の利益を得る事が商売の目的ですから、それに見合わない行為に時間を費やすスタッフはただのお荷物です。
そういった点から考えればトリマーの仕事は何もトリミングをする事に固執する必要はありません。
トリマーはあくまで副業と考えてみれば、トリミングはスタッフとしてやるべきことの中の1つということになります。もちろん優先順位は高い仕事ですが、最も重要なのは顧客を満足させて利益を上げるということです。

トリミングの常連客は健康意識も高い

定期的にトリミングに通う顧客は健康意識が高いはずです。必ずそうとは言えませんが、いつもきれいでかわいく健康でいて欲しいと願うのは多くの飼い主に共通しています。美しさの維持に対価を払えるのなら健康を維持する事への投資を惜しまないでしょう。

特に別のトリミングサロンやペットショップから移ってきた方ならなおさらそのチャンスは大きいはずです。
より犬の為になるようにとの考えであるなら現在の健康状態や問題点から栄養管理やしつけの話を聞いてもらう事は難しくないと思います。また状態良く維持できているのならその点の努力を理解し共感してあげる事で顧客としての囲い込みが出来るようになります。

フードやサプリ・トリミングオプションで客単価アップを

全ての顧客の犬が良質なドッグフードを食べ栄養状態が良ければそれを維持するだけで利益は生まれませんが、新規の顧客に対し健康状態や運動管理の話をしフードの購入までこぎつければ、その後は問題がない限りフードの売り上げが加算されることになります。
最初に多少時間が掛かったとしても、変更したことで皮膚や被毛の状態が改善され、トリミングにかかる時間が軽減されれば、飼い主にとってもお店にとっても利益のあることになりトリマーとしての評価も上がるでしょう。信頼が増せば問題があった際にも相談を受ける事になり、解決の為の商品やトリミングのオプションの提案が容易になります。

囲い込みと利益の確保が出来れば経営者にとっては言うことがない結果です。
黙っていても定期的に売上が上がる様になれば、トリミングの客単価が上がったのと同様か時間短縮と考えられます。さらに健康寿命が延びる事になれば長期の利益確保にもなります。動物病院に行く前に健康状態の変化に気づくことになれば飼い主にとっても有益なことです。

優秀なトリマーと言えるためにはトリミングの結果が最良になるような準備や予防が出来る事も必要でしょう。

まとめ

トリマーでもないのに言いたい放題言わせてもらいましたが、飼い主の立場からすれば健康管理の為になることは良い事だと思いますし、多くの犬の体に触れ確認することが出来るトリミングの時間は犬を知る為の絶好の機会です。自身の勉強の為にも犬の為にもその時間を有意義なものにして下さい。
いくら技術やセンスがあろうともトリミングが誰の為のものかを忘れてはいけません。そこから得られる報酬や利益は感謝という利息のようなものです。謙虚な気持ちと向上心を忘れずに頑張って下さい。

本日もお付き合い頂きありがとうございました。

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